キングコング: 髑髏島の巨神(2017年・アメリカ) バレあり感想 やっぱり怪獣映画はこういうのが良いんだよ!!
日本公開から一週間以上経ってしまいましたがようやく観る事が出来ました。
他にもたくさん見たい映画があったんですが、色々なものに金使い過ぎて死ぬかも知れなかった為『ラ・ラ・ランド』『パッセンジャー』の二作品は泣く泣く断念。
そんな隙あらば自分語りは置いておきまして、早速ネタバレありの感想書いていきます!!
『キングコング: 髑髏島の巨神』(Kong: Skull Island)
この日本版のポスターほんと良いです。
昔ながらの怪獣映画のポスターをリスペクトしている感じが堪らないです。
■概要
今作はアメリカ制作のキングコングの映画作品シリーズカウントとしては第四作目に当たります。
モーションピクチャー特撮の金字塔的存在である第一作目、その続編である『コングの復讐』を含めた第1シリーズ。
76年に上記の第一作目を現代を舞台に描き直した『キングコング』及び86年の『キングコング2』が第2シリーズ。
05年に公開された第一作目のリメイクである『キングコング』が第3シリーズ。
そして本作『髑髏島の巨神』はアメリカのコング第4シリーズになりますが、設定内容世界観いずれも過去のどのキングコングとも関連はありません。
完全なリブートです。
というのも、今作のキングコングはレジェンダリー・ピクチャーズが2014年に制作した『GODZILLA(2014)』から始まるモンスターバースという世界観に沿った作品の第二作目という形になっています。
MCUなんかでも有名な所謂シェアードユニバースという方式ですね。
各個の映画の世界観を共有しようというものです。
で、そのためにこの新作コングは前述のギャレゴジ(レジェゴジ)と同じ世界のお話になります。
ここに至るまでにキングコングの制作権がいったりきたりしていたり色々大変だったみたいですが、無事にモンスターバースが始動してくれて良かったです。
ちなみに、今現在判明しているモンスターバース作品の今後の予定は、
『GOZILLA:King of Monsters』『GOZILLA vs Kong』の二作品。
『GOZILLA vs Kong』は日本で制作されたゴジラシリーズの第三作『キングコング対ゴジラ』のリメイク的な内容になりそうですね。
実はそれを匂わせる要素が本作にも散りばめられています。
更に噂では『怪獣総進撃』も『Destroy All Monsters』(ちなみに←はまんまアメリカ公開時の米題です)としてリメイクされるかもとの事です。
怪獣映画始まりすぎだろ。
パシフィックリムも新作の続報が来てますし、今年は虚淵玄を初めとする日本のクリエイター達によるアニメーション作品でのゴジラもあります。
これからの数年間は、お前の中の小学生を目覚めさせる最高のチャンスだぞ。
話をキングコングに戻します。
そんなモンスターバースの1作品として生まれ変わった今作のキングコング。
もちろんギャレゴジを観ていなくても楽しめます。
が、モナークという機関の存在や太古の支配者の存在云々、MUTOなんかのキーワードはギャレゴジ観ていた方がスッと設定が入ってくるかもしれません。
ギャレゴジの芹沢博士役の渡辺謙が所属していた組織がモナークです。
あちらでは影が薄い組織でしたが、今作ではこのモナークが物語のフックになっています。
今作のコングの体長は31メートル。
初代コングがおよそ5メートルほどの大きさだった事を考えると随分大きくなりました。
が、日本版コングの50メートルよりは小さく、またいずれ戦うことになるレジェンダリー版ゴジラは100メートル越えなので"怪獣としてのキングコング"では小さい部類になります。
ですが、劇中で示される様に今作のコングはまだまだ成長期の若者ですから、これから更に巨大になるっぽいですね。
劇中には今作のコングの家族のモノと思われる遺骨が出てくるんですが、その大きさがやっぱり100メートルくらいありそうな感じでしたし。
とにかく良くわからないって人は今作は過去のコングとはストーリー上全く関係の無い完全な新作であるとだけ考えておけば大丈夫です!!
