ジャスティス・リーグ(2017年・アメリカ) バレあり感想 ド真ん中の正統派ヒーロー映画で小難しい事無く楽しめました!
DCエクステンデッドユニバースで世界観を共有する作品としては通算5作目に当たります。
個人的にDCEUはどんどん良くなってる気がするんですよ。
『ワンダー・ウーマン』辺りから方向性というか、ようやくマーベルのMCU系列との棲み分けの方法を見出したような。
シリーズ2作目である『バットマン VS スーパーマン』で、棲み分けを意識しすぎて結果事故ってしまった感じがありました。
ノーランのダークナイト3部作に引きずられてたんだと思うんですけど、
ダークでシリアスなヒーロー映画という方向性で行こうとしていた気がします。
『スーサイド・スクワッド』以降このシリアス色を薄めていったように思います。
そして本作で遂に、というかようやくDCEU始まった!!始まりました!!
『バットマン VS スーパーマン』みたいな小難しい事はやってないから頭からっぽにして楽しめました!!
『ジャスティス・リーグ』(原題:Justice League)
出典:oriver style.
■あらすじ
スーパーマンが死に、世界には再び不穏な空気が流れ始めていた。
バットマンことブルース・ウェインは、かつて夢に見た異形の存在であるパラデーモンと遭遇、戦闘のすえこれを撃破した。
撃破したパラデーモンは爆散し、遺体の跡に三つの四角い箱を描いたような図形を残していた。
それはマザーボックスと呼ばれる、三つ揃える事で凄まじいパワーを発揮できるものだった。
一方、アマゾン族たちがひそかに暮らす孤島セミッシラに、ステッペンウルフが現れた。
アマゾン族の戦士たちは島が守っていたマザーボックスをステッペンウルフから守るべく戦うが、奪い取られてしまう。
次にステッペンウルフは海底都市アトランティスを攻撃、ここにあったマザーボックスも奪い取る。
残るは人間の隠したマザーボックスのみとなった。
ブルースは世界を脅威から護るべく特別な力を持った人々を集めたチームを結成した。
そして実際に現れた脅威であるステッペンウルフを倒すべく、彼らは動き出す。
■感想
・ ザ・ヒーロームービーとして正統派な作りでした
コミカルさは適度に与えつつもそこまで比重を置かず、しかし暗くなり過ぎないようにうまくバランスが調整されていて、
つまりとてもスタンダードなヒーロー映画のような印象を受けました。
どうしてもこれが比較になっちゃうんですけど、『アベンジャーズ』等のMCUの系列作品と決定的に違うのはここだと思うんですよ。
MCU作品は最低限以上の比重でコミカルさを内包させてますし、
そこが人気の理由の一つだと思うんですね。
対してDCEU、初期の頃はシリアスで重くリアルなテーマを取り扱う所から始まりました。
賛否両論を呼び、そこから試行錯誤が始まったようにも思います。
そして今作『ジャスティス・リーグ』で、正統派ヒーロー映画というスタンスで以って遂に勝負をかけてきた感じがします。
元々DCのジャスティスリーグの方が、マーベルのアベンジャーズよりも歴史がある点を考えれば、
正統派ヒーロー映画という選択はかなり良いんじゃないかと思います。
個性出そうとして色々やっちゃったけど結局これが一番良いよね!!って気づいたかのように、
もうど真ん中なヒーロー映画ですよ。
ど真ん中、正統派、とか言ってももちろん今風の要素も籠った上での意味合いです。
言ってしまえば、昨今のヒーロー映画のテンプレートのようなものをしっかり盛り込んだうえで、
それらの要素を総括するのようにストレートに作品に出力したイメージです。
どのくらいストレートなヒーロー映画かというと、
・勧善懲悪を地で行くスタイル
→ステッペンウルフがもう自ら「僕悪党です」的な事言いまくる。潔い。
・小難しい人間関係パートが始まるかと思いきや秒で解決し決戦へ向かう切り替えの早さ(ただしブルースてめえはダメだ)
→チームの纏まっていく過程みたいなモンを描く事に時間を割いていないので、
結構あっさりと纏まっていく印象がありました。
ブルースが中盤拗らせますが、それすらある種の正統派なお約束イベントですからね。
・リアリティにあえて舵を切らずハッタリに振り切ったコスチュームデザイン
→これはホントよくやったなと。このコスデザインは本作の狙った作風を特徴付ける最大要素だと思います。
誰のこと言ってるってそりゃもうフラッシュ君よ。
・ヤバい奴出てきた!→仲間集める!→戦う!の流れが非常に真っすぐで正直
→ここも王道感ある。変に逸れたりビックリ展開に持ち込んだりしない。
・ボスキャラのステッペンウルフは一切冗談が通じ無さそう(通じない)
→これにはフラッシュ君も苦笑い。
・特別な力を持った奴らの戦いっぷりを徹底的に描いた超人バトルの応酬(ただしバットマンてめえはダメだ)
→終盤戦でこれが特によく描かれてましたね。
戦い以外にも各自かなり活躍の場面がありました。
ちゃんとバットマンも活躍します。
I‘m rich.
