ゾディアック(2007年・アメリカ) バレあり感想 狂気と狂気がぶつかり合った結果、素晴らしい本が出来たというお話。
実話を元にした映画の中でも、個人的にこの映画が一番好きかもしれません。
デヴィット・フィンチャーが監督やってるっていうのもりますが、とにかくお気に入りの作品です。
そんで今回改めて観てみて思ったんですけど、出演してる役者が豪華すぎてエライ事になってますね。
『ゾディアック』(Zodiac)
■ストーリー
新聞社に届く殺人予告の手紙。
添えられた暗号文章。
事件はセンセーショナルに、大々的に報じられた。
そんなゾディアック事件に、新聞社に属する漫画家の男も憑りつかれていた。
ゾディアックは一向に捕まる事も無く、やがて模倣犯や偽物も現れ始め、事件は複雑かつ難解な物へと変貌していく。
やがて進展の無いまま月日は経ち、事件は風化し、最後の担当者であった刑事もその席を外れた頃、漫画家の男は一人事件を追い続けた。
そして、その異常な執着はやがて一冊の本を生み出す事になる。
■感想
結局この事件、真犯人は見つかっていないんですよね。
一時期は数千人もいた容疑者が90年代には一人にまで絞られたんですが、
その容疑者が心臓発作で亡くなり、死後に唾液のDNA鑑定を行うもののこれも一致しませんでした。
これにより、いよいよ真犯人の特定は困難になっているということなんだそうです。
そして今でも捜査は続いているよ、という事なんですが、このゾディアック事件の捜査は一時期打ち止めに近い状況だったそうです。
そんな中、一人の元漫画家が出版したゾディアック事件をまとめた本がバカ売れして、ついでにそれまで錯綜し狂っていた情報が統合された事もあり、捜査が再開されたという経緯があります。
今回はそんな大ベストセラー、ゾディアック の著者であるグレイスミスと、ゾディアック事件を担当していた刑事ト―スキーの二者を中心に映画が進みます。
実際のロバート・グレイスミス氏がどういった人物なのかは分かりませんが、
この映画に於いては謎の連続殺人犯ゾディアックよりも狂気に満ちた男のように描かれている気がします。
一つの物事に対して徹底的に拘ってしまう人はそれなりに世の中に居ますが、
作中のグレイスミスは常軌を逸しています。
事件に魅了されているというよりも、執着や依存に近い状態になっているっぽく僕には見えました。監督が監督なので意図的にそういう描き方をしているような気がします。
ただ、そんな執着のおかげで忘れ去られかけていたゾディアック事件に再び注目が集まり、捜査も再開されることになります。
映画で描かれるのはグレイスミスの出版したゾディアックがベストセラーになり、これを機に事件の捜査も再開される場面までです。
そういう流れでこの映画、真犯人は分からないながらもどこか捜査している側が勝った風な空気が味わえて不思議です。
また、異常者であろうゾディアックという存在を、異常な執着心で追い詰めた漫画家という構図が個人的に中々ハマる部分があり、一年に一回は観たくなります。
結局目には目をってことなんよね。
最初は主に新聞社と警察の二つのストーリーが交互に展開されるような形ですが、一連の事件から時間が経つにつれ、一つのストーリーラインに収束していくという流れが非常に面白い。
事件が風化するにつれ結果的に関係者が減ったり絞られたりして、殆どの人の記憶から消え去った頃ようやく映画的には一番の盛り上がりがくるわけですし。
そしてやっぱりここにもグレイスミスの狂気が絡んでいるように思います。
■まとめ
映画のメッセージ的な部分では、なんなんでしょうね諦めるなとか事件を風化させてはいけないみたいな軽めの部分も含め、きっとしっかりしたテーマがあるのかもしれませんね。
でも僕はこの映画はそういうテーマやメッセージという部分よりも、キャラクターに魅力を感じました。
題材でもあるゾディアックという異常者を別のベクトルの異常性で上回りにくるグレイスミスという人物に色々と面白い要素が凝縮されているように思ってます。
言っても単純にミステリー物としても楽しめる映画です。
良い映画ですよ。
今回もHuluで視聴しました。
意外とね、最近のラインナップは割とイケイケな感じになって来てるんで、一時期の悲惨な頃に離れていった人たちもワンチャンカムバックしてみんか。
ではまた。