グランド・イリュージョン(2013年・アメリカ) バレあり感想
続編『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』の記事はこっち↓↓↓
この映画の存在を知ったのは多分去年くらいに公開された『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』のCMでした。
というかこの『見破られたトリック』がシリーズ第2作目だとは思わなくて、仕事終わりにその時住んでた家から一番近かった日本橋三越前の東宝シネマズ行って、
チケット買う直前にその事実を知って慌てて別の映画観たのを覚えてます。
そこで足を止めて、第1作目をまず観ようと思いそれから1年経ち、
huluで配信されてるのにようやく気付いて、ようやく観られました。
自分語りはこの辺りにしておいて、早速感想書いていきます。
『グランド・イリュージョン』(原題: Now You See Me)
■あらすじ
ある人物によって四人のストリートマジシャンが集められた。
彼らは一年後、フォーホースメンと名乗り、マジックショーを用いてフランスの銀行から金を盗む事を成功させる。
FBIのローズ捜査官と、インターポールから派遣されたメラニーはフォーホースメンを捕らえる為に奔走する。
■感想
まずこの映画、系統的にオーシャンズシリーズとかあのあたりに属する感じの映画だと思ってました。
マジックショーを用いて銀行や個人口座から金を掠めていく犯人たちを、捜査官が追うのがメインだと思っていました。
が、実際のところ、この映画は追走よりも、四人の他に協力者がもう一人いる、それは誰なのか、みたいな部分が本筋のような作りになっていたと思います。
この所謂五人目、フォーホースメンの協力者がいる可能性が示唆されてからこの映画は面白くなります。
いやもちろん普通にストーリーの作りも面白いんですが、
この五人目の示唆がある事によってそこに犯人探しのような要素、楽しさが付随するので、各キャラクターの言動や行動にまで注目が行くように作られています。
この構造が中々面白いと思いました。
作中で、マジシャンが多用し、その基本ともいえるミスディレクションという手法について言及があります。
それは作中では、フォーホースメンが捜査官に対して仕掛けると共に、
この映画そのものが観客に対しても仕掛けているものだという事がラストで判明します。
そして、五人目は誰なのかをミスリードさせるための要素も散りばめられており、
上手く最後の最後まで誰が五人目なのか分からなくさせる構造に上手くまとめられていました。
例えば捜査官ローズの補佐として、インターポールが派遣したメラニーとか。
物語中盤あたりで実はメラニーは現場経験の無い新人である事が発覚します。
それにも関わらずどうして捜査に加われたのかとローズは彼女に疑いの目を向けます。
ただこの辺り、真の五人目が発覚してから(つまりメラニーは五人目では無いっていう事ですが)、じゃあなぜ派遣されたのかとかはフォローされないので若干スッキリしませんが。
単にミスリードを誘うためのファクターの為だけに用意された設定……?
或いは、マジシャンのトリックの種明かしをして金を稼いでいるサディアスあたりも。
サディアスはフォーホースメンを追っていて、FBIからも協力を頼まれたりしますが、
あまりに要所要所に出てくる上に、一見するとフォーホースメンと明らかに対立する立場にある事から僕はこの人が五人目かなって思いながら観ていました。
違いましたけど。
まさかお前が協力者だったとはな……。
ローズ捜査官が、五人目、というかフォーホースメンを最初に集め、彼らを試験した張本人だったわけです。
主人公じゃねえのお前!!?
いやでもびっくりしたしシンプルに面白かったですこのオチは。
ただ、このオチを知った上で改めて映画を観てみないと分からない要素とか散りばめられていそうなので今は詳しく書けませんが、
とにかく驚いた。
というか続編のポスターにも普通にローズ捜査官映ってるので、
続編からは最初からフォーホースメンと共に行動する感じになってるんですかね。
この構造とオチはとても楽しめました。
しかしながら一方で粗も目立つなという印象。
だってよ、お前いくら何でもそれはねえだろって事が起きすぎなんだよ。
フォーホースメンは、アイという秘密の団体?的な奴に所属する為の試験として、マジックショーを用いて銀行強盗なんかやる訳です。
このアイってのが、現代に魔法をよみがえらせるだかなんだかそんな事を目的にしている古代エジプト文明の頃から存在するしゅうだんらしいです。
だから、有り得ない事が起きまくるのは魔法が蘇ったかのように見えるっていう点ではありだと思います。
が、それなら種も明かしてほしかった。
せっかく種明かし専門のサディアスというキャラがいるんですから。
というか序盤ではフォーホースメンのトリックに関してしっかり種明かしがあるんですけどね。
どうやってアメリカからフランスまで一瞬で人を送り込んだのかとか。
その要領で他にも何個かネタバラししても良かったんじゃないでしょうか。
余りにも不可解な事が起こりすぎてるような気が……。
ローズがフォーホースメンの一人、ジャックを追うシーンで、
ジャックは予想外にしつこいローズからマジックを多用しながら逃げようとするんですが、
例えばカーテンの中に隠れるとそこから姿を消して、全く違う所に現れるとか。
そういうのを逃げながらやっていくわけです。
無茶だろ。
咄嗟に出来ることだとは思えません。
他にも、サディアスの前でローズが正体を明かすラストシーンも、
いつの間にか独房の外にローズは出ていますが、
アレだって下準備いる系マジックなんじゃ……。
いや無粋!!
きっとそういうトリックとか、あるんでしょうね……。
あと、マジシャンの四人の関係性をもっとしっかり見せてくれても良かったかも……。
その辺りがあくまで個人的にちょっとひっかかったってだけの話でした。
■まとめ
一本の映画としてしっかりよく練られて作られた映画だと思います。
マジックショーのシーンは笑えるくらい規模がデカいので、
それだけでも結構楽しめたり。
続編が直ぐ観たくなる、というタイプの映画でもありませんが、
これは続編もきっと面白いことになってるに違いない。
序盤、中盤、終盤と観客側が別のキャラクターの視点にたって物語を観ていくという構図も面白いです。
『スナッチ』みたいな群像劇物って訳でも無いのにこの手法が取り入れられているっていうのは、つまりはローズの正体を察知させない為だとは思いますが。
良い暇つぶしになりました。
ではまた。
この一番左側のメリットという人はフォーホースメン唯一のメンタリストなんですが、
メンタリズムとかそういう次元を超えた事を平気でやってくるので笑いました。
というか実はこいつだけガチもんの魔術師なんじゃねえかな!!