趣味と向き合う日々

映画やドラマなどの映像作品を中心に気ままに書いています。

オリエント急行殺人事件(2017年・アメリカ) バレあり感想 初見の人も、オチというか結末知ってる人も絶対楽しめると思う

今回めっちゃネタバレしてます。

原作もオチも知らず、まだ観てない人はわりとマジで後悔するかもしれないので気をつけてください。

 

 

 

オリエント急行殺人事件』(原題:Murder on the Orient Express)

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出典:1ZOOM.Me

youtu.be

 

 

 

 

■ストーリー

エルサレムで事件を解決し、休暇に入ろうとしていた世界一の名探偵エルキュール・ポワロの元に、新たな事件の発生とその解決の依頼が舞い込む。

 

仕方なくこれを承諾し、ポワロはオリエント急行に乗り込み、その旅の間だけはせめてもの休息を味わおうとしていた。

 

だがその道中、列車内で殺人事件が発生する。

列車は雪崩の被害を受け稼働できず停車していた。

 

ポワロはこの列車内で起きた殺人事件を解決するべく、乗客への聞き込みと推理を開始する。

 

しかし、多くの証拠やアリバイを精査していけばいくほど矛盾が生じてしまい、犯人への手がかりが遠のいてしまうのだった。

 

 

■感想

 

原作はアガサ・クリスティ推理小説オリエント急行の殺人』。

本作は70年代にイギリスが同小説を原作に一度映画化してます。

 

僕はこの両方とも手つかずでした。

他にもいろんな形で映像化されたりしてますが、全て鋼の心でスルーしてきました。

 

つまり、事の顛末を全く知らない状態です、完全初見。

 

 

だからなのかもしれませんが、もうホント凄く良く出来た映画だと感じました。

 

 

 

序盤十数分のエルサレムでのシーンでポワロがどういう人物なのかを描き、

オリエント急行に乗り込むまでのシーンで既にポワロの掘り下げはほぼ完結させてます。

 

その後、オリエント急行内での各登場人物の描写を丁度良い感じに差し込み、事件発生。

そして証拠や証言を集めるパートでしっかりと時間を使って物語を盛り上げ、

最後の推理パートで状況を明確に描写していきます。

 

これってつまり、ものすごくオーソドックスな推理モノの形式そのものですよね。

1934年に発表された小説であり、原作者アガサ・クリスティもまたコナン・ドイルのホームズのファンだったという事もあるので、当然と言えば当然です。

 

でもこのオーソドックスさが凄く良かったんですよね、個人的に。

基本に忠実というか。

 

何よりも、ポワロ視点から終始物語が進む為、観客も一緒になって推理が楽しめるっていうのは、やっぱり今日に於いても強烈な魅力があります。

謎解き楽しい。

 

原作にもある描写なのか分かりませんが、

そういう視点を前提としたミスリードが大量に配置されてるのも、テンプレ的でありながらも面白かったです。

 

 

現代の推理モノでもほぼ同様の形式が継承されてます。

一方でサスペンス作品やミステリー作品といった形式に推理モノを迎合させた、所謂応用編みたいな作品も今じゃたくさんあります。

というかもうこっちの方が人気です。

 

 

分かりやすいのが『セブン』です。

サスペンスホラーに推理要素を付随させ、終盤まで主人公と観客は犯人探ししつつも、クライマックスで突き落とされる感じ。

 

レクター博士三部作にも同様の要素が見られます。

 

 

そう言う作品がたくさん出てきて純正の推理モノのお株が奪われつつある中、

今一度基本に還ったかのように『オリエント急行の殺人』を再映画化したのは中々こう上手い事するなぁと。

 

 

 

 

さて、ここから本格的なネタバレ込みで書いていきます。

 

なんで僕が初見もオチ知ってる人も楽しめると思ったかというと、やっぱり各役者の演技と伏線の配置、ミスリードが上手すぎると思ったからです。

 

ラチェットを殺害した犯人は車両に乗り込んでいたポワロ以外の全ての乗客です。

全員悪人定期。

 

これを知ってる前提で映画をまた観た場合、絶対に楽しめる要素がミスリード描写と演技だと思うんですよ。

 

乗客全員が犯人なのにそれを思わせないような姿を演じている訳で。

つまり二周目、オチを知っている前提で観た場合、全く違う面白さが顕現すると思いました。

 

それは犯人たち視点からの描写で事件を追える楽しさというか。

 

ファイトクラブ』や『シックス・センス』の二周目みたいな、

前提条件が変わる事で楽しめる視点が変わるみたいな、そういう要素を意識した作風になってたように感じます。

 

多分ホントにオチまで含めて有名な作品だからこそ、こういう二周目要素を盛り込んだんだと思います。

間違いなく意図的に仕込んでます。

今にして思えば「あのシーンは明らかにわざとこんな事言ってるんだな」みたいなのが思い浮かんだりしますし。

裏では結構てんやわんやしていた犯人の皆さんが想像つくような感じで。

 

 

これが中々個人的に好きな点というか、この映画名作だわって確信した感じです。

 

初見にはちゃんとした推理モノとして楽しめるように作られていながら、

オチ知ってる組にも楽しめる要素を盛り込んでるっていうのがもうホント丁寧。

極まってる。

 

 

あとは伏線の張り方が綺麗ですよね。やっぱり。

伊達に名作と言われてる訳じゃないんですね。

 

それこそ、「旅行シーズンでも無いのになんで列車が満席なんよ?」みたいな、

さり気なくもちゃんとひっかかるような部分を作って、しっかりひっかけてるのに上手くそれを流させる感じとか。

 

 

 

そしてこれは僕が初見だからかもしれませんが、

物語としてのオチは事件解決に置かれていないのも結構驚きました。

 

むしろこの事件を通して、ポワロが自身の価値観と向き合うみたいなところが主軸だったりするんですかね。

 

完璧主義者のポワロがある種の柔軟性を獲得するまでの物語としても観られますし。

 

 

とにかく面白かった。凄く練られて作られてる映画でした。

 

 

 

■まとめ

 

超有名な推理モノだからこそ、ある種それを前提にしてオチ知ってる組に向けても楽しめる要素を放り込んでいながら、

初見組からすると至極丁寧でオーソドックスな推理モノ、古典的で真っすぐな作品としてしっかり成立しているのが個人的にやっぱ凄いと思いました。

 

ただ実際に僕はまだ二周目した訳じゃないので、この辺りは正直予測に過ぎないですが。

 

作りはとても丁寧です。

字幕で僕観ましたが、推理パートでもしっかり状況がわかるように描かれてます。

 

初見だからこそかもしれませんが、

最終的に事件を真相を紐解いてお終い!では無く、

ポワロが新たな一面を見せるところが最終的なオチになってるのも凄く好きです。

 

というか「単純に原作が面白いから映画も面白くなる」という事以上に、映画として新たに落とし込める面白さもたくさん加わってると思うんです。

原作知らんからあまり言えんけどね。

 

良い映画ですよ。

2017年はもうこの映画で締めくくってもいいくらいの気持ちになりました。

スターウォーズガルパンが控えてるから実際はそうはなりませんがね。

 

ではまた。