■あらすじ
冷戦真っただ中の1970年代。
地図上には未だ記されてない幻の島"髑髏島"を発見したモナークの職員が、軍隊や科学者、そして傭兵と一緒に髑髏島へ突入する事に。
しかしそこには人類がそれまで出会った事の無い様々な生物で溢れかえっていた。
もちろん髑髏島に向かう理由や登場人物に関してなど色々あるがとにかく怪獣映画を、モンスタームービーを観る訳だからあらすじとかストーリーとかどうでもいいんだよ。
■感想
率直に言って、これは怪獣映画好きじゃないと楽しめないんじゃないかっていう、逆に怪獣映画が好きならクソ程楽しめる、そんな作品でした。
というのも、今作はストーリーの全ての要素がコングを中心に回っていくんです。
例えばギャレゴジでは、ゴジラという存在の元で家族の為に奔走する主人公を軸に映画が作られていました。
あくまでギャレゴジのメインの話はゴジラでは無く主人公の動向にあります。
『シン・ゴジラ』も、"もし現代の日本に巨大生物が現れたら"という点を軸に作られたモキュメンタリー的要素の強い作品でした。
対してこの『髑髏島の巨神』は徹底的に軸がコングを初めとしたモンスターたちに向けられています。
主人公とヒロインの恋愛要素なんかもありますが最小限に留められています。
サミュエル・ジャクソンの演じる軍人のコングへの復讐劇という点もありますがこちらはあくまでサイドストーリー、というより物語を動かす為の動機として用意されたストーリーでした。
そういう振り切り方をしているおかげで、ヤバいレベルのエンタメ性が発揮されているのが今作のコングです。
また、ギャレゴジの時に得た批判点を上手く改善してきましたね。
もちろん監督脚本はじめとするスタッフはギャレゴジとは別のチームなのですが、明らかにギャレゴジの失敗点を意識していたと思います。
例えば、ギャレゴジではゴジラの登場時間が11分も無いという点が批判されていましたが、今作のコングは隙あらば出てくるレベルです。
なんなら映画始まって五分くらいでもう出てきます!
コングが出てこない間は他の怪物怪獣が出てきます!
人間だけが画面に映っている時間と怪獣たちが画面に映っている時間が半々くらいに感じました。
なんだこれ天国かよ!
また、ギャレゴジはあまりにもシリアスな作風だったのが特徴の一つでした。
劇中にただの一つもユーモアや気の緩め所が無いという点が観ていて疲れるという意見があったわけです。
ですが今作はむしろ馬鹿映画としての要素が強いです。
なんというか、80年代のアクション映画のようなノリなんですよ。
あのバカバカしさがそのまま現代に蘇ったような、『エクスペンダブルズ』と同じような方向性を感じるんです。
だからエンタメ性が高いと思ったんです。
思えば、ここ数年のハリウッドのアクションやSF映画は随分と小難しい方向に行き過ぎた作品が多かったように思います。
それが流行りだったのかもしれませんし。
『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』や『トータル・リコール』のリメイク版なんかはこのシリアス病が強く出てしまっていたと思います。
そのせいか初代のバカバカしさが上手く出ていなかったように感じました。
逆に『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』のように振り切って馬鹿映画になった作品もありましたが。
でも、それらのバカバカしさのある映画の方が当然エンタメ性は高いんですよね。
ここの塩梅は難しいところだとは思いますし作風にも寄るとは思うんですが。
が、本作『髑髏島の巨神』に関しては間違いなくバカバカしさがハマる映画でした。
凄いですよ。良い意味でバカな映画ですよ。
台詞の各所に組み込まれている大げさな表現の数々にジョーク、怪獣プロレス、未開地の探索といった正に80年代人気映画の要素を兼ね備えている訳ですし。
例えば、今作のメイン敵怪獣”髑髏(スカル)クローラー”の名前なんかも、登場人物がその場で思いついてかっこいいから付けたみたいな感じで名付けられます。
そういう軽いノリがこの映画の魅力に繋がっているように思います。
