ボーダーライン(2015年/アメリカ) バレあり感想 正義にアツい主人公が麻薬戦争の現実に叩き潰される映画。
麻薬カルテルを題材にした映画の重苦しさは異常。
『ボーダーライン』
(SICARIO)
スピンオフ映画『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』の感想記事はこちら↓↓↓
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
FBI捜査官ケイトが麻薬カルテルを潰す為の作戦に参加した結果、不合理な真実に直面する。
■感想
FBIとしての現場経験はそれなりに場数を踏んでいた主人公ケイトが、麻薬カルテルの取り締まり捜査に参加し、不条理と不合理の蠢く麻薬戦争の現実に直面する映画。
監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ。僕はこのおっさんのファンです。
笑えるほど救いが無くて笑いました。
麻薬カルテル同士の抗争、その残酷さ悲惨さを目の当たりにする役目として、ケイトが主人公として配置されていますが、鍵を握るのはアレハンドロという男です。
アレハンドロは実は、元々メキシコで検事をしていた男で、妻と娘を殺した麻薬王へ復讐を果たす為に、コロンビアの麻薬カルテルに傭兵として参加していました。
CIAはアレハンドロの目的を利用し、コロンビア麻薬カルテルによる支配権を確立する事で麻薬戦争を終結させようとしていた事が発覚します。
それらが明かされるのは映画の後半ですが、そこに至るまでの陰鬱すぎる空気感と描写の数々で、確実にこの映画は良い終わり方をしない事は簡単に予想が付きます。
現場の判断が最優先される状況の連続の中、違法行為も辞さない取り締まりチームと共に行動する中で、ケイトはひたすらその不条理に反発し続けていました。
正義という観点で考えればケイトが圧倒的に正しいのですが、大きな目的の前に彼女の正しさは霞んでいきます。
大きな目的のために、正義がないがしろにされていく様が物凄くリアルで生々しく感じます。
アレハンドロは、麻薬王を殺害した後にケイトの元を訪れ全て合法の作戦であった事を示す書類にサインするよう、銃口を突きつけて強要します。
ケイトは最初はサインを拒否するのですが、結局は屈してしまい書類にサインをします。
主人公であるケイトの視点では、最後の最後まで何もかも納得のいかない終わり方をするこの映画ですが、一方で劇中の出来事を考えると、CIAを初めとする捜査チームの目的は達成され、メキシコ麻薬カルテルのボスもアレハンドロの手によって抹殺されといった具合に完全勝利しています。
そんな作りになっているせいで、観終った後の後味の悪さがとてつもなかったです。
とんでもない疲労感。
■〆
個人評価:★★★☆☆
目的達成のために手段を選ばない人達の戦いを描いたこの映画、自らの正義を信じて抵抗し続けた主人公ケイトですら最後には不条理に屈してしまいます。
麻薬戦争の実情と裏側、それぞれの思惑を生々しく描いた作品でした。
観た後めっちゃ疲労感に襲われます。元気な時に観た方が良いですねこれは。
続編『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』では、アレハンドロが主人公になると聞いてびっくりしてます。直ぐには観ませんが、いずれこちらも視聴しようと思いました。どういう方向性の続編になっているのか気になりますし。
※観ました。
ボーダーラインは以下の配信サービスでも視聴する事ができます。
ではまた。
何となくゼロダークサーティに似てると思いました。なんとなく。