リップスライムの最近のライブ動画観たらちょっと驚いたって話。ついでに一部ヒップホップのトラックの元ネタとかも。
音楽の話をしようと思う。
僕このブログ元々音楽の話メインで書いていこうと思って作ったんですよ。
結果ほとんど映画やらドラマやらの感想ブログになってますけど。
とにかく、初の音楽に関する話です。
■ライブ版 雑念エンタテイメント
『RIP SLYME』は十代前半の頃の僕を形作った音楽グループでして。
なんなら邦楽アーティストで一番最初にハマったグループなんですね。
成長するにつれ他のアーティストなんかにも手を出していき次第に熱が覚めた、というかリップスライムの新曲が次第に好きじゃなくなっていった感じもありますが、
とにかく最近ではめっきり聴かなくなってました。
でも、暇つぶしにYouTubeで検索してみたら2017年のライブ動画があって、
それを何となく観てみたんです。
これ多分ダンスフロアマッシブか何かですかね?
それがこれ↓
まず2017年になっても雑念エンタテイメントをライブでやったことに驚きました。
メジャーデビューシングルの二枚目ですからね、雑念。
もう16年前ですわ。
で、実際に動画を見てみると分かると思いますが、トラックが違いますね。
元の雑念エンタテイメントはこれ↓
馴染み深ぇ……。
PVのやつも冒頭がちょっとカットされてますがね。
ちなみにこの曲の元ネタがこれ↓
Blood, Sweat & Tearsの『Spinning Wheel』という曲です。
冒頭部分をサンプリングしていますね。
あとは一分半あたりのキメも使ってます。
で、上記のライブ版はトラックを差し替えてる訳ですけど、
それがもう見事に90年代ニュースクールとかミドルスクール(正直ミドルスクールってのは個人的に要らないというか分別する必要のない領域な気がしますが)への回帰感が強いチョイスで笑っちゃいました。
使われてるトラックがもうもろに彼らの世代のクラシックですし。
でも、個人的に驚いたのは、そもそもこういう有名なネタ使ったパフォーマンスをリップスライムが2017年に行った、っていう点なんです。
■最近のリップスライムの曲
彼らの意志かどうかは不明ですが、リップスライムはアルバムを出すごとにヒップホップのフォーマットから離れていくグループでした。
僕はそれこそ9枚目のフルアルバム『GOLDEN TIME』までの全てのCDを買っていたので、
新曲を聴くたびにどんどんその方向性が変わっていくのをリアルタイムで感じてました。
で、RIPの方向性が根底から変わったのって多分4枚目の『MASTERPIECE』からだと個人的には思うんですが、
決定打だったのが6枚目の『FUNFAIR』。
ファンフェアーは先行シングルの段階からちょっと違くね感が個人的にかなり強かったんですが、アルバムを買って通して聴いて、
これはもうヒップホップじゃないなと思い、この辺りからちょっと熱が冷め始めました。
これが先行曲だった『SPEED KING』。
思えば、PESがラップしなくなる傾向が出てきたのもこの辺りからでしたね。
最近はまたラップしてて嬉しいです。
そこからはなんというか、惰性でCDを集めてるような感じになってしまいました。
勿論僕自身の好みが変わったというのもありますし、リップが嫌いになったっていう事ではないんですけどね。
なので、昔に比べてファンフェアー以降の曲はそんなに詳しく語れないですし、あまり個人的な印象も残ってなかったりします。
2016年にリリースした新曲。
PESまた歌ってる……。
上の『Check this out』を聴いてもらうと、一時期よりはだいぶヒップホップ的な要素は戻ってきているものの、今度は先進性が無くなっているように思います。
別に懐古してる訳じゃないんです。
実際『GOLDEN TIME』(曲のほうね)なんか、全盛期RIPの雰囲気がしっかり出てる曲ですし大好きです。
が、それでも最近の曲ってやっぱりなんかそりが合わないように感じてました。
で、つまるところRIPはもうヒップホップはやりたくねえんじゃねえかと思ったんですね。
