機動戦士ガンダムNT(2018年・日本) バレあり感想 ストーリーはシンプルに面白い。MS戦は超盛り上がる。でもニュータイプに関する見解には思うところがある。
宇宙世紀ガンダムの完全新作かつ単品の映画作品という事もあり非常に楽しみに待っていました。
単品の作品ではあるものの、宇宙世紀を舞台にした一連の作品は全てどこかしら繋がっています。そして今作に関しては実質『機動戦士ガンダムUC』の後日談といった立ち位置でもありました。
『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』
【チラシ付き、映画パンフレット】機動戦士ガンダムNT 劇場用プログラム 通常版
本作の冒頭23分がYouTube上で公開されています。
ネタバレは突然に。
■ストーリー
宇宙世紀0096年に起きたラプラス事変の中で、人知を超えた力を発揮した二機のユニコーンタイプは解体、封印された。
だが、公式記録から抹消されていたユニコーン三号機”フェネクス”が現れる。
連邦軍所属の特務部隊シェザール隊とネオ・ジオン軍残党"袖付き"の一派はフェネクスの捕獲の為にそれぞれ動き出す。
やがてそれはフェネクスを巡る戦いへと発展していく。
■感想
相変わらず様々なモビルスーツがたくさん出てきた 。で、たくさん戦った。それが楽しい。
正直僕はもうモビルスーツとバトルシーンメインでガンダムというコンテンツを楽しんでいるんで、やっぱりこのモビルスーツわんさかでバトルシーンもたくさんというのがどうしても楽しく感じます。
ガンダムUCはこの点がかなり推されていた作品で、その後を描いた本作もやっぱりその要素を引き継いでいました。
今作唯一の新MSは主人公機でもあるナラティブガンダム。
HGUC 機動戦士ガンダムNT ナラティブガンダム A装備 1/144スケール 色分け済みプラモデル
ちなみに一般販売のHGUCのガンプラだとA装備のフェネクス絶対捕まえるマンがデフォです。
劇中で更に登場するB装備はプレミアムバンダイでオプションが販売されています。
この感じだと最終C装備もプレバンかもしれませんね。
さてこのナラティブガンダム、νガンダム以前のサイコフレーム搭載試験機というポジション。ついでに何故かNT-Dも搭載してます。
そして腹にはコアファイターを搭載するというなんとも味わい深いガンダムでした。
オプション装備で様々な形態になるというのが華要素で、本体はほぼフレーム剥き出しのガンダムというのも珍しいですね。
その他の機体は、ゲームやらプラモやら何かしらで既に登場していた機体及び過去シリーズからやってきた同窓会組です。
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冒頭のディジェの三連星のシーンからもうわんさか出てきてますからね、MS。
このシーンだけでジェガン、アンクシャ、グスタフカール、ディジェと四機も出ちゃうんだもん。ワクワクするよ。
ていうかこのメンツ相手によくディジェ三機で挑んで勝てたな。
不意打ちとは言え、ディジェと他三機には10年も開発時期に差があるわけで。
ていうかディジェって量産されてたんだな。
映画の帰りにヨドバシで発売されたばかりのHGUCディジェの箱の機体解説読んできました。
ディジェはアムロ専用のワンオフだと思っていたんですが違うんですね。知らんかったぜ。
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そしてストーリーが進んで今度はフェネクスとナラティブガンダムA装備との戦闘シーンです。ここではジェスタも登場。
劇中に出てくるシェザール隊仕様のジェスタはHGUCでプレバンで手に入ります。
今はもうバリエーションは殆どプレバンでの販売って感じなんですかね。
このシーンでいきなりフェネクスが有り得なさすぎる動きをするので、なんとなくフェネクスの正体が察せたりします。
バトルシーンにおいてもフェネクスが他のMSとは何か圧倒的に違うというところを上手く見せてくれる演出が満載でした。
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コロニー内での袖付きとシェザール隊の衝突。
ここで出てくるのがシナンジュスタインと、なぜ存在するのか理由はともかくシリーズきってのロマン機体ネオングのカラバリ、セカンドネオジオング。
あとギラズール。バリエ要素もあるよ!