そして、その上でやっぱり怪獣映画が好きじゃないと楽しめないかもしれないと思いました。
前述した通りこの映画は怪獣に視点を置いているので、そこが楽しめないともう終わりなんですよ。
最も、これを観に劇場に足を運ぶ人なんて怪獣映画やモンスターパニックを求めている層以外には有り得ませんけどね。
デート中に「キングコング観ようぜ!」なんて言える人間は世界中に1%も居ないでしょうし。
劇中シーンを観ていた感じでは、この映画はかなり4DXを意識しています。
監督がインタビューかなんかで強くオススメしていたのも頷けます。
4DXが高くて手が出せないならせめて3Dで観ろっていう、そんな制作陣の思いが込められたかのようなシーンが多々あります。
そして僕は2Dで観ちゃいました。勿体無い事をした。
初見の映画ってどうも3Dで観るの憚られるんですよ……。
それは『アバター』とか『ゼロ・グラビティ』なんかの、3D普及期の映画の行き過ぎた3D向けシーンの数々に目が眩んだ思い出があるせいで、
「3Dは見辛い」っていう意識が根付いちゃったせいなんですけどね。
今作は観るなら3Dのほうが良いと思います。
さて、今作に登場するのはキングコングだけではありません。
前述したメイン敵怪獣のスカルクローラー。
『キングコング対ゴジラ』に出てきた大ダコを意識したとしか思えないクソでかいタコ。
どう見てもクモンガじゃんと思わせておいてのクモンガの完全上位互換みたいなデザインの巨大クモ。
そしてダークソウルの世界ならボスを務めていてもおかしくないような大きな山羊みたいな有角類の生物、雑魚キャラとしてリファインされたかのような謎デザインのプテラノドンみたいな飛翔類など色々出てきます。
なんというか新作は新作でもちゃんと過去のコングシリーズに対するオマージュやリスペクトが込められている感じです。
面白いのが今作は本家アメリカの過去のコングよりも日本のコングの要素の方が強く出ている作品という点です。
例えば、髑髏島の原住民や、彼らが建築した巨大な防護壁、前述の大ダコは『キングコング対ゴジラ』からそのまま持ってきたようなものです。
思えば、映画全体に漂うバカバカしさも『キングコング対ゴジラ』に通じる雰囲気です。
『キングコング対ゴジラ』って、ゴジラシリーズ第三作目にしていきなり雰囲気ががらりと変わるんですよ。
この二者が戦うのも「ゴジラとキングコング戦わせたらどっちが勝つのかなあ」っていう作中登場人物の身も蓋も無い台詞が始まりですし。
第二作『ゴジラの逆襲』で確立された怪獣プロレスという要素を、この第三作でメインに持ってきたことで一気にエンタメ映画として変わり始めたんだと思います。
そういうノリが近い気がするんです。
そして『髑髏島の巨神』のコングは完全垂直二足歩行なんですよね。
完全垂直二足歩行のコングって日本のキングコングだけなんです。
05年版のコングなんかむしろあまりにゴリラゴリラした動きのせいで「ただのデカいゴリラ」呼ばわりされていたので、その反省から来た結果かもしれませんが。
本家コングから来た要素は髑髏島と美女好き設定あたりです(が、この美女好き設定も今作のコングではかなり抑えられていて殆どそういう設定を意識させません)。
だからこう、日本の怪獣特撮、特に東宝シリーズで幼少期を過ごした自分としては堪らないものが今作のコングにはありました。
そして、エンドロール後にちゃっかりCパートがありましたね。
そこでは壁画に描かれたラドンやモスラ、そしてキングギドラの姿なんかが映し出されていて、今後のモンスターバース作品へのクリフハンガー的な役割を果たしていました。
残念ながら大ヒットとまでは行っていない『キングコング:髑髏島の巨神』ですが、暇を見つけてわざわざ劇場に足を運ぶ価値は十分にあります。
正直ギャレゴジよりも面白いですよ今作。
『パシフィック・リム』で少し復活した怪獣映画のエンタメとしての楽しさがさらに倍増している作品です。
■まとめ
サミュエルVSコングの構図は絶対狙ってやってただろあれ。
こんなところです。
この映画は、下記の動画配信サービスで視聴する事が出来ます。
ではまた。