アリータ: バトル・エンジェル(2019年・アメリカ) バレあり感想 ライトに観れて楽しいサイバーパンク物。
今月先月の洋画大作は『アクアマン』も『ファーストマン』も見逃したけど、これだけはどうしても観たかった。
『アリータ: バトル・エンジェル』
(Alita: Battle Angel)
ネタバレ有りです。
■ストーリー
没落戦争から300年。
唯一残された空中都市ザレムと、ザレムへの資源供給者であり、ザレムからのゴミで形成される地上の街アイアインシティに世界は分断された。
サイボーグ技師のイドは屑鉄の山の中から一人の半壊したサイボーグ少女を見つけだす。
彼女の脳は仮死状態にあり、イドは彼女に新たなボディスーツを与える。
目覚めた彼女にイドはアリータと名付けた。
アリータは記憶を失っている。
自身が何者か分からぬまま、イドやアイアンシティで出会ったユーゴ、そして彼の仲間達と交流を重ねる。
賞金首のグリュシカに狙われたイドを助ける為にアリータが戦いに挑む。
そこで彼女はサイボーグ特化の格闘戦術であるパンツァークンストを無意識化に用いていた。
そしてアリータは自身の記憶や仲間であるヒューゴの為、様々な戦いに身を投じていく。
■感想
原作コミックス『銃夢』(ガンム)前提なのかと思いきや、全くそんな事はありませんでした。
基本の流れは、サイバー技師のイドさんに復活させてもらったアリータちゃんが、自身の失われた記憶と過去を追い求めながら戦闘マシーンと年頃の女の子の狭間を行き来するバトルアクション濃いめのSF物って感じでした。
ストーリーそのものはとてもオーソドックスというかシンプルで、この手の作品にしては珍しく哲学要素も薄めで非常に観やすかったです。
ただこのストーリーの内容そのものはとても濃かったです。
一本道ではあるものの、とんでもない量のイベントが発生します。
クズ鉄町(アイアンシティ)とザレムの二つに分かれた世界を知ってすぐに賞金首連中との戦闘してみたり、実質治安維持担当のハンターウォーリアーになってみたりモーターボールというスポーツに挑戦してみたり恋をしてみたり人殺してみたり。
特に後半からのラッシュ具合は相当なものでした。
モーターボールでの逆八百長試合から危険なハンターウォーリアー複数との戦いにスムーズにシフトして、
ボス枠的な強そうなダルマことグリュシカとタイマン張って、権力者っぽいお兄さんを倒して黒幕が現れ、
そして夢のザレムに向かう恋人ヒューゴを止めに向かうもののヒューゴを失い、
失意の中で最後はモーターボールのチャンピオンリーグに挑むという。
原作のイベントと要素を拾い上げながら一つの軸に集約させているんだと思います。
ストーリー面は正直個人的にかなり満足度が高いというか、エンターテイメント作品として物凄く正直な作りになっていて、「とても良かった」以外の感想が逆に出てきません。
サイバーパンクものって小難しそうって人でもかなりとっつきやすいはずです。
という事でビジュアル面とかキャラクターとかの感想をメインに書きます。
まずサイボーグの方々の多くが全身義体なのが個人的に最高にツボです。
顔以外全身サイボーグなのかと思いきや顔のパーツすらも実は造り物だったりしますし。
ザパンとか。ていうかお前がダマスカスブレード使うんかい。
ザパンの描き方が良いですとても良いです。
全身サイボーグで顔すらいじり倒したザパンが一番人間臭いというか、単なる小者枠に落とされていないところとか、原作愛みたいなものがある気がします。
登場するキャラクターの大半がサイボーグっていう狂い具合も、この手の作品が好きな人にはたまらないと思うんです。
そうじゃない人たちもザレム勢は生身の身体に電脳のっけてるわけですからね。
イドとヒューゴのお友達たちくらいしか人間キャラ居なかったと思います。
ヒューゴ自身も後半で瀕死の傷を負ってやむなく首から上だけ救出されて無事にサイボーグになりますしね。楽しい映画。
アリータがヒューゴの頭だけ抱えていてるビジュアルってだいぶショッキングに描けるシーンなのに、かなりその辺りを抑えてましたね。
その他のグロそうなシーンとかもそうですが、かなりあっさり目に、くどくならないように見せています。
この辺りもライトな感覚で楽しめると感じた所以です。
あとはやっぱり街の景観が最高ですね。
原作で描かれるクズ鉄町以上に、映画のアイアンシティは退廃感を意識していると思います。
サイバーパンク的でありつつも世界が崩壊した後の香りが残る街並み、しかも空にはザレムとかいう文明爆発空中都市が浮かんでいるんですよ。
テンションが上がりっぱなしですよ。
という事で感想記事自体もライトというかフワフワしたものになりました。
マジで面白いものを観ると人間シンプルになるものよ。
■〆
個人評価:★★★★☆
近くの映画館では3D吹替え上映しか無かったのでそちらで観たんですが、
古館一郎の渾身のモーターボール実況がなんとも不思議な空気を作ってくれました。
次は絶対字幕で観ると誓うくらいにはね。
古館一郎さんはやっぱり生で本領発揮する方なんだと思います。
悪い試みでは無いと思うんですけど、今回はちょっと映画に合って無かったような気がしました。
ではまた。