アイアン・スカイ(2012年/フィンランド ドイツ オーストラリア) バレあり感想 ナチス関連のネタよりもアメリカの自己中心主義いじりに全力出してる映画。しかしオチは割と考えさせられる。
こういう映画の方が強く記憶に残ったりするから人間って不思議。
『アイアン・スカイ』
(Iron Sky)
ネタバレ含みます。
■ストーリー
大戦末期、月の裏側へ逃げ延びたナチスの残党は、地球侵略の時を虎視眈々と狙っていた。
2018年、ナチスの秘密基地が偶然発見されてしまった事で事態は動き始める。
■感想
すごく面白かったです。
オチの毒味がかなりキツめで、単純なブラックコメディ映画に終始していない点がとても好きです。
本作は大戦末期に月にナチスが逃げた、という有名な都市伝説を元ネタにしていると思うんですが、都市伝説的な不気味さなんかは排除され非常にコミカルな作りになっています。
そしてちょっとブラックなジョークが豊富、と言いたいところですがジョークのレベルはもはや邪悪といっても差し支えないレベルでした。
特にアメリカを死ぬほどイジっていましたが、これは普段ハリウッド系の大作ばかりに目が向きがちな僕みたいな人間にとって新鮮に写ってしまったりします。
それと、どうでも良さそうなシーンやダレそうなシーンは何かしらのパロディになっていたりして、細かい部分でそれとなく面白い空気を醸しだしている点も好きです。
『ヒトラー 最期の12日間』のおっぱいプルンプルンを、構成はそのままにリメイクしてお届けしてくれたり。
黒人男性で主人公のジェームズを無理やり謎の薬品で白人に仕立て直して「白くなれて嬉しいだろ?」みたいなやり取りがあったり、
「UFOは俺たちの指導者が作った」という北朝鮮代表の見え見えの嘘の見解を各国が大いに笑いコケにしたり、
とにかくこう、ナイーブな部分へ土足で踏み込んでいくようなタイプのネタの応酬です。
これが魅力的に感じるか下品に感じるかでこの映画の好き嫌いは分かれそうです。
僕は魅力的に感じました。
なんやかんやあって宇宙での戦闘まで発生しますが、この辺りのシーンも常にどこかしらに毒が潜んでいて好きです。
やはりここでもアメリカの描き方に強烈なディスりが内在しています。
そしてそこが面白さの根幹になっているのは相変わらず。とても良い映画だと思います。
ナチスの秘密兵器を破壊したのち、地球サイドは一丸となって互いに健闘を称えあうのかと思いきや、ナチスが保有していた大量のヘリウム3の存在が発覚、
そして世界はそのまま核戦争へ。
エンドロールの間、核攻撃の光が各所からチラつく地球は遠ざかり、破壊された月も遠ざかり、最後に火星とおぼしき惑星のカットでこの映画は幕を閉じます。
火星もこれまた都市伝説に溢れた星ですよね。
例えば、かつて火星にも高度な知的生命体が居たものの、彼らは核戦争で星を焼き尽くして滅亡してしまった、みたいな話があったりします。
地球のその先の運命を暗に示したラストカットなのかもしれません。
いやこんな結末見せられてもwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
■〆
個人評価:★★★☆☆
続編、楽しみです。
とにかく濃くて辛辣な風刺が効きまくったネタが楽しめる映画。
人気があるのもうなずけます。
ではまた。
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