ファイナル・デッドブリッジ(2011年/アメリカ) バレあり感想 お約束要素とその裏切りに最も力を注いだシリーズ最終作。
ファイナルデスティネーションシリーズの第5作目にして完結作になります。
(Final Destination 5)
予告:
以下、ファイナルデッドブリッジ及びシリーズのネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
橋が落ちて死ぬはずだった人々が、せっかく生き延びられたのに再び死に付き纏われる。
■感想
いきなりネタバレになりますが、シリーズの完結編でありながら第一作目の前日譚という立ち位置の作品。
死の予知夢(のようなもの)を観た男がその運命を回避して死ぬはずだった数人と共に生き残るが、その後に生存者が次々と再び死んでいくという基本的な流れはこれまでと同じです。
そこに今作では「代わりに誰か殺せば生き残れるかも」という新説が登場しました。
これまでのピタゴラスイッチ的な死の描写に加えて、特に後半でこの新説のせいで生存者の一人が積極的な殺意を持って行動するようになっていました。
第三作目『ファイナル・デッドコースター』でも能動的に誰かを殺そうとするキャラが居ましたが、今作の場合は生き残るために殺すという明確さがあり、印象がかなり違います。
また、この新説は同時に死の運命を回避しようと足掻くという、いつの間にか無くなっていたシリーズの魅力のひとつを蘇らせていたとも思います。
そして、この新説を生存者に伝えたのがウィリアム・ブラッドワース。謎が多く死に対しての知識が豊富そうな葬儀屋の黒人男性です。
『ファイナル・デスティネーション』『デッドコースター』に登場したものの、三作目以降はすっかり姿を見せなかった謎の人物です。
今作が第一作目の前日譚という事もあってなのか久しぶりの再登場で、検死官の仕事もしている事が判明しました。今作で登場した「誰かを殺せばその人の分生きられる」という新説を生存者に伝えたのもウィリアムです。
当所は、この説によってシリーズ初の本当の生存者が誕生するのかもしれないとワクワクしながら観ていましたが、前述の通りこの映画は第一作目の前日譚でした。
それが発覚するのがパリ行きの飛行機に乗る主人公達(第一作目の飛行機事故のシーンです)を描いた最後のシーン。
ラストで死の運命が回避できていない事が分かるのもこのシリーズのお約束とは言え、今作ではそこに前日譚だったという驚きも加わって非常に楽しめました。
ウィリアムが劇中で「今までも君達のような大事故の生存者が、その後一人ずつ死んでいくのを見た」と言っており見事にミスリードに引っかかりました。
つまり第一作目以前、というか今作よりも更に過去の時系列でも同じような出来事が起きていたんですね。
死のルールにやたら詳しいのはそのおかげかと納得しそうになりますが、結局のところこれまでのシリーズでウィリアムの助言で助かった人が居ないような気がします。
ウィリアムの正体って、死神とかその眷属とかだったりして。
これまでと同じようにピタゴラスイッチ的に死のルートを予感させる演出はあります。
しかし素直にその通りにはならず、予想外の死に方をする生存者がかなり多かったのも特徴的です。
というか死のルートが複数ある中の一つで生存者が死ぬみたいなイメージをより明確にした感じかもしれないです。
■〆
個人評価:★★★☆☆
エンドロールでこれまでのシリーズの死亡シーンを振り返る特別映像がありました。ダイジェストで観ても面白いと思ってしまう死に方が多くて改めてバカな映画だったなって感じました。
スプラッタ―要素も大事な魅力の一つですが、本作ではシリーズ初期に見られたような死の運命に立ち向かうという要素も復活していて、バカ映画路線から舵を取り直して締めた印象です。
最終作でありながら前日譚としたことで多くの謎が謎のまま終りましたが、そこが解明されない方がこのシリーズは間違いなく面白いと思うので僕はむしろ好みの終わらせ方でした。
ファイナルデッドブリッジは以下の配信サービスでも視聴する事ができます。
ではまた。