いやわからないですけど。
所属レーベルの方針かも知れないし。
とにかく、僕はそういう印象を持ってたという事です。
で、冒頭のライブ版雑念エンタテイメント動画ですよ。
要は、ヒップホップ的な先進性から別の方向性に切り替えて久しいRIPが、ここに来て90年代ヒップホップに帰ってきたような感覚を勝手に覚えちまったって事です。
俺達は忘れてねえんだぞ的なね、そんなメッセージを勝手に受け取った気持ちになったんです。
13年のダンスフロアマッシブを観に行った時は、4つ打ちギャンギャンにリミックスされた『UNDER LINE No.5』(これなんてインディーズの頃の曲ですよ。18年前)とかもやっててそれはそれで面白かったんですけどね。
思えばあの年はEDM全盛期だったからあんなリミックスにしたのかな。
■このライブ版『雑念エンタテイメント』に使われている元ネタ何個か解説
元ネタって書くと超絶ややこしくなるわ。
このライブに使われてるトラックは、いずれも90年代ヒップホップの有名なトラックばかりです。
で、その有名なトラックも何かしらの曲をサンプリングして作った曲なんですね。
だからこの書き方はややこしくなる。
とりあえず元ネタなんかも含めわかったやつ書いていきます。
・イントロ&頭サビ
イントロのは雑念まんまですが、そこからフミラッチと共にサビで使われてるのがビッグダディケインの91年の作品『Nuff Respect』です。
ノッケから飛ばし過ぎだろ。
ブレイクダンスできたらきっとおどってだんだろうなって思いました!!
90年代初頭のヒップホップを感じられますね。
ちなみにこの曲の元ネタはThe Soul SearchersのAshleys Roachclipです。
他にもビートだったりで色々使われてるんですが、一番メインのおかずの部分がこの曲使ってます。
Nuff Respect/Big Daddy Kane
元ネタ
・PESバース
間髪入れずにPESのバースになります。
ここで使われてるのはピートロック&CLスムースの『The Creator』ですね。
この時代のヒップホップらしい、ベースラインとビートで先導していくタイプの曲です。
例えば似たような作りの名曲だとエリックB&ラキムの『juice』とかがあります。
元ネタはEddie BoのFrom This Day Onです。
ベースラインをまんま取って来てます。
元ネタのほんわかした雰囲気が欠片も無くなってて面白いです。
The Creator/Pete Rock & CL Smooth
元ネタ
Juice/Eric B. & Rakim
・RYO-Zバース
Dj Spinnaの『ROCK』です。
他に比べてマイナー臭漂う所を良く持ってきたな。
RYO-Zがチョイスしたんですかね?
というかこの各曲のチョイスはメンバー皆で決めたのかFUMIYAがチョイスしたのかその辺りも気になります。
というのもRYO-Zならリーダーズオブニュースクールとかファンキー4+1辺りを持ってくるような気が勝手にしていたので意外なチョイスだなと。
元ネタは知らないんですよねこれ。
誰か知ってたら教えてください。
ROCK/DJ SPINNA
・サビ
ロブベース&DJイージーロックの『it takes rwo』です。
なんだこのチョイス!?
様子がおかしいぞ。
踊って騒ぐの重視でこのチョイスって事ですかね。
雑念のBPMに合わせて若干早回しになってたので確かにそれで聴いてみたらいっちょ前のブレイクビーツでした。
これに雑念のサビが乗っかってるのがなんかもう面白い。
ちなみにこの曲も元ネタ分かりません。
トラック聴く限りだとめちゃめちゃ色々使って混ぜてそうですね。
It Takes Two/Rob Base & DJ EZ Rock
・ILMARIバース
これはもうド定番ですね。
90年代ヒップホップ、特にニュースクールを聴く上でATCQと共に絶対外せない存在であるデラソウルの『Say no go』です。
本性を現したなリップスライム!!
