トランスポート(2005年/カナダ) バレあり感想 青春恋愛要素9割SF要素1割で若者の真っすぐな恋愛を描いたタイムスリップ映画。
ジャケ詐欺とは言わないけど、少し内容と剥離しすぎだと思う。
『トランスポート』
(FETCHING CODY)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
薬物中毒で昏倒し死線を彷徨う彼女の為に、主人公がタイムスリップして過去を正そうとする。
■感想
違法薬物の売人がオーバードーズで昏睡状態に陥った恋人を救うためにたまたま知人が手に入れていたタイムマシンを使って過去改変に挑む青春恋愛SF。
良くも悪くも頭弱そうな主人公が、彼なりに本気で愛する人の為にタイムマシンでトライ&エラーを繰り返しながら恋人の死を回避しようとする様が、思ってたよりも胸を打つものがあって好きです。
タイムマシンは出てきますが、どういった経緯でそれが作られたのかとか、なぜゴミ捨て場に廃棄されていたのかとか、そういう部分は一切描かれません。
何故と聞かれたらそれはもう「そういう世界だから」としか言わせないスタンスには男気を感じます。
最近のリアリティ重視で物事の存在理由を必死に示さないといけないみたいな風潮には少し嫌気もさしてましたし丁度良く感じました。
タイムマシンの仕様は、適当に使用者のイメージ像を口頭で伝えるだけでその時と場所に飛ばしてくれるという優れもの。
バンバン過去にいって、恋人の実兄の自殺を阻止しようとしたり、恋人のイジメを未然に防ごうとしたり、とにかく色々試して未来を変えようとする主人公。
この辺りの流れは正に黄金展開でタイムスリップモノの醍醐味でもあります。
ただ、それらの過去改変が未来に変化を齎していたかというと、そうでも無いように見えました。
結局恋人の実兄は自殺していますし、恋人の死も避けられません。
そして八方塞がりになってきた主人公が最終的に選択するのが、恋人がお薬中毒になるキッカケを作ってしまった(=オーバードーズで死ぬ運命を確定させた)自分自身との出会いを抹消するというもの。
二人が出会う時期にタイムスリップし、過去の主人公がドラッグを売りつける前に通報する事で二人が出会わないように改変。
そして現在に戻ってきた主人公の記憶から恋人の記憶は消え去り、主人公は街を去ってこの映画は終わります。
この最後の切なすぎる展開で全部許せます。
色々と粗のある映画なんですが、それらを全て吹き飛ばすほどのエモさに包まれます。
久々に使いましたがピッタリなんですよ、エモいって言葉が。
■〆
個人評価:★★★☆☆
恋人の窮地に丁度良く登場したタイムマシンで無計画に過去をイジり倒す映画なのに、全編に渡って主人公に対して好感度が悪化する事も無く、それでいて真っすぐな若者の恋と行動力を描いています。
爽やかであっさりした恋愛SFでした。
こういうの割と好きなんですよね、映画にハマるきっかけになったのも『バタフライ・エフェクト』からですし、多分この手の作品が一番好みです。星三つですけどね。
プライムビデオ他、以下の配信サービスでも視聴する事ができます。
ではまた。