エクスティンクション 地球奪還(2018年/アメリカ) バレあり感想 謎の敵から侵略を受けた人類がバカみたいに逃げ狂う系の映画だと思っていたら……。
ネットフリックスのオリジナル映画です。
『エクスティンクション 地球奪還』
(EXTINCTION)
ネタバレ有りの感想記事です。
■ストーリー
何者かが空から突然降りてきて地球を攻撃する悪夢に悩まされていた技術屋のお父さん。
その悪夢が微妙に細部を変えつつ現実になり、てんやわんやした末に真実に辿り着く。
■感想
ネットフリックスのオリジナル作品の中でも際立ったSF感に惹かれて視聴。
近未来の地球を舞台に、悪夢に魘されるお父さんとその家族の絆を中心として、空から襲い来る謎の敵との戦いを描いた映画でした。
一見すると『宇宙戦争』よろしく安地を求めて謎の敵から逃げる一家の姿を描いたパニックアクション風味の作品です。
一方で、そういったパニックアクション映画らしからず、空からやってきた敵がやたら人間的で若干弱かったり『世界侵略:ロサンゼルス決戦』のように敵の技術系統と地球の技術系統が似通っていたりと、
敵は決して圧倒的な存在では無いという事が強調され続けます。
絶妙な「なんとでもなりそう」感を醸し出しつつ物語は進行し、敵の正体が人間である事が判明しますが、主人公達とそれなりに近い存在である事を匂わせていた為に、それほどの驚きは得られません。
ですが、敵の正体が人間であると判明すると同時に、主人公サイドの全ての人間がアンドロイド、完全な人造人間であるという事が発覚することで、この映画の観方が180度まるっきり変わってしまいました。
未知の敵から理不尽に攻撃を受けるパニックアクション映画かと思いきや、
過去、人類に反旗を翻した人造人間達によって制圧された地球を、火星に逃げ延びた人類が取り返しにきていたという、理不尽なのはむしろ主人公サイドの方だったという、それなりに棘のある事実が発覚します。
マイケル・ペーニャ演じる主人公のお父さんが観ていた悪夢は、過去の人類との戦争での記憶の断片でした。
戦争の後、一部を除いたアンドロイドは皆記憶を書き換えて、自分を人間だと思い込んで何十年も暮らしていました。
映画の冒頭で繰り返される仕事、家族、家庭という3要素のルーティーンは、何十年間にも及ぶ変化の無い暮らしを表していたって事ですかね。
伏線を徐々に回収していくのではなく、主人公たちが人造人間だったという一点で、複数の謎のシーンが一気に解明される気持ち良さは中々のものです。
そして凡そ50年の月日が経ち、力を蓄えて火星から帰還した人類と人造人間が再び争う事になり、どういう結末を迎えるのかとテンションも最高潮に達するクライマックスからの「俺たちの戦いはこれからだ」エンド。
なるほどそれがネットフリックスのやり方か。
■〆
個人評価:★★★☆☆
マイケル・ペーニャが今回もダメそうな人間を演じているなぁと思っていたらダメでも無いし人間でも無かった、そんな映画。
よくよく考えると人造人間による家族愛だとか、AIの意識の目覚めだとか、ハードSF染みた要素もてんこ盛りなんですが、
基本的な話の線と雰囲気はいかにもなSFパニック物を踏襲しています。
それが気軽さと観やすさに直結していて良い感じだと思います。
ではまた。