趣味と向き合う日々

映画やアニメなどの映像作品、音楽、プラモデルといった趣味に関して気ままに書いています。

ロード・オブ・ウォー(2005年・アメリカ) バレあり感想 ブレイキングバッド好きにオススメしたい映画だった。

今作は一人の武器商人の男の人生を描いた作品です。

映画のラストで僕は知ったのですが、

どうやら『アルゴ』みたいに実話を基にした作品みたいです。

 

ロード・オブ・ウォー』(原題:Lord of War)

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この予告編で既に本作が最終的に問題として提起しようとしている内容を見せてます。

即ち、最大の武器輸出業者、武器商人は誰なのかって話ですが。

 

 

■あらすじ

ユーリは幼い頃にウクライナからアメリカに家族で移住した。

移住した街はロシアンマフィアが蔓延っており、日常茶飯的に凶悪犯罪が起きていた。

 

ある日、ユーリがそんな事件現場のひとつに遭遇した事する。

そして彼はある商売を始める事を決意した。

 

それが武器商人としての彼の第一歩だった。 

ユーリはビジネスを行う上でのパートナーに弟のヴィタリーを選ぶが、ヴィタリーは薬物依存症になり、入院する事に。

 

それから一人で事業を拡大し、いつの間にかユーリは、世界でもトップクラスの武器商人へと変貌を遂げていた。

 

 

■感想

 

最初、ニコラス・ケイジ演じるユーリが武器商人として成功していくまでの過程を描いた映画なのかと思いきや、

大物になるまでのユーリの半生はモノローグと断片的な映像のみで語られ結構あっさり済まされます。

 

これ中々意外でした。

ただ、本作が伝えたいであろうメッセージを考えると、たしかに大物になってからのユーリを描くべきですね。

 

そんなユーリの成長過程に限らず、

そもそもこの映画全体がモノローグと共に語られていきます。

 

これは映画内での時間経過が数年単位の為です。

大幅に時系列が動くときには場面を切り替えて、画面下の方に○○年のどこどこ~みたいな字幕を出すタイプの映画もありますが、

本作はユーリ自身の半生を追う映画でもあるので、最後までしっかりモノローグです。

なんならモノローグどころか視聴者にダイレクトに語りかけるまである。

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またこの映画、ユーリの半生を通して武器商人という存在に関して色々描く構造ですが、

映画のオープニングで何を伝えたい映画なのか、どこを問題視するべきかがわかるようになってます。

 

このオープニング映像そのものが既にかっこ良かったです。

弾薬が製造され、パッケージされ、輸送され、そして使用されるまでのフローをオープニングで見せてくれます。

弾薬を製造してるのが白人国家、というかこれは恐らくアメリカで、最終的にアフリカの一国家がこれを手にして使用するという内容です。

のっけからこんなんだから僕は直ぐに映画に引き込まれました。

 

皮肉の効いたシーンも沢山ありました。

特に印象に残ってるのが、アサルトライフルの排莢音が、ユーリにはレジの処理音(チャリーンってやつ)に聞こえてしまうというシーン。

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これは、皮肉であると共に、武器商人が何をやって稼ぐのかを改めて観客に示しています。

 

が、更にユーリ自身の価値観に関してもここで描いています。

 

ユーリは結局のところ、自分の才能の為に武器商人をやっていたという事が、映画を通してみると分かるようになってます。

 

上記した皮肉っぽいシーンはその武器商人としてのユーリの才能の一翼を描いていると個人的には思います。

 

つまり、ユーリは自分が売った武器や弾丸がどう使われるか等の使用用途目的に関して気にも留めていないんです。

これがユーリの武器商人としての才能なんだと思います。

実際劇中でも他にそんな部分を描いたシーンはいくつもあります。

妻のエヴァからとがめられても、弟が必死に説得しても武器商人としてのビジネスを辞めません。

 