・住民に一切の被害も出さずボスを撃退するという気持ちの良いハッピーエンド
→厳密には街とか壊滅してるんですけど、
そういう部分を見なくてもいいんだよ、それは別の問題なんだよ!と言わんばかりの気持ちの良い映画の終わり方してくれます。
『バットマン VS スーパーマン』に対する自己批判してる説まであるぜ。
こりゃド真ん中です。
そして、過去のヒーロー映画のような明るい空気感も全体的に張り巡らせており、
非常にエンタメ性が高かったと思います。
スタンダードってかベーシックって感じかも!!
・一方で詰め込み過ぎ感が復活
これは流石に仕方ないよね。
MCUとかは、例えば『アイアンマン』『インクレディブル・ハルク』『マイティ・ソー』『キャプテン・アメリカ』の各単独映画を作った上での『アベンジャーズ』でしたよね。
というか(他の記事でも書いた気がしますが)本来シェアードワールドってのは、
各個の別々の映画の世界観を共有しちゃお!っていうものであって、
これが正しい姿勢な訳ですけど。
これが『アベンジャーズ』のヒット以降は、
全員集合なお祭り映画を創るために、その映画の為のスピンオフを先に制作するみたいな認識に変わってきたように思います。
火付け役のMCUですらフェーズ3以降この傾向があります。
そういう視点で見ると、レジェンダリーピクチャーズのモンスターバースはマジで正統派シェアードワールド作品群って感じで良いですね。
話が逸れました。
で、DCEUはどうなっているかというと、
『マン・オブ・スティール』というスーパーマン単独作品に始まるも、
2作目『バットマン VS スーパーマン』でいきなりバットマンとワンダーウーマンとのコラボを行ってます。
更にここでジャスティスリーグへの伏線を散りばめたり色々ごちゃごちゃやりました。
第3作『スーサイド・スクワッド』では、ある意味でシェアードワールドらしい作風でありジャスティスリーグへの直接的関与も無く、今のところマジで他作品と世界観だけが共有された状態です。
第4作の『ワンダー・ウーマン』は単独作品であり、ダイアナちゃんの活躍を徹底的に描いてくれました。
そう、ご存知の通りバットマンもフラッシュもアクアマンもサイボーグも単独作品が創られずに『ジャスティス・リーグ』を迎えたわけです。
なので本編中でこの4人のバックグラウンドや設定、どんなキャラなのか等を詰め込んでしまってました。
バットマンに関しては一足早くそれもやってますが。
もちろん回想シーンとかであーだこーだやるんじゃなく、
セリフの各所から匂わす感じではあるんですが、それでもキツキツでしたね。
更にここに映画の本筋を交える為の要素も入ってきますし、
次回以降へ向けた伏線も盛り込まないとならないわけです。
ストーリー自体はもう王道オブ王道のストレートなものですが、
そういった各キャラの描き方でかなり映画がゴチャゴチャになっちゃってるように思いました。
フラッシュとかは、ぶっちゃけドラマシリーズのアローバースとそのままリンクさせちゃっても良かったんじゃないかって思うんですけどね。
ただ、このキャラ解説パートの詰め込みに関して少し面白いのが、
何故かバットマンやスーパーマン、ダイアナちゃんの3人にも同様の解説的描写があるっていう点です。
これってつまり、今までのDCEU作品を観て無くても『ジャスティス・リーグ』から楽しめるようにっていう配慮なのかも。
シェアードワールドって新作が出るほどどんどん新規層が減ってしまいますし、
こういう配慮があるのも当たり前なのかもしれませんね。
・スーパーマンについて
あの、もうお察しの通りガッツリ生き返りますからね。
なんなら中盤辺りで生き返りますからね。
蘇生のさせ方が、ゾット将軍をドゥームズデイにした時の描写にちょっと似てたので「まさか」と思いましたが、ここも割とスッと復活。
ところがスーパーマンさん寝起きの機嫌が悪すぎてジャスティスリーグを壊滅一歩前くらいまで追い込みます。
5人に勝てる訳無いだろ!
