キャプテン・マーベル(2019年・アメリカ) バレあり感想 単独映画では無くMCU作品群全体のスピンオフ作品って感じ。
ネコと和解せよ。
(Captain Marvel)
【映画パンフレット】キャプテン・マーベル 監督 アンナ・ボーデン、ライアン・フレック キャスト ブリー・ラーソン、ジュード・ロウ、サミュエル・L・ジャクソン、クラーク・グレッグ
Captain Marvel | Trailer & Official Movie Site
ちなみに↑の本国公式HPは一見の価値アリです。
インターネット黎明期のホームページの雰囲気をここまで再現できてるのはマジで頭おかしい。
ネタバレあり。
■ストーリー
コズミックキューブの力を応用したらしいスーパーエンジンの爆発に巻き込まれてスーパーパワーを得た地球人女性キャロル・ダンヴァ―スは、しかし記憶を失い本当は敵である男ヨン・ロッグに確保され、ヴァ―スという名でクリー人の特殊部隊員として訓練を受けていた。
任務に失敗して敵対しているスクラル人達に捕まるも脱出し、地球に落ちる。
地球で出会った諜報員フーリーと共にスクラル人達の侵略から地球を守ろうとするが、スクラル人達は実は善良な集団でクリー人はクソ。
色々あり覚醒したキャロルは、地球を爆撃にやってきたクリーの攻撃艦を片手間に沈めてしまい、友情出演したロナンもこれには苦笑い。
今日も地球の平和は守られたし、この一連の事件によってフューリーは地球外の脅威を意識し、アベンジャーズ計画を構想するのだった。
■感想
マーベルシネマティックユニバース全体としては21作目に当たる本作。
MCUフェーズ2の中盤辺りからの傾向ではあるんですが、今やシェアードワールドというより一連のシリーズ作品群として、それを前提として物語が作られています。
本作キャプテン・マーベルも例に漏れず、"キャプテン・マーベル"というヒーローをメインに取り扱った単独映画として作られてはいませんでした。
スピンオフですよねこれ。
『ブラックパンサー 』の感想記事でも同じような事書いたんですけど、新規を取り込む事はあまり考えられていない作風という印象を受けました。
作品数が多くなりましたし仕方のない事ではあるんですが、やはり単独一作目なんだから単独作品らしい作りにする方が良いんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょうね。
キャプテン・マーベルことキャロルちゃんがヒーローとして歩み出す姿を描いているには描いています。
予告とかでも推されていた失われた記憶を取り戻す要素だってあります。
でもそれらが思いの外うっすらとしていて個人的に不満でした。
うっすらとしている、というか単独作品として、ヒーローのオリジンを描いた作品として考えると、
キャロルのキャラ付けと掘り下げがあまりにも弱すぎるんじゃないかと思うんですよ。
重要そうにアピールされていた記憶の要素、キャロルが記憶を取り戻したことで一体どうなったのか、というところがかなり薄味な気がします。
物語的には記憶を読み解くことで、探し物である"ライトスピードエンジン"と"ローソン博士のラボ"の在処が判明しましたが、キャロル自身に訪れた変化や成長といった、キャラクターとして魅力が生まれてくるであろう部分が曖昧で分かり辛かったです。
キャロルは最初から一貫して、勇敢ながらもユーモアのある戦士という姿で描かれます。
クライマックス付近では覚醒して死ぬほど強くなりますが、そもそもキャロルはこの映画の最初の戦闘シーンから最後の戦いまで、ほぼ苦戦を強いられる事がありません。
唯一苦しめられたのが、凄いAIであるシュプリーム・インテリジェンス様との精神バトル辺りです。
だから、戦士としての成長とか強さとか、そういうところもぼやけてしまう気がします。
最初からフォトンブラストをブバババッッッと手から放って、クリー星で鍛えられた格闘術で暴れ回ってますからね。
いきなり出てきていきなり強いんですよ、ヴァ―ス(キャロル)は。
そんなキャロルの仲間として、そして実は悪い奴だった本作のメインヴィランであろう御方、ジュード・ロウ演じるクリー人特殊部隊のリーダー、ヨン・ロッグ。
冒頭でヴァ―スと組み手するシーンからいきなりフォトンブラストでブッバァアと吹き飛ばされたりしています。
後半、正体が明かされてからいよいよマジでキャロルとの戦いが始まるのかと思いきや、
この時点での戦闘はそこそこに留めて前述のインテリジェンス様(クリー人達のボス)に一任し、妙なエネルギー状の触手に拘束されているキャロルを仲間の皆と眺めるだけ。
キャロルが自力で拘束を破り、覚醒状態に入ってからは仲間達と共に果敢に戦いを挑むも、この時点ではもはや力量に差がありすぎて相手になりません。
そして最後は素手でのタイマンを申し込むも、やはりフォトンブラストでブビビィィィっと吹き飛ばされると悲しみを背負いながら実家へ投げ返されます。
こんな感じで、今回のメイン悪役はほぼ戦えて無いんですよね。
最後の「来いよベネット」ばりの武器なんか捨ててかかってこい煽りの一連の流れはオチとして秀逸だし最高です。
つまり、ヨン・ロッグはヴィランというよりもオチ要員感があふれ出ていました。
良いキャラだと思うし僕は好きです。
ちなみにロナンは殆ど戦いを眺めているだけでした。
MCUを追っている訳では無く、この映画だけ観た人に不親切だなと感じるところがこのロナンにもあって、
あんな描き方したらまるでロナンが黒幕みたいに見えちゃいませんか。
ダンスバトルを挑まれるくらいにはポップな悪役。
不満点を先に書きましたが、かと言ってつまらなかったかというとそうでも無かったです。
むしろ面白かったんです。
最も、それは僕が単にMCUのファンだからかもしれません。
これまでの作品群やその繋がりを知っているからこそ面白かった、という部分が多いように自分では思います。
フューリーとコールソンの若かりし日々が観れたりとかね。
上手い見せ方だなと思ったのが、スクラル人の描き方です。
彼らは最初はクリー人達と敵対する凶悪で卑劣な銀河系テロリストみたいな扱いをされているんですが、何故か作中ではやたらとラフなキャラ付けがされています。
全力で逃げなきゃならない場面で、電車から降りるおばあちゃんを優しく補助してあげたり。
それが単にそういうタイプの種族として描いていたのかと思っていたんですが、ガチの善良な異星人集団だったわけで、騙されました。
そして非常にユニークなキャラばかりで、とても魅力的なんですよね、スクラル人。
全体的にキャッチ―な作風でした。
いかにもMCUらしいというか、作風や雰囲気はフェーズ1の頃の各作品に近いので、それだけにやはり主役のキャラクターの描き方の部分が悔やまれます。
勝手に悔やんでろ。
■〆
個人評価:★★★☆☆
開幕でいきなり茶目っ気たっぷりにスタン・リーを追悼するセンス好き。
少し切なくなりました。
ではまた。