シン・レッド・ライン(1998年・アメリカ) バレあり感想
映画の感想記事ばっか書いてますが映画にバリ詳しいって訳でも無かったりな僕です。
が、戦争映画に関しては結構な数をこれまで観てきました。
それこそ史実物から近未来を舞台にしたSFまでかなり手広く観ているんですが、
そんな中、わりと有名ながら観て無かったのがこの映画。
『シン・レッド・ライン』(原題:The Thin Red Line)
バレあり感想なんて書いてますが、
ネタバレというか作品の内容を今回は多分書けないと思います!
難しい映画だった……。
予告がこちら↓↓↓
大作ウォームービーの予感がビンビン伝わってきます。
この映画の主な舞台となるのは1942年のガダルカナル島です。
日本とアメリカの初の本格的な陸上戦闘が展開された有名な戦いですね。
日本軍はこのガ島の戦いの前に起きたミッドウェー海戦で、正規空母4隻を初め主力であった海軍艦船の多くを失っています。
そしてこのガ島での戦いに敗れる事でいよいよ日本は敗戦への道を歩むことになります。
そんな太平洋戦争の勝敗を分かつターニングポイントであるこの戦いがベースの映画という事で、一体どんな描かれ方をするのかと楽しみにしながら視聴しました。
しかし本作、確かに戦闘シーンは凄まじい臨場感があり、緊迫した日本軍との戦いをアメリカの視点からしっかり描いてはいるのですが、
メインとなっている部分は戦闘に参加した兵士の思想というか、哲学というかそういう部分が中心なんですね。
その為、詩的なセリフやモノローグ、更にはそれだけで見る価値があると言ってもいいほど美しい島の自然の情景の数々を映すことによって、
戦争映画にも関わらず全体的にかなり美術的な雰囲気に包まれていました。
こういう島の自然描写が全体に渡って登場します。
その為、あらすじを書こうにもどういったものなのかに関して、
なんと直後の今ですら書けそうにありません。
書こうとするともう登場人物の心理考察みたいな事になりかねないんですよね。
それくらいテーマ性をギッシリ持たせてそちらに注力していた映画なんだと思います。
それで面白いのが、そういった自然情景を見どころととらえてるのか、戦争映画や戦争物のドラマでよく使われてる、退廃的なエフェクトが一切ありません。
終始ハイビジョン、終始色彩鮮やかです!
例えばこれはHBO制作のドラマシリーズ『バンド・オブ・ブラザース』の1シーン↓
こんな感じで映像全体が暗めな感じなのが戦争映画あるあるです。
多分白黒映画の雰囲気に寄せてるんだと思うんですけどね。
『シン・レッド・ライン』はこういうエフェクト一切無しです。
そんでこれがまた作品自体の作りに合わさって戦争映画を見ているという事を忘れらせてくれます。
この映画の監督はテレンス・マリック。最近のものだと『ツリー・オブ・ライフ』を撮った人です。
この『ツリー・オブ・ライフ』も自然描写にとても力を入れているんだなと僕はCMを観た時勝手に思ってました(まだ本編観てないっす)。
さあそんな本作ですが、対比させる構図というものが全体を通して結構出てきます。
それらが戦争と平和の対比に繋がっているのですが、同時に作品の静と動の緩急にも繋がってます。
すっげえ平和というか淡々と話が進んでると思ったら突然の戦闘発生、それが終わるとまた淡々と話が進むって感じで。
その為、物語全体のテンポは普通の戦争映画のそれとは一切違います。
かなり独特に感じました。
それでこの映画、同時期に公開していた作品があの『プライベート・ライアン』なんですよね。
『プライベート・ライアン』はかなり分かりやすく作られた戦争映画の部類なのですが、こちら『シン・レッド・ライン』は前述したように哲学チックな話です。
なので、戦争映画同期のこの2作品の知名度に大分差があるのも、この辺りで人を選んだ部分があるのかもしれないですね。
まぁそれはともかくとして、そもそも太平洋戦線を描いた映画作品ってもの自体が第二次世界大戦物の中ではわりと希少(WW2は欧州戦線が中心なので当然っちゃ当然なんですが)で、その中でも多くは海戦をメインにしている作品が圧倒的です。
それこそ嫌いじゃないけどクソなクソ戦争映画の筆頭『パール・ハーバー』や最近のものだと『永遠のゼロ』なんかです。
そんな中、兵士と兵士が、艦載機や艦砲で撃ち合うのではなく、その身をもって戦っていたのは太平洋にある島々です。
そちらにフォーカスの当たった作品という点でもある意味オススメだと思います。
最も『シン・レッド・ライン』以降は、トム・ハンクスを初めとした『バンド・オブ・ブラザース』のスタッフが再集結して制作された『ザ・パシフィック』や、
クリント・イーストウッド監督の『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』なんかの名作もバンバン生まれてきて充実してきてはいますけど。
戦争戦争してないけどしっかり戦争映画としての見所を作り、尚且つ人々に考えさせる哲学作品としての側面も持つという本作は、
戦争映画好きの方にはもちろん、そういった映画は苦手っていう人にもオススメ出来るかもしれない一作です。
こんなところか。
いや実際人間描写とか語るべき部分は他に沢山あるんですが、
それらを全て記事にまとめると多分えげつない長さになっちゃうのでここ等辺で〆ます。
ではまた。
やっぱり戦争は地獄じゃないか。