上で書いた通り、僕はリップスライムの大ファンだったんです。
で、インタビューとかそういうのも読み漁ってました。
だからRIPが影響を受けたアーティストとか好きなアーティストなんかもかなり認識してて、
デラソウルとこの後出てくるファーサイドは特にRIPのサウンドに影響を与えてるんです。
なんなら僕が90年代ヒップホップをDIGるきっかけをくれたのがRIPだったりしますが。
でもやっぱこれ使われたらアガるよな。
ちなみに元ネタはダリルホール&ジョンオーツの『 I Can't Go For That ( No Can do)』です。
なんならこの元ネタ曲が入ってるアルバムそのものがクソおすすめなんで元ネタもろとも是非聴いてほしいです。
SAY NO GO/DE LA SOUL
元ネタ
・SUバース
やりやがったよ。
使われてるのはファーサイドの『SOUL FLOWER』で、たしかアルバムに入ってるリミックス的なやつです。
オリジナル版はブランニューヘヴィーズとコラボした曲だったような。
この辺りの情報は僕が10年以上前に得たものなので間違ってるかもしれませんが。
ちなみにオリジナル版のほうがかっけえよ。
BNHの曲なので、BNHのアルバムを買わないと聴けませんが。
RIPを語る上でファーサイドは外せません。
なんなら初期のRIPの曲にはまんまファーサイドの曲のパクりオマージュのものもあるくらいです。
フロウ一つとってもファーサイドの影響がそこかしこに見られます。
特にPESはすげえ。
そんなファーサイドのトラックを使われたら、そりゃ否応にも動き出したくなりますわ。
ていうか本人たちが一番楽しんでそうだな。
とにかく、この曲を使うってのはわかってますね。
正直めっちゃこの雑念のライブ生で観たくなったもん。
soul flower(Remix)/the pharcyde
↑のオリジナル版。
ちなみに、上記したようにブランニューヘヴィーズの曲にラップを載せているので元ネタはありません。
オリジナル曲にラップを載せているっていう、今じゃむしろ当たり前のスタイルですが、そういう事です。
なので、インディーズ時代のRIP SLYMEがオマージュを捧げたファーサイドの曲でも貼っておきます。
ちなみにそのRIPの曲名は『nai』です。
YouTubeに無さそうで紹介できないのが残念ですが、↓の曲聴いてすぐに聴いてほしいです。
で、ラストは通常の雑念エンタテイメントに収束すると。
めっちゃいいじゃねえかこのライブ!!
DFMのセトリってけっこうコアな曲採用してて昔のファンの方が楽しめるって言われてるくらいなんですよね。
久しぶりにライブ行ってみたいです。
■蛇足締め
ヒップホップとしてのRIP SLYMEが帰ってきた感を感じてこんな記事を書いてます。
いやマジで、超かっけえもんこのライブ。
SUさんのバースで強引にBPMを下げに行くFUMIYAに笑う。
ちなみに、ここから先の内容はRIPのファンの方をバカにしている訳では無いという事を先に書いておきます(僕だって元々重度のファンです)。
多分、この会場にいた人達の半分以上は、雑念で使われていたのがヒップホップの名曲だって事も知らないと思うんです。
そもそRIPのファン層って、ヒップホップ好きというよりRIPが好きって人が多いです。
そのメンバー間の関係性だったり彼らのキャラに惹かれてるっていう方が多いという意味ですが。
なので、音楽的な掘り下げというよりRIPそのものの掘り下げに終始する事が殆どで。
で、そういうものをRIP本人達も理解していて(これはインタビューとかで時々やんわりながら話してました)、その上でこういう演出をして、且つ大盛り上がりさせてるっていうのは本当に凄い事だと思うんです。
だって10年以上前にデビューしたグループなんだぞ?
知っていようが知らなかろうが関係ねえんだ感というか。
知ってたら楽しい知らなくても楽しいのスタイルというか。
とにかくライブでそういう雰囲気を作れて、実際に盛り上げてるRIPの姿を観て、やっぱりすごい人達なんだなって改めて思いました。
で、その中で一人でもトラックに興味を持って調べたりCDを漁ったりする人が出てくるのを狙ってるのかもしれません。
それは良い事です。
さて長々と書きましたがこんなところでしょうか。
この動画のおかげで僕の中のRIP熱は再燃してきてます。
ありがてぇ。
ではまた。