ダイバージェントFINAL(2017年/アメリカ) バレあり感想 解き明かされた壁の外は、予想通りの終末世界という安心感。
壁の中のシカゴで派閥争いをしていた頃が懐かしい。
『ダイバージェントFINAL』
(The Divergent Series: ALLEGIANT)
前二作の感想記事↓
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
シカゴを出る決意をしたトリスちゃんと御一行。
壁の外は、放射能で汚染され荒廃した大地と、時々都市があるばかり。
■感想
個人的には、三作の中で一番面白いと思っています。
一作目、二作目は典型的な若者向けのSF映画という印象が強く、実際そういう作りになっていたと思います。
FINALは少し趣向が変わっていて、若者向けらしい明快さとストーリーの起伏は残しつつも、SF映画としての仕上げ方を重視しているような印象です。
いかにもな未来感を捻らず提供してくれる素直な映画。
主なストーリーですが、前作で壁が解放されいよいよ外の世界への道が開けたトリスちゃん達ですが、いろいろあってシカゴの住民は壁の外に出る事は禁止されてしまいます。
その為シカゴからこっそり抜け出そうとする脱走パートと、外の世界に在るいかつい風貌の都市でのトリスちゃん達の生活パート、そして一触即発のシカゴに記憶を消し飛ばすガスがまき散らされるのを阻止するクライマックスの三つのストーリーで構成されています。
この辺りもだいぶ手慣れてきている雰囲気があります。
今作ではトリスちゃんでは無くフォーが主役という印象で、それぞれのストーリーで主人公の如く大活躍していました。
トリスちゃんは前作でダイバージェント、異端者としてシカゴの壁を解き放った事で重要人物として扱われています。これが結果的に王子様とお姫様のような関係性にフォーとトリスちゃんの立ち位置を変化させていました。
女性の活躍という部分が強くフォーカスされていた前二作からの大きな変化だと思います。ヒロインしてるトリスちゃんはかわいい。
三作目ともなれば流石に説明される要素も少なく、外の世界も当たり前のように核戦争で荒廃していて、そこにある都市、遺伝子繁栄推進局も一見人道的な活動をしているようで案の定悪さをしているだけで、これでもかという程驚きの無い一般的な終末世界が堪能できました。
以前までは何かしらの驚きを求めていた僕ですが、ここ数年バカみたいに映画観るようになってから、こういう典型的な作品というものも好きになっています。
なんだかんだ言っても王道は面白いんです。
都合よく人間の記憶を消去できるガスの存在が、特に物語後半ではキーとなります。
トリスちゃんの母親の記憶をヴィジュアル化したデータ媒体をトリスちゃんが観て、実はトリスちゃんの母親がシカゴ以前には外の世界で生きていた事を知る、というシーンがあります。
これによってトリスちゃんは遺伝子繁栄推進局と局長のデイビッドの事を完全に信用するという流れなのですが、後のストーリーの流れを見るにトリスの母親も記憶を消すガスを用いられていた可能性は高いと思うんですよ。
そうなるとトリスちゃんが観ていたのは一体何だったんでしょうね。
今作でもピーターがお騒がせ役ですが、いよいよ後戻りできない悪行をしましたね。
ピーターは遺伝子繁栄推進局にゴマをすってシカゴ全体に記憶を消すガスをまき散らす役目を与えられ、それを実行してしまいました。
ピーターはホント役割がブレないですね。前作で少し劇場版ジャイアン現象で良い奴風になりかけるも、しっかり軸を戻していました。
ピーターに限らず、三作目は各キャラクターの役割と描き方が明確で、主要人物の魅力がようやく発揮され始めた印象です。
シカゴを記憶を消すガスから守り抜き、フォーとトリスは遺伝子繁栄推進局と敵対する道を選んだところで映画は終わります。
ここで映画は終わりなんです。
実はこのダイバージェントファイナルはPart.1で、完結編にあたるPart.2が本来であれば制作されるはずでした。
当初は劇場公開を予定していたらしいんですが、大人の事情でドラマシリーズとして描かれるという事みたいです。
なんとも中途半端に終わってしまうダイバージェントシリーズですが、正直なところ、続きが気になってしょうがない!というタイプの終わらせ方でも無いのでこれはこれで良いかなと思っています。
■〆
個人評価:★★★☆☆
「言うほどFINALか?」と思って原題を観て察するまでがテンプレ。
最終章は前後編予定だったみたいなんですが、 大人の事情もあり後編は映画では無くドラマシリーズとして制作されるみたいです。
この映画は下記の配信サービスで視聴する事が出来ます。
ではまた。