エスター(2009年・アメリカ) バレあり感想 エスターというキャラのギャップに魅力が感じられない。でもエスターは悪くない。
悪いのは空前のヤンデレブームとかいう狂気とその時期にオタクだったお前や俺だ。
『エスター』
(ORPHAN)
ネタバレありの記事です。
■ストーリー
孤児院から悪魔みたいな女を引き取ってしまったのに、悪意に鈍い父のせいで家族が散々な目に遭う。
■感想
エスターはロリババアでヤンデレ気質な精神異常者ちゃんという事でね。
良い子だと思って引き取ったのに実は死ぬほど悪い子、ついでに実はホルモン異常なだけの30代女性だった、というのがこの映画の内容であり、盛り上がりどころでした。
演出は全体的にホラーテイストなんですが、基本的な部分はサイコ物です。
この映画が公開されたのは2009年。
スクイズの言葉やひぐらしの竜宮レナ等、日本では00年代のヤンデレブームと、それに付随して勢力を伸ばした裏の顔コワイコワイなのだ系女子ブームが巻き起こっていたくらいの時期の映画です。
また、ネギま!のエヴァンジェリンさんや化物語の忍野忍といった、実年齢は高齢(仙人)ながら容姿は幼さの残る少女というキャラクターも同時期に人気を博していました。
そもそも、日本ではもはや準国民的アニメ(漫画)である名探偵コナンなんかも同様のシステムを内蔵した青年が主人公ですね。
そんなわけでエスターの二大おもしろ要素は、日本人でオタクの僕にはあまりヒットしませんでした。
たまたま僕がこの映画で描かれるエスターさんのギャップ要素に慣れてしまっているだけで、エスターはきっと本来面白い映画なはずです。
というか、結構な序盤くらいでこいつロリババアだろって気づいちゃいまして。
この手の映画で、そういったクライマックスで明かされるはずの要素に序盤で気づいてしまうと後がね。
観ていてもその分の驚きが無くなるんで、もうどうしようもなくなるんですよ。
だから、サイコスリラーのサイコな要素を精一杯楽しもうと思ったわけですが、
サイコ路線メインで観てみると、この映画はちょっと弱めというか中途半端な感じなんですよね。
というのも、彼女が最終的にジェノサイドに踏み切る最大の理由と原動力が「精神異常者だから」という段階で止められてしまっているからだと思うんですよ。
その精神異常者が異常行動の中で見せる、ソイツなりの筋の通った理屈や理由なんかが在れば、そこにギャップが生まれて魅力も出てくると思うんですが、エスターにはそういった筋の通った動機が無いように思います。
子供だろうが関係なく銃口を向けるし殺意も向けるみたいなシンプルにきがくるってるだけのキャラでも勿論良いんですけどね。
どうしてもキャラ付けが弱く感じてしまいます。
あとやっぱり脚本都合としか思えないレベルでキャラクターがバカになっちゃうと、どうしても気になる人は気になりますよね。映画的なバカってやつです。
確実に存在し実行し得たはずの最善策を、何時如何なる時も採用しなくなるアレですよ。
本作では特にケイトが酷かったですね。
エスターが危険だと気づいた後も、暫くプライバシーもクソも無いリビング辺りでエスターに関する悪口言ったりしてんだもん。そりゃ狙われますよ。
ホラーテイストの映画やパニック物はこれが発動している事が多く、ウンザリしている人も沢山いるんじゃないでしょうか。
■〆
個人評価:★★☆☆☆
万力で自分の腕潰してまで被害者を演じるエスターは、やっぱり異常者として十分魅力的なキャラな気がしてきちゃったぞ。
併せてこんな映画もどうですか枠。
レビューサイトなんかでエスターは胸糞悪い映画ってレビューを結構見かけたので、事前にこのダンサーインザダークを観て耐性でもつけたらどうですかという提案です。
俺はマジでこの映画嫌い。でもビョークが好きで観ちゃう。
・『SAW2』
SAW2は映画的なバカをたくさん観ることができます。
ではまた。