この辺りのコロニー内戦闘から次第に上記した超パワーバトルになっていきます。
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サイコマシーン同士がやり合ってる中で、通常のモビルスーツで必死にそこに食らいつく各機の姿には哀愁を覚えます。
ジェガンで必死にネオングに攻撃したり、ジェスタでなんとかガンダムを助け出そうとくらいついたり。
そして最後にはシルヴァバレトに乗ったバナージが、主人公ヨナ君のピンチを絶妙に救ったり、通常のモビルスーツの見せ場もしっかり作っているところが僕は好きです。
サイコフレームってとんでもない代物だぜ!というのを描く為の不死鳥狩り。
メインストーリーは至ってシンプルでした。
ユニコーン三号機が現れたから捕獲しようという事で、連邦と袖付きの一派の方々がそれぞれ動き出して、衝突して戦いに発展するという感じで分かりやすかったです。
その衝突の裏には実はルオ商会のミシェルの策略が働いていました。
双方の有するサイコマシーン(ナラティブガンダムとセカンドネオング)の激突によって生じるサイコフレームの共振でフェネクスを釣るという目的の為に、シェザール隊も袖付きも釣られていたという事がミシェル自身によって明かされます。ミシェルは悪い子。
つまり釣りをする為に釣りをしてるんだぜ!
こんな回りくどい話を90分の枠組みの中で分かりやすさを維持したまま描いてんだから凄いですよ。
そうまでしてミシェルがフェネクスを欲したのは、フェネクスのオカルトちからで死も超越しようと考えていたからというのが一つ、
そしてもう一つは、フェネクスの中に宿っているガチニュータイプの幼馴染リタちゃんを迎えに行くため(コチラは個人的見解でかなり曖昧です すみません)です。
ホントはミシェルは優しい子。
といった流れの中で、主人公のヨナ君はフェネクスの中に溶け込んじゃった幼馴染のリタを取り戻すために真摯に頑張る、というのが本作の大筋でした。
わかりやすい。歴代ガンダムの中でも屈指の分かりやすさだ……。
ヨナ君がマジで"男の子"って感じで良い味出てます。
軍属のわりに軍属感がとても薄いのも彼の個性の一つですね。
最初から軍属の主人公ってわりと少ないんでその辺りで何かしら苦悩を設けてくるかと思いきや、あくまでリタちゃん一直線っていうシンプルさも好きです。無駄が無いです。
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こういうストーリーで何を見せに来たかというと、これまで以上に能力バトルチックなサイコマシーン対決でした。
作品の最終盤でニュータイプの主人公に機体が感応して不思議な力が発揮されるというのは伝統芸みたいなもんでしたが、
今作は最初から最後まで不思議現象のオンパレードですよ!
何故なら件のフェネクスがそもそも不思議パワーで駆動している機体ですしね。
リタちゃんの意識というか魂というかそんなんが纏わりついてフェネクスを動かしている様子で、そんなヤバいものが話の中心に添えられた以上は周りの機体もそれなりにヤバくなってもらおうという気概を感じます。
セカンドネオジオングとラティブガンダムの戦いで両者のサイコフレームが共振しフェネクスが釣られてサイド6の学園都市コロニーでの戦闘が発生して以降、
ネオングがもう超能力としか言いようのない現象を多々引き起こし、それをフェネクスとナラティブの二機が超パワーで阻止する怒涛の展開。
サイコフレームが人の思いに感応するとどんなことでも起こりうるという、そういう事をこれでもかと見せつけられました。
これって多分今作よりもこの作品以降で鍵になりそうな気がします。
いくらなんでもやりすぎって事をやりすぎている訳で、このあざとさは明らかに何かを察せと言う事だと思うんですよね。
潔いくらい超パワーバトルばかり展開されるので逆に素直に受け入れられました。
思えばUCの最終話ラストシーンの一連の異次元パワー描写から明らかにオカルトが過ぎていた点はありますが、それを踏まえて今作は完全にそれがメインにきているあたりラプラス事変とかよりももっとデッカイ事件をサイコフレーム関連でやろうとしているとしか思えないです。
ニュータイプに関する今作の見解。個人的には微妙。
これは正直どうなんでしょうね。
個人的には今作でのニュータイプの見解って、ニュータイプという存在の神秘性みたいな部分が薄れてしまうようにも思いました。
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人の意志の力の具現化であったり死者との対話であったり、テレパシーや先読みのようなものであったり、これまでの宇宙世紀シリーズでは数々の能力を垣間見せているニュータイプ。
ファースト~CCAまでって、それらの特性はあくまで一側面に過ぎず、ニュータイプの本質そのものでは無いというような描かれ方がしていたように思うんですよね。
ニュータイプとは何かという部分をあえて定義化していなかったはずです。
UCに関しても、そういった神秘性は意識されていたんじゃないでしょうか。
だからこそ、人の心の光という極めて曖昧でつかみどころの無い力の存在を、あのガンギマリなSF世界の中で成立させることが出来ていた気もします。
旧人類の知見では測れない存在だからこそ、宇宙時代に適応して進化した人類らしさが出ていたように思っていたんですよ。僕個人は。
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今作ではしかしこのニュータイプについて掘り下げる、というより定義化に近しい話が出てきました。
超要約すると「ニュータイプとは高位の次元から力を引き出せるシャーマン」みたいな、そんな感じに捉えていたみたいです。
描写として実際に上記のニュータイプ像は過去作から幾度となく描かれています。
でもこれがニュータイプの資質の一側面では無く、本質そのものとして捉えられたような形になるとニュータイプの魅力が薄れる様に感じます。
フロンタルが高次元の知識を引き出して組み上げたのがネオジオングだとか、人の魂は死ぬと高次元へ昇華するだとか、兎に角この高次元という要素、別に要らなかったんじゃないかと思うんですよ。
或いはあくまでこれはニュータイプの神秘性という部分の捉え方の問題で、言葉の言い換えで高次元という表現を使っているにしても、そうじゃないだろ感が拭えませんでした。
別にこの次元の中で人知を超えた力を発揮してもいいじゃない。
だってそれがニュータイプなんだからって、それでいいじゃない。
個人的に印象に残ったシーン。
・マーサおばさん、ガンダムUCでのいざこざの後何故か若返る。
そして冒頭以降登場すらしない。
・地味にニタ研の施設内描写は初な気が。
案の定ろくでもない事やってた。
・ネオングが合体先を見誤ってガンダムとドッキングしちゃうのおもろい。
それに悔しがってるゾルタンもおもろい。
・コロニーを傷つけたり穴を開けたりもするのは連邦側のお約束、
だと思っていたら今回はジオンがやってくれた。
・結局終盤のバナージがかっこいい。
ていうか精神的に成長しすぎだろ。バナージ。
■まとめ
話としてはガンダムUCの後日談であり、控えている次作ガンダムUC2の前日譚のような内容です。
そこで描かれたのは、人の意志の力を具現化するサイコフレームとニュータイプが見せる無限の可能性の一端といった感じでした。
フェネクスの捕獲をストーリーの主軸に於きつつ、内容としてはこれまで以上にオカルトチックな力のぶつかり合いが多いです。
僕個人としては、ニュータイプに対する見解という部分以外は楽しめたんですが、
宇宙世紀シリーズのハードSF的な部分が好きだという人は多分今作嫌いなんじゃないでしょうか。
やっぱりUCの跡継ぎ作品だけあってMS戦のシーンは非常に出来が良いですね。
上の方でゴチャゴチャ書いていて言うのもなんですが、
ぶっちゃけ僕は難しい話なんかよりバトルシーンを楽しめればそれでいいとも思ってるので今作は総合的に見たらかなり好きでした。
ガンプラ作るモチベに繋がったらそれでいいじゃない。ロボットアニメなんだもの。
ではまた。
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