エクスパンス-巨獣めざめる- シーズン1(2015年/アメリカ) バレあり感想※noteに一部加筆修正を加えた記事を再掲しました。
修正版をnoteに投稿しました。
リアル指向のSFドラマ。
本来シーズン3で打ち切られてしまう予定が、アマゾンに命を救われ、
シーズン4も制作されるみたいです。
『エクスパンス-巨獣めざめる- シーズン1』
(The Expanse Season1)
シーズン1全体のネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
23世紀。
地球と火星が一触即発。
そこに小惑星帯内の勢力OPAも加わって太陽系が戦火に包まれそうなギリギリの状況の中、更に未知の兵器の存在が示唆され世界が大混乱。
■概要
政治担当と捜査担当、そして冒険担当の三人の主人公を軸に、地球と火星、小惑星帯のギリギリの均衡関係を崩そうとする謎の勢力とその陰謀を暴くといった内容のドラマ。
特に冒険要素が強く、近未来かつ技術的に繋がりのありそうなリアリティある世界観を堪能できます。
タイトルにある巨獣については、シーズン2辺りまで視聴する事で納得ができるかもしれません。
■感想
全10話構成の中で政治、捜査、冒険の三要素が描かれるので、非常に密度の濃いドラマでした。
刑事のジョー・ミラーは、行方不明の少女ジュリーを捜索する内に、彼女の不自然な失踪に疑問を抱き、その謎を追います。
国連所属の政治家アヴァサララは、火星がひそかに開発したとされる新技術と、その裏にある新兵器の存在を知り秘密裏に調査を始めます。
氷運搬船カンタベリー号のクルーであるジムと4名の仲間は、救難信号を発していた謎の船の救助作業中にカンタベリー号を所属不明のステルス船に破壊されます。
帰る船を失ったジム達は救いを求めて宇宙を彷徨う内に太陽系内の対立構造に巻き込まれ、それを阻止するべく陰謀に立ち向かいます。
異なる三者の物語とそこに配置された一見関連性の無さそうなそれぞれの謎が、エピソードが進むにつれどんどん一つの陰謀に繋がっていくのが最高に面白いです。
思い返すとシーズン1はしっかり目な群像劇なんですね。
三人の主人公がそれぞれ追っていた謎の先には、太陽系外から飛来した新種の生命体とそれを用いて人類救済を謳う組織がありました。
この新種の生命体はプロト分子と呼ばれ、シーズンを重ねる毎にどんどんその異常性を発揮していきます。
シーズン1はプロト分子そのものを追う物語なのであまり活躍しませんが。
特にジム達カンタベリー号の生き残りを描いたパートが好きでした。
後に火星軍所属の船を拝借しロシナンテ号と名付けて、この船でプロト分子に立ち向かうようになりますが、 とにかくシーズン1での彼らはひたすら冒険していて、そこが良いんですよ。
往年のスタートレック感と言いますか。
ジムと共に旅するクルーもとても個性的です。
実は元OPAでどう考えても日本人な名前のナオミ・ナガタちゃん、確実にどこかバグった性格のエイモス、元火星軍で仲間思いのアレックス。
序盤でもう一人いた医療担当が早々に超電磁砲の餌食にされ死んでしまうので、残りのクルーも突然死ぬんじゃないかと中盤辺りまでヒヤヒヤでした。
小惑星エロスが舞台になる最終盤で、ようやくロシナンテ号のクルーと刑事ジョー・ミラーは合流し、話が繋がった事をビジュアル的にも示してくれます。
ただ、この辺りになるとアヴァサララの格落ち脇役感が少し漂っていました。
エロスは既に星全体がプロト分子の実験場であり、ついでに言えばもう手遅れの状態です。
終盤の展開は、このエロスからの脱出に焦点が当たる為に、ジムとジョーの二人の活躍が増える一方、その裏で頑張っているアヴァサララの影がどうしても薄くなっちゃいます。
プロト分子の実験にジュリーの父親と国連事務総長が関わっていた事を暴いたり、めちゃくちゃファインプレーしてるのに。
その反動を受けたかのように、シーズン2以降のアヴァサララはやたらアクティブに動くキャラに変化します。
シーズン2以降のアヴァサララはマジでおもろい。
ただ、この最終盤はエロスで起きている異常事態はとりあえず置いといて、とにかく脱出!!という話なので、プロト分子そのものに関する掘り下げの薄さに少しガッカリしてしまいました。
プロト分子は謎の根幹であり、地球と火星の戦争の火ぶたを切りかねないほどの力を秘めた存在なのに、どの程度ヤバいのかはシーズン1だけでは殆ど分からない悲しさ。
最後の最後にちょっとだけプロト分子のシーンが挟まれますけどね。
シーズン2に丸投げしたみたいな感じで、そこだけ中途半端な印象があります。
■〆
個人評価:★★★☆☆
レールガンの描写であったり、星間航行する船の飛び方であったり、とにかく何かとリアリティを感じられるSF作品です。
その中で三人の主人公が、一見するとそれぞれ全く別の問題に取り組み、次第にそれがプロト分子という一つの存在に収束していく過程を追う楽しさは中々のものでした。
シーズン1内で描かれる陰謀の解明自体は完結するものの、その根幹であるプロト分子に関する描写と情報の少なさが少し引っかかります。
この点以外は僕個人としてはかなり好印象で硬派なドラマだと感じました。
面白いですよ。
あと23世紀のパチンコ屋出てくんの地味におもろい。
今でいうアンティークショップ的な立ち位置なのかも。
ではまた。
原作小説。
いわくドラマ化された"巨獣めざめる"はシリーズの序盤も序盤なんだそうです。