Death Note/デスノート(2017年/アメリカ) バレあり感想 「アメリカがローカライズするとこうなる」を存分に楽しめる。
今年クリスマスらしい映画なにも観れてなくてワロタ
絶対に漫画かアニメか実写版の本家日本のデスノートを先に知っておかないと面白さが半減してしまう。
画像引用元: Netflix
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
地頭だけ良よくて父親が警官の高校生ライトが、デスノートを手にして彼女もゲット、ついでに悪に裁きも下せて人生が始まる。
■感想
ライトとL(その後はニアに交代)の壮絶な頭脳戦を軸に描かれるスーパー心理戦漫画だった原作漫画、その魅力を上手く汲み取ったアニメ版と実写映画版(ただし実写オリジナルの続編は賛否)のいずれも大ヒットしている名実ともに高い人気を誇る作品がデスノート。
これをアメリカで再度実写化するに当たって抜擢された監督はアダム・ウィンガード。
僕が観た中では『サプライズ』というホラー映画が印象に残っています。攻守交替するおもしろスラッシャー風映画。
この監督の他の映画もざっと調べてみた感じ、ホラー寄りの物が多いみたいですね。
そこで培ったセンスが顕著に表れていたのがリュークのデザインと人が死ぬ時のキツめゴア描写辺りでしょうか。控えめではありますが確かなものを感じます。
ちなみにこのリメイク版デスノートでