ドクター・スリープ(2019年/アメリカ) バレあり感想 サイキックホラー。超能力バトルがメインで、ホラー要素は控えめ。シャイニングの雰囲気とは大違いでした。
ダークタワー観といて良かった……。
『ドクター・スリープ』
(DOCTOR SLEEP)
前作『シャイニング』の感想記事も、過去に書いているので是非。
以下、『ドクター・スリープ』及び『シャイニング』のネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
35歳になったダニー、シャイニングの力を持つ少女と協力して、生気を食らう化け物とバトル。
■感想
『シャイニング』の続編ではありますが、シャイニングのような狂気的恐怖と心霊現象のコンボというスタイルでは無く、言うなればサイキックホラーといった感じの作風になっていました。
シャイニングの力を持った子供を誘拐して、一通り苦痛と恐怖を与えた後に生気(と字幕訳されていましたが、シャイニングの事だと思います)を吸い取る事で長い時間を生き続けている人々が登場します。外見は人間ですが、後の描写を見る限りやっぱり人外です。
今作は強力な力を持った少女アブラがダニーと手を組んで、人外集団と超能力バトルを繰り広げる、というのが主な内容でした。
そこに大人になったダニー自身の苦悩や、シャイニングという力に対する不安などが盛り込まれつつ、全体として退廃的な雰囲気に仕上がっていました。
こんな内容なので、シャイニングに加えて『ダークタワー』も観ておいた方が、すんなり内容を受け入れられると思います。
ダークタワーの感想も書いてます。コチラ↓↓↓
ダークタワーを観た方が、シャイニングという力がどういうものなのかが理解できる気がします。
シャイニングで描かれたシャイニングはシャイニングという力がテレパシーなのかその上を行く何かがあるのかが、分からないようになっていましたし。シャイニングめっちゃ言ったな。
展望ホテル(オーバールックホテル)が登場するのは映画の最終盤です。
それまでは、ロケーションは転々とするものの、基本的に人外とダニー達の攻防が中心に描かれるので、キューブリックの撮った『シャイニング』の雰囲気を期待して観に行った人は相当な時間肩透かしを食らうと思います。
僕はそうでした、困惑の時間がかなり長かったです。
ただ、つまらなかったかと言われると、意外とそうでも無いんですよね。
ダニーという個人に焦点を当てた続編と捉えると中々面白いです。
父親を含む過去のトラウマに引きずられながらも、幽霊のハロランに助言を貰いながら少しづつ立ち向かう事を覚え、
最終的にはシャイニングの力を活かして危篤の老人の側に寄り添ってあげたりと、ダニーの人生が割とギッシリ詰まっている映画なんだと思います。
そんな感じで、どうやって展望ホテルに舞台を繋げるのかと思っていたら、かなり強引に持って行った感じがしました。
敵対している生気を吸う人外の最後の生き残りにしてリーダーである、ローズ・ザ・ハットを、展望台ホテルにおびき寄せて、
ダニーがそこに住んでた悪霊を解放させて彼らに仕留めてもらう、というもの。
ローズは捕食した生気をたんまり溜めこんでいる為、悪霊がそれに食いつくだろう!って事なんでしょうけど、唐突な印象は否めません。
ストーリーの流れはともかく、展望ホテルに舞台が移ってからは一気にホラーテイストが強まり、前作との繋がりも強く感じさせてくれます。
ダニーが斧を片手にアブラを追いまわしたり、前作で印象的だった幽霊達が一通り再登場したり(237号室のふやけたババアなんて4回くらい見せ場ありましたし)、
『シャイニング』の続編要素はこの終盤、クライマックスに凝縮されていたと思います。
待ってましたと言わんばかりの盛り上がりです。
権利的な問題があったのか分かりませんがキューブリックの撮った『シャイニング』
のシーンをそのまま使わず、新規で撮り直していました。
映画冒頭がシャイニングの直後から始まる事もあり、そちらで新規に子供時代のダニーとウェンディを演じる役者さんが居るため、繋がりを意識しての新録なのかもしれません。
それでもジャック・トランス役はジャック・ニコルソンでやり通してほしかったというのが正直なところです。
ジャック・ニコルソンの演技の凄まじいインパクトがそのまま脳裏に焼き付いていますし、あの演技そのものがシャイニングの最大の見所ですらあると思っています。
今作でジャックを演じたヘンリー・トーマスが悪い演技してるって事じゃないんですが、どこかインパクトに欠けるんですよね。
最近多用される様になった、役者さんの顔面だけトレースして合成できるあの超技術でなんとかならなかったんでしょうか。高コストなんでしょうか。
■〆
個人評価:★★★☆☆
『シャイニング』の雰囲気を想像して観ると肩透かしを食らうと思います。
ダニーというキャラクターに焦点を当てた続編、と言った方がイメージしやすいと思いました。
超能力バトルとオマージュ全開のホラー、この組み合わせはかなり人を選ぶんじゃないかと思うんですが、僕は好きでした。
ではまた。