クローバーフィールド・パラドックス(2018年/アメリカ) バレあり感想 超常現象に対する理由付けの緩さが良いよね。
JJエイブラムス手がけるクローバーフィールドシリーズの第三作目。
ネットフリックス限定で公開されている作品です。
(The Cloverfield Paradox)
ネタバレを含みます。
■ストーリー
宙域での粒子加速器実験が成功した結果、奇怪な出来事が多発する。
■感想
量子加速実験の結果、別次元同士が干渉しあった世界に飛ばされた宇宙ステーション"クローバーフィールド"を舞台に、ステーションのクルー達を次々と困難が襲う様を楽しむ映画でした。
『ミスト』と『ザ・コア』を足してSF感を強めにしたようなイメージ。
これらに併せて、有名な都市伝説であるフィラデルフィア計画が恐らく元ネタの一つなんでしょうね。
フィラデルフィア計画は第二次大戦中に行われたステルス実験の事です。
駆逐艦を電磁コーティングしてレーダーから見えなくしてしまおうというものでしたが、
いざ実験を行うとレーダーから消えるどころか駆逐艦そのものが消失し、遥か彼方に瞬間移動してしまいます。
この結果、駆逐艦の乗員は壁に埋まってしまったり身体が半分消失した状態で見つかったり突然燃えたりと散々な目に遭ってしまうわけですが、本作は正にこれを意識したかのようなシーンが沢山ありました。
壁の中に突然人が埋まってたり、最初から無かったかのように腕が切断されたり。
最も、こんなもの以上に異常な光景がたくさん出てきますが。
身体の中から大量のミミズを噴出したり切り落とされた腕が自由意思をもってひとりでに動いていたり、ダクトから突然大量の水が流れ込んで来たり、
とにかく不思議な現象が起きまくりですが、それらの理由は別世界同士が干渉して現実が不安定になってしまったからの一言で片付く潔さに笑いました。
ミノフスキー粒子並の使い勝手の良さだよこれ。
宇宙ステーション"クローバーフィールド"は別の次元の地球に飛んできてしまった事が発覚し、その世界は本来の世界とは大きなズレが生じています。
どうやって元の世界に帰るのかを模索するパートが始まるかと思いきや、「また粒子加速器を起動すれば元の世界に戻るよ」の一言で片付きました。
世の中ってシンプル。
結局その加速器を起動させるための過程で、クルーは次々に命を落としていくのですが、解せないのが一人になったクルーを狙い定めた様に超常現象が襲い掛かる点。
世界の意志的なものが、異物である別世界のクルーを排除しようとしているのかもしれませんが、この辺りの殺害シークエンスからは『ファイナル・デスティネーション』的な、偶然を装った必然の死的なニュアンスを感じました。
全ての超常現象は、異なる次元同士の干渉が原因であるという一点に収束させているのは、ある種のカモフラージュなのかもしれません。
よくよく考えたら意味わからないじゃないですか、千切れた側の腕が自由意思を持ってクルー達にヒントを与えてくれたりとかするの。
この辺りは流石のJJエイブラムスといった感じで、思わせぶるのが上手いんですよね。
多元宇宙論ネタがふんだんに盛り込まれてSF好きにはたまらないです。
ラストの地球に帰還したら巨大な怪獣に遭遇してしまうシーンについてとか、とにかく他にも色々と語りたくなる要素が多いです。
そこもまたこのシリーズの良さというか、観た後にスッキリとした気持ちを覚える事は無いと思います。
「あれどういう事だったの?」「あのシーンの意図は何?」「これ結局何が起きてたの」みたいな多くの疑問を抱かせる作りになっているのはシリーズの共通点ですね。
■〆
個人評価:★★★☆☆
クローバーフィールドは各作品ごとに作風が全く変わりますが、世界観は共有されていてます。
今作で描かれた粒子加速実験により異なる次元同士が繋がってしまい、その結果過去の世界に突然怪獣が現れたり、宇宙人による攻撃を受ける事になってしまったっぽいです。
クローバーフィールドシリーズだと噂されていた映画『オーヴァーロード』は結局シリーズとは無関係でしたが、それとは別にシリーズ第一作目の続編に近い立ち位置の作品の制作が進行中みたいです。
まだまだ謎の多いシリーズなので楽しみです。
ではまた。
クローバーフィールド KISHIN (角川コミックス・エース 202-1)
- 作者: 東川祥樹
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/08/26
- メディア: コミック
- 購入: 1人 クリック: 19回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
↑前二作とスピンオフ的な漫画。
↓似たような設定の映画。