プリズナーズ(2013年/アメリカ) バレあり感想 娘を誘拐された父親の狂気と暴走が、犯人探しの邪魔になったり活路を見出したりする映画。
宗教色がわりと強めなんですが、 普通に作品構造が面白いのでそちらだけで十分に楽しめる映画でした。
『プリズナーズ』
(PRISONERS)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
娘を誘拐された父親が容疑者をいたぶる。
■感想
犯人探し+容疑者叩きのダブルパンチでドキドキさせてくれる映画。
監督はドゥニ・ヴィルヌーヴです。
僕はヴィルヌーヴの映画では『メッセージ』が初めて観た作品で、その後に観た『ブレードランナー 2049』と併せて両方ともとても好きだったので、すっかりこの監督の作品のファンになりました。

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そんなわけで、それなりの期待値がある状態で『プリズナーズ』を視聴しました。
この監督の映画は僕の琴線に触れやすいのか、案の定凄く面白い映画だと感じました。
ただ描かれたものを完全に理解しきったのでは無く、その作品構造が面白かったという事です。
犯人探しのシークエンスの面白さと、意外性ある真犯人という部分は当たり前にこなした上で、実はそれらの要素よりも、容疑者を犯人と断定して徹底的に私的暴力を繰り出す狂気を中心に描いているところが一番意外性がありました。
主人公の一人であるケラー・ドーヴァーは、友人のフランクリン・バーチと共に娘を誘拐した犯人と思しき青年アレックスを監禁し、拷問を続けます。アレックスは知能が同世代よりも発達が遅く、上手く説明や会話をする事が出来ず、それがケラーをより苛立たせ、拷問はエスカレートしていきます。
劇中でケラーは深い信仰心を持つキリスト教徒である事が何度も示されます。
そんな男が神に赦しを乞いながら、非人道的な拷問を繰り返す様は狂気そのものでした。
このアレックス、実は真犯人であるホリーによって幼い頃誘拐された被害者側の一人である事が後に発覚します。すぐ胸糞を放り込んでくる。
ケラーによるアレックスの私的監禁によって、ロキ刑事がケラーの動向を疑う流れが付随してくる点も面白いと思いました。
結果的に真犯人発見までの遠回りにしかならない出来事なのですが、ここに一番旨味が詰まっているようなイメージでもあります。
真犯人であるホリーは神殺しを宣言していて、そこへ現れるのが信心深いケラーである事から、おそらく宗教的な色が非常に濃い基本構造の上に作られた映画だと思います。
ただキリスト教圏に住んで無ければ、さほど詳しくもない僕からすると、ケラーの狂気だけが圧倒的に目に付く映画という印象になりました。
劇中で象徴的に示される"迷路"というキーワードが、本質的にどう物語に絡んでいるのかあまり理解できませんでした。これもまたキリスト教的な要素のあるものなのでしょうか。
モノとしては、ホリーが真犯人である事が発覚するキッカケとして迷路が鍵となりましたが、一方で劇中で誘拐した子供たちに「迷路が解けるまで出られない」的な、ソリッドシチュエーションスリラー的な課題を与えていた理由がイマイチ分かりません。
まだまだ国外の文化について勉強不足であることをこんなところで実感するとは思いませんでした。
■〆
個人評価:★★★☆☆
単純な犯人探し物で終わらせず、誘拐された娘の父親の暴走と狂気を織り込んでいました。
それらが重なって迎える結末は、キリスト教的思想・世界観を抽象するようなもので、その辺りに馴染みが薄い僕には、そこまで深いメッセージ性を読み取る事は出来ませんでしたが、それを抜きにしても普通に面白いサスペンス映画でした。
プリズナーズは以下の配信サービスでも視聴する事ができます。
ではまた。