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MEG ザ・モンスター(2018年・アメリカ) バレあり感想 サメ映画界に激震走ってそう。

  

サメ映画なのにすげえしっかり作られてる……。

どういうことだ、これサメ映画なんだろ……?

遂にサメ映画界もここまで来たのか。

 

 

そんな驚きに満ちた映画でした。

そもそもサメ映画=クソ映画という前提は間違っているという事を再認識するところから始めないといけませんね。

かなり良い映画。

 

 

 

MEG ザ・モンスター』(The Meg)

ポスター/スチール写真 A4 パターン4 MEG ザ・モンスター 光沢プリント

youtu.be

 

 

 

ストーリー 

 

世界最高峰の海洋研究施設マナワン。

ジャン博士を初めとした研究チームは、現在海底とされている更に下に未発見の海溝が存在するという説を立証する為、3人のクルーを乗せた潜水艇を海底へと向かわせた。

プロジェクトの出資者のモリスはこれに疑念を持つが、潜水艇は研究チームの仮説通り、海底と思われていた部分を突き抜け、未知の海へと侵入する事に成功した。

 

だが潜水艇は突如、巨大な生物らしきものに攻撃され、1万1千メートルの海底で機能を停止してしまう。

 

チームのリーダー的存在であるマックはかつての仲間であるジョナスという男に潜水艇の救助を依頼する。

チームのメディカルケア担当のヘラーもまたジョナスとは元同僚だったがこれに反対する。

しかし、他にこの規模の潜水レスキューが出来る人間は居らず、ジョナスを呼ぶことになる。

 

ジョナスはかつて、原子力潜水艦事故の潜水レスキューを担った際、謎の巨大生物に攻撃を受け潜水艦内にいたクルーを全員救い出す事が出来なかった事を悔み、またこの事件がきっかけでヘラーと確執を生んでいた。

 

潜水艇のレスキューの為再び海底に潜るジョナス。

だが、そこで目にしたものは常識では考えられないような生物だった。

 

 

 

感想

 

 

・いつの間にかクソ映画の代名詞と化していたサメ映画。

 

全てのサメ映画ってジョーズ から始まったと言っても過言ではないと思うんですよ。

それだけジョーズの影響力は凄まじく、以降乱造される多くのサメ映画がこの作品に対してリスペクトを込めたオマージュを様々な形で内包させています。

 

一方でジョーズ以降、特にCG技術が徐々に一般化して以降制作されたサメ映画の多くは、チープで非常に出来の悪い、いわゆるクソ映画であるものが大半でした。

当たり作品は本当にこの40年間で指折り数えられる程度しか存在していないように思います。

また、アンダーグラウンド的というか、日本では主にレンタルショップに並んでいるだけで劇場公開などされていないものが殆どです。

 その中でもサメ映画派閥は近年ではゾンビ映画派閥とタイマンを張れそうな謎の勢いを感じます。

 

ことさら日本やアメリカではこの手のクソ映画の愛好家まで生まれる始末でアサイラム派閥やらアルバトロス派閥やら、配給会社で選んでクソ映画観るみたいな意味の分からない領域に到達した方々も少なくないと聞きます。

 

 

また、これに同調するように、近年では次第にそういったクソ映画がオーバーグラウンドの世界に上昇してきました。

 

最近では、ニートや夜勤マン、ダメ学生の心の友として定評のあるテレビ東京の真打午後のロードショーでサメ映画特集などと言って、

空を飛ぶサメやら水があるところどこからでも現れる幽霊サメやら機械のサメやらが出てくる映画を放映しまくってました。

 

また、正に今Hulu でサメ映画特集などと宣い、それらとやはり同じようなベクトルのサメ映画を大量に配信し始めています。

ちなみに僕は『ダブルヘッド・ジョーズ 』が好きです!

 

サメ映画ってなんなんだろうな。

 

 

ジョーズショック以降の流れや近年のそういった動向、環境も含め、サメ映画にはある種のレッテルが貼られているのが現状だと思います。

もちろんディープ・ブルー 』やオープン・ウォーター などジョーズ以降のサメ映画にも素晴らしいものが沢山あるにも関わらずそういったイメージが付いてしまっている気がします。

去年公開された『海底47m』も良いサメ映画でした。

でも、いつの間にか埋もれてしまうんですよね。不思議な事に。

 

 

そして本作『MEG ザ・モンスター』の話になる訳ですが、

 この映画はかなり出来が良いです。

異質です。

 

 

・『MEG ザ・モンスター』はとてつもなく上質なサメ映画です。

 

まず、金のかかり具合がそれまでのサメ映画とは一線を画しています。

 

低予算でも有名な『ジョーズ 』から始まったサメ映画の世界ですから、そういった部分へのリスペクトもあるのか、以降に続くサメ映画の殆ども低予算です。

まるで暗黙の了解でもあるかのように。

 

故に、この2018年に於いてこの規模のサメ映画が観れる様になるなんて誰も予想できなかったでしょう。

中国資本様様ですね。

 チープさとは程遠い、いかにもなハリウッド的映画になっています。

 

 

次に作品全体の構成も素晴らしいと思います。

典型的なビートシートメソッド(面白い映画を作るためのテンプレみたいなものです)そのままといえばそうかもしれませんが、裏を返せばこれもしっかりしたサメ映画を作ろうという心意義の現れにも思えます。流石にそれはポジティブにとらえすぎかもしれませんが。

 

次から次へ起こるイベントの数々は100分以上の上映時間をとても短いものに感じさせてくれます。

何か起きたらすぐ次に何かが起きてます。

このペース配分は本当に絶妙に感じます。

 

 

 

・発生するイベントがいちいち面白いです。

 

サメ映画というより、モンスターパニック映画としての醍醐味みたいな部分になるんですが、「絶対これ何か起きるだろ」っていう状況設定と盛り上げが上手いです。

何か起きてからもしばらく面白いですし。

 

序盤の潜水艇vsメガロドンが一番インパクトもあって個人的に好きです。

 

潜水艇の救助に単身向かうヒロインのスーインが乗ったグライダー(という名前の水中艇)が、誰もが予想した通りやっぱり何か巨大な生物に攻撃を受けます。

 

いよいよメガロドンがスクリーンに現れる、と思った矢先に姿を現したのは超巨大なイカでした。

「なんだよイカかよでもスーイン圧殺されそうやばい」というギリギリのタイミングででっかいイカが何者かに瞬殺されます。

 

そしてここでメガロドンイカを口に加えながら大胆に登場します。

こんなかっこいい演出中々観られないぜ。

 

 

この後、メガロドンに発信機を付ける為にジョナスがウェットスーツ一丁でメガロドンの30メートル付近に近づくというイベントが発生。

発信機を取り付けて一安心かと思いきや、案の定イベント発生へ。

 

ジョナスはチームの皆が乗るボートからロープで身体を結んである状態です。

メガロドンがジョナスめがけて高速で迫ってくるので、

メガロドンの元から離脱しようとボートも急いで逃げ始めます。

結果ボートごと吊るされ引きずられる形になったジョナスが完全に釣り餌のそれで笑いました。

 

 

このシーン他にも色々と面白い要素が沢山あります。

死亡フラグが地味にこの映画では適用されていないという事がこの辺りから分かります。

 

結局ボートはメガロドンから攻撃を受け転覆。

チームの皆も海に放り出されてしまいます。

ここで、メガロドンによる大虐殺ショーが遂に幕を開けるのかと思いきや、

明らかな死亡フラグを立てたキャラクターが生き残ったり、逆に突然の死を迎えるキャラクターもいたり、そうかと思えば定石通りに死ぬキャラもいたりと描かれ方が単調では無くバリエーション豊富で驚きました。

 

 

この後、出資者でクソ野郎のモリスによる怒りの機雷投下フェーズに移行します。

機雷により、闇夜の海に巨大な死骸が浮かび上がってきます。

死んでいるかどうか何度も確認し、安心して意気揚々と死骸に近づくモリス。

これは綺麗な死亡フラグですね。この映画では通用しませんが。

 

 

しかし死骸を良く見たらクジラでした。はい来たモリスやっぱり死んだ!

 

そして本命のメガロドンがクジラの死骸に引き寄せられてフェードイン。

モリスは一瞬助かったかと思わせつつしっかり喰われてました。

ていうかこの映画、一瞬生き残ったと思わせておいてやっぱり死ぬパターン結構多いです。

 

 

あとは終盤の中国の海岸にメガロドンが来襲するシーン。

ここもなんか好きです。

やたらユーモラスなシーンというか、サメ映画らしさがここに来てより強調され始めるというか。

サメ映画としての本領が発揮されてました。

ビーチが出てこないサメ映画などクソ喰らえなんだ。

 

 

とにかく起きる全ての出来事が面白いんです。

色々なタイプの面白さがそれぞれ描かれていました。

 

 

 

・各キャラクターの描写について。

 

本作ではかなり大勢の登場人物が出てきます。

しかし、主要な登場人物が一体どんなキャラクターなのか、ストーリーの中にそれが自然に絡んでいました。

 

 

しかしキャラクター自体は分かりやすく描かれている一方で、それが活きているかどうかはまた別でもあります。

特にジョナスの元妻のローリーと、面白黒人枠のDJの二人はちょっと微妙な気がします。

 

ローリーは前半の潜水艇フェーズでほぼキャラクターとしての役割を終えていました。

ジョナスをレスキューに呼ぶための口実として配置されていただけな印象が強いです。

 

DJに関してはもう本当に情緒不安定なのかってくらい喜怒哀楽が怒涛の勢いで巡っていて、全く感情が彼に追い付きませんでした。

コメディリリーフとしての役割を考えれば十分な働きを見せてくれていますが、物語として、映画の中の世界の人物として考えるとこちらもローリー同様にキャラクターの配置が優先されてしまって浮いているような気がします。

 

 

 

 

まとめ

 

現代的な考証と現代的な作風で、ダイナミックにリメイクしたジョーズみたいな映画です。

 

ジョーズのストーリーはじっくりとシチュエーションを盛り上げていき、最後に対決という流れでした。

一方本作は最初からもうがっつりメガロドンが出てきてギャンギャンに暴れてますし、ひっきりなしにメガロドンとの対決があるので一見似ても似つかないように思います。

 

しかし、何か同じものを感じました。

単純にサメ映画同士だからかもしれません。 そうだとしたらまだまだサメが足りてないってことか。

 

 

めちゃくちゃ出来のいいサメ映画、これに尽きると思います。

 

劇場で観るのをお勧めします。

本気を出したサメ映画の底力を最大限に感じられるはずです。

 

 

ではまた。