レッド・ドラゴン(2002年・アメリカ) バレあり感想
ハンニバル・レクター博士の出てくる作品です。
『レッド・ドラゴン』(原題:Red Dragon)
時系列的に言えばこの作品は『ハンニバル・ライジング』の次に当たります。
原作小説では第三作目だそうです。
ドラマ版『ハンニバル』の基本プロットはこの『レッド・ドラゴン』を現代を舞台に再構成したものに当たります。
ちなみに原作のそれは以前にも一度映画化されていますが、
アンソニー・ホプキンスのハンニバルの怪演を受けてか、再度映画化された作品が本作になります。
■あらすじ
FBI捜査官のウィル・グレアムは犯罪精神医学の権威であるハンニバル博士の協力を得て、連続殺人事件の捜査を行っていた。
事件解決まであと一歩というところで、ウィルはその事件の犯人だったハンニバルから攻撃を受け重傷を負ってしまう。
この出来事は大々的に報じられた。
その後ウィルはFBIを辞職し、家族でひっそりと静かに過ごしていた。
それから数年後、ウィルの元にFBI時代の上司であるクロフォードが現れた。
彼が今追っている事件の犯人はその犯行手口からして異常者であると言い、
ウィルの特異な思考能力と推察能力をぜひ活かしてほしいと言う。
ウィルはあくまでサポートとしての立場から限定的に現場に復帰することになる。
だが、捜査を進めるに連れてウィルは行き詰まり、そしてハンニバルの助言を得るために再び彼と対面することになった。
■感想
やっぱアンソニー・ホプキンスの演じるハンニバルはこうでなくっちゃ!!
やっぱり映画『ハンニバル』の時のハンニバルは猟奇的すぎたと改めて思います。
今作では『羊たちの沈黙』で見られたような、ハンニバルの本質というか、あの空気がしっかり生き返っています。
ですが、今作の”メイン”となるのはあくまで連続殺人犯のDであり、ハンニバル博士はその事件を捜査するウィルの手助けをするポジション、脇役です。
脇役にも関わらず、この存在感はやっぱりさすがのモノ。
そして、脇役と言っても、Dことダラハイドはハンニバルに強い関心と敬意を示していますし、
ウィルも彼の言葉を軸に動かざるを得ないなど、ストーリーの根幹にいる存在でもあります。
本作はハンニバルシリーズみたいに纏められる事も多いし実際そうなんですが、
単品の映画としてしっかり作られています。
というのも、ハンニバルシリーズを今まで観ていた人に対してのちょっとしたサービスなんかもありつつ、各キャラクターがどんな存在なのや、その背景なんかはしっかり見せてくれるので、
サスペンスホラーとしてこれ一本でも十分に楽しめるはずです。
ウィルとハンニバルの掛け合いの中で、どっちが天才か議論みたいなのがあったのがちょっと面白かったです。
『羊たちの沈黙』でのクラリスに対する接し方とはまた違っているんですよね。
ウィルに対してハンニバルはある種の嫉妬のような感情すら垣間見せていますし。
自分をヨイショしようとするウィルに対して少し苛立っていたり(もちろん露骨にみせたりはしてませんが)。
この辺りの会話劇なんかは前作を観ているとより楽しめる要素だと思います。
今作の連続殺人の犯人であるダラハイドに関してもしっかりと背景の掘り下げがあります。
ただ、それを踏まえてもダラハイドの異常行動の数々は少し誇張され過ぎな感じもしました。
あくまでメインはこっちなんだぞと言わんばかりの演出が結構出てくるので、
このあたりは評価、好みが別れそうです。
正直、ダラハイド関連はもうちょっと抑えちゃって良かったような気もします。
彼の動向はロマンスなんかも含めてちょっと印象に残り辛い感じを受けました。
というよりダラハイドの初登場シーンが一番インパクトあった。
過去に祖母から受けた虐待の数々を思い返しながら布を顔に巻いて筋トレする謎の人物って濃い要素多すぎ!!!
■まとめ
この映画は多分、「事件は解決されるのか?」という視点より、
各登場人物の動向そのものを中心に観る方が楽しめる作品かも知れませんね。
『セブン』みたいな感じ。
ちなみにドラマ版『ハンニバル』ではウィルは超能力まがいの妄想力持ちのコミュ障みたいになってます。
また、セリフなんかも結構オマージュが出て来たり。
ですので本作を見た後にドラマ版を観るとより楽しめますよ。
こんな感じです。
ではまた。
めちゃクソ撃たれたのにのそりと起き上がる悪役補正。