趣味と向き合う日々

映画やドラマなどの映像作品を中心に気ままに書いています。

スカイ・クロラ The Sky Crawlers(2008年/日本) バレあり感想 とても静かで切ない映画。

 

「いつも通る道だからって景色は同じじゃない。それだけじゃ、いけないのか」

 

クゥーーーーーーーーー!!!!!!!

 

 

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

予告:https://youtu.be/Q8cWZEmaYq4

 

以下、大幅にネタバレを含む感想記事です。

 

 

 

ストーリー

子供達が戦争ゲームの駒として永遠に戦い続ける。

 

 

感想

 

徐々に設定が小出しにされていって、クライマックスで色々繋がり、最後には切なさと静けさが残るSF作品。

 

 主人公である草薙水素(くさなぎすいと)や函南優一(かんなみゆういち)、その他の基地にいるパイロットたちは皆スキドレと呼ばれる大人にならない子供達です。

スキドレはどうやらPMCによる戦争代行の駒であるらしく、詳しくは明かされませんでしたが死ぬ度に蘇生(或いはクローンなのでしょうか)し、新たな記憶を得て再配属され永遠に戦い続けます。

このシステムの環からどうやら抜け出したらしい草薙と、草薙に想いを託して散ることになる函南の二人を中心に物語が進んでいきます。

曖昧な部分が多すぎるのがこの作品の良い所かもしれません。

 

劇中では当たり前とされる用語や世界観を、徐々に拾い上げていって理解しなければならないタイプの作りでした。

この手の作品はそれだけ物語世界に集中して没頭できるので個人的には好きです。

例えば函南が着任後、草薙に対して「あなたはスキドレですか?」とか聞いたり、飲食店で流れるテレビのニュースでロストック社とラウテルン社の戦闘機が云々と言っていたり、流れの中でキーワードがぽろぽろ出てきます。

それらを記憶に留め、話が進むごとに少しずつ見えてくるキーワードの正体を理解しないと、最後まで何が何だか分からない気がします。

ポップコーン片手にだらけた姿勢で観るタイプの映画では無い印象。

 

 

 

しかし、ちゃんと観た上で尚もよく分からない部分が多く曖昧な印象が強く残ります。

これは多分、作中で物語の主軸となるスキドレの子供達もまた、そういう曖昧な感覚の中でただ生きているからな気がします。

完全に邪推でしか無いんですが、どことなく観てる側がスキドレに共感するような作りになっているのかなと思いました。 

 

スキドレの子供達は、死んだ時の記憶は無くし(若干残っているかもしれないですが)新たな名前と機体を与えられ再び戦地に赴きます。

お互いに緩く仲良く過ごし、戦いに出て、仲間が死ねばそれなりに寂しい空気感は漂い、それでも新たに着任する死んだ仲間に瓜二つの新人を受け入れて同じことを繰り返します。

ただ戦うために生きていて、それが当然だと思っている彼らの姿は中々に不気味です。

主人公のひとりである函南は特に歪な存在で、色んな物事に対して質問を投げかけるのですが、その言葉尻には「それに何か意味があるの?」みたいな無気力さがある気がします。好奇心による質問じゃない感じです。エクストリーム世捨て人。

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キャラクターデザインも雰囲気にマッチしています。表情読み辛い。

 

三ツ矢というスキドレの少女パイロットが途中から登場します。

彼女はスキドレについて違和感を覚え独自に調べていて、知りうる限りの事実を函南に告げました。

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それが少なからず函南に変化を齎したのか、函南はその後、自分を殺せと言う草薙に、ある可能性を託していました。

草薙もスキドレでかつてはエースパイロットとして戦っていましたが、その後に指揮官として基地で働いています。その為老いる事も基本的に死ぬことも無い存在です。

戦争請負会社同士の戦いで消費され続けるスキドレの人生自体には、意味も意義もありません。

使い物にならなくなれば記憶をリセットされまた戦地に赴く無限ループのようなシステムを、変えられる可能性を函南は草薙に託したように僕は解釈しました。

 そして同時に、草薙もまた函南、というか今は函南という名の青年にある種の可能性を見出したのかも。 

 

 

 

 

函南は最後、ティーチャーとあだ名される敵に一騎打ちをしかけます。

ティーチャーは作中ずっと最強の機体とパイロットとして印象付けられていました。三ツ矢の語る解釈では、ゲームバランスを整える為の絶対的な存在といった感じ。

函南が編隊を離脱して一騎打ちを仕掛けに行くときに「ティーチャーを撃墜する」と言っています。日本語字幕はそう表記されているのですが、作中で発せられた実際の言葉は"I`ll kill my father"でした。

ただ、この" father"が指し示すのは、そのまま父親という意味では無いんじゃないかと個人的には考えています。

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ティーチャーは、スキドレ達が戦い続けるシステムに必要な、ある種の枷だと思います。

戦争ゲームというシステムの中にいるスキドレが、何かを変えようとする上で越えなければならない存在がティーチャーです。その乗り越えるべき存在という部分を父親と表現しているんだと思います。

マジで函南の父親だとしても面白いですけどね。

 

 

 

 函南ティーチャーに敗れ、散ってしまいます。

基地では、仲間のスキドレ達が徐々に函南の帰りを諦めていく中、最後に一人、草薙の実子である瑞季だけが彼の帰還を待っていました。

瑞季は一応草薙の妹とされていますが、函南の前任者である栗田(つまり函南自身というか函南以前の存在の呼称)と草薙の子である事がなんとなく察せます。

瑞季が最後まで残っているのって、函南だった存在が結局また名前を変え記憶を失い戻ってくる事を遠回しに示している気がします。

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静かなラストカット。

 

エンドロール後に挟まれる最後のシーン。

新たに着任した男に「待っていた」と声をかける草薙。このシーンで草薙はタバコを吸っていません。

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今更ですが、草薙さん凄く好きなキャラ。

冒頭で函南が「タバコを吸わない上司は信用しない」と言っていました。

もしかしたら、草薙はここで着任した男を試したのかもしれませんし、或いは自分自身が信用ならない存在だと示したのかもしれません。

個人的には、あの着任した男は函南の次の存在で、タバコを吸わない姿を見せる事でどう反応するか試したんじゃないかと解釈しています。

 

 

 

そして、これが一番とても最高に大事な事なのですが、戦闘シーンがあまりにもかっこよすぎます。

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戦闘シーンのクオリティの高さのおかげで、あと20回くらい観たいって気持ちが芽生えてます。。

あやふやで個人的な解釈に依存しがちなこの感想記事の中で、これだけは間違いなく断言できます。

 

 

個人評価:★★★★☆

 

タバコを吸いまくる映画は名作映画。

最近この〆とかいう謎の見出し必要無いんじゃないかって悩んでます。

 

スカイクロラはこちらの配信サービスで視聴する事が出来ます。

 

 

ではまた。

押井守監督作品スカイ・クロラ総設定資料

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