ダイアナに力圧しで勝ち、フラッシュに追いつき、バットマンに皮肉を返す。
もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな。
ていうか、こんなやべえ奴に喧嘩売ってよく生きてられたよね、バットマン。
チートまがいのクリプトナイト戦法を使ったとは言え、よく生きてられたよね。
ジャスティスリーグとの戦闘シーンは、
スーパーマンがどれくらいヤバい奴だったのかを改めて我々に見せてくれるかのようでした。
そして最終決戦で、ステッペンウルフに対して5人がかりでも中々ダメージを与えられないジャスティスリーグの面々。
かなりヤバい相手であり、ダイアナちゃんの攻撃すらまともに通らないというえげつなさ。
そこにスーパーマンが到着、これ以降の勝利確定感が凄かった。
一転攻勢。
言わばスぺシウム光線的な。アンパンチ的な。確定演出ってやつに近い謎カタルシス。
住民を片手間に救いつつ、それまで余裕すらあったステッペンウルフに対して重いダメージを蓄積させ続ける化け物。
もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな。
スーパーマンがどれほどやべえ奴なのかが存分に味わえました。
ちょっと前までのDCEUであれば、
多分ここに絡めてブルースの悩みパートとかも仕込んできそうなもんなんですが、
安心してくださいそんなものは無いです!!
ブルースとクラークは仲良いまま映画終わります!!
・劇中BGMとエンディング曲
スーパーマンのテーマちょっと使ってましたね。
バットマンのテーマも。
『マン・オブ・スティール』でなぜ使わなかったのか、これでますます分からなくなってまいりました。
BGMもまた、かなりヒーロー映画らしい感じの曲調に仕上がってました。
ダニー・エルフマンが今回は手掛けてるみたいです。
各キャラクターのテーマソングであろうものも若干聴けます。
意外とって言ったら失礼ですが、手が込んでました。
遊びの要素の多いBGMというか、映像を邪魔しない程度にフックをかけてくる絶妙な感じ。
そしてエンディング曲にビートルズの「come together」をエライかっこよくアレンジしたものが使われてました。
ゴッドスマックがまだ活動してた事が驚きだわ!!!
でもコレジャナイんですけどね。
もっとロービートでブレイクダウンした感じでした。
オリジナルはコレ。
そう、最近思ってたんですけど。
この辺りの年代のロックを映画に起用するの流行ってんの?
来年公開される『キングスマン:ゴールデン・サークル』もThe Whoの「マイ・ジェネレーション」のリミックスが予告編に使われてますし。
とーきんばいまいじぇーねれしょ!
原曲はこんなんですよ。
つい先日公開された『マイティ・ソー/バトルロイヤル』もレッド・ツェッペリンの「移民の歌」が使われてました。
正直言って俺得だからもっとやってほしいんだよね。
こういうの。
■その他
グリーンランタンらしき何かがちらっと出て来たり、
エンドロールのおまけ映像であったり、
遊び心もふんだんに散りばめられてました。
エンドロールの話で言えば、レックス・ルーサーの発言も気になりますね。
「俺達もチームを作る」みたいなやつ。
そしてフラッシュとスーパーマンのレースとかいう、
言われてみれば観てみたいものを地味に映像化するサービス。
段々こなれてきたな、DCEU!!
■まとめ
ヒーロー集合モノ映画としてしっかり堅実な作りになってます。
どこかに焦りがあるのか、急ぎ足に感じる部分もありますが、全体を通して面白い映画です。
というか、正直マジでまさかここまで快活で王道なヒーロー映画に仕上げてくるとは思ってませんでした。
バランスのとり方も上手いです。
コミカルになりすぎず、シリアスになりすぎず、しかし単調にもならないという非常に上手い塩梅です。
各キャラクターに関して、
ぶっちゃけ誰も知らない状態でも安心して観れます。
そのキャラがどんな感じなのかしっかり説明ありますから。
ほんと、これ良いんじゃないですか?
個人的にヒーロー映画全体で観ても結構良い位置に行きますよ。
この映画は、下記の動画配信サービスで視聴する事が出来ます。
ではまた。