結果を考慮しない為、妻に何を咎められているのかわからずビジネスの過程で重視される違法か合法かに関する部分でキレちゃったり。

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他にも「車の方が人殺してるんだよ」とかも言ったり。正論なんだけどね。

 

 

ユーリは最終的に家族を失い一人ぼっちになりますが、しかし尚も武器商人としてビジネスを続ける姿を描き映画は終わります。

 

ユーリは自分の才能の為に武器商人を続けていた、というのは間違いないと思います。

例えば、妻エヴァと結婚できたのも、劇中モノローグで語られる通り「恋を(金で)演出した」からです。

その金は何で稼いだかというとやっぱり武器商人として稼いだもので、

ユーリがクソみたいな人生を抜け出し手に入れた幸福的価値の根本には必ず武器商人としての彼の成功体験があります。

 

 

ところが、家族を失ってからもユーリは武器商人を続けます。

これってつまり、もうユーリには武器商人として生きる以外の方法が無いって事なんだと思いました。

この方法以外で何も成功体験が無いため、もう武器商人としてこのまま生きていくしかないみたいな。

 

つまり、どん底で先の見えないクソみたいな生き方をしていた男が見つけた、自分自身の才能の魅力から抜け出せなくなった話が本作なんだと思いました。

 

更にここから映画のラストで「最大の武器輸出業者は国連安保理の常任理事五か国です」なんてメッセージ出して映画が終わるんだから。

 

色々と考えさせられます。

 

 

この映画の物語の構造と、主人公の行動基盤ってドラマ『ブレイキング・バッドとも共通点があるように思いました。

あちらもただの高校教師のおっさんだったウォルターが覚せい剤の製造、裏取引の王になっていく姿を描いたものです。

ブレイキング・バッド』のラストメッセージも、ウォルターは「家族の為にやったというのは嘘だ、自分自身の為にやった事だ」というものでした。

 

ブレイキングバッド好きなんすよ僕。

なのでブレイキングバッド好きな方にはこの映画かなりオススメだと思います。

色々と似ているので。

 

 

 

あと弟不憫すぎだな!!?

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弟のヴィタリー、最初はユーリに半ば強引に武器商人の世界に引き込まれ、

そこで覚せい剤依存になり荒れた人生を歩み、

やっとそこから抜け出し、飲食店を開業したいという夢を抱いたところに再びユーリが現れ!

再び武器商人としてユーリに付いていき!!

良かれと思ってやった行動のせいで死ぬ!!!

 

 

なんだそれ!!

報われなさすぎワロエナイ……。

 

報われないと言えば捜査官のジャックも報われねえ!!!

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が、こちらに関しては何故か映画を観ていると正しい事をしているはずなのに巨悪のユーリに気持ち的に肩入れしちゃって、

そんなに気持ちが沈みこまなかった……。

 

こういう作りも上手いですね。

明らかにジャックがやろうとしている事は正しいし、世界の平和につながる事なんですが、

その手をユーリは上手く掻い潜るため色々やりますし、そんなユーリを何故か観客も心なしか応援してしまうという……。

 

密輸の証拠隠滅の方法とか多種多様で面白かったですね。

船の名前から貨物まで偽装したり、

飛行機の中身をただで現地民に提供して証拠を結果的に無くしたり。

 

扱ってるテーマは非常に重いですが、

そういったシーンは見せ方も上手く、エンタメ感もしっかりありました。

 

 

■まとめ

 

実在した人物がモデルになっているというのを踏まえて改めて考えてみると、

ホント世の中おかしいことばっかりだぜ。

 

映画としては二時間の中に内容ギッシリ系です。

ただ、全体がモノローグに沿って進行するのでテンポは良いです。

 

しかも、単にビジネスマンの頑張る姿を観るだけの映画としても対応できてしまう絶妙なラフさすらあります。

 

結構オススメです。

 

 

ではまた。

 

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自分の渡したサンプルで目の前で人が撃たれて死んだのに製品の心配しちゃうユーリ。

 

いやこれコイツもうソシオパスか何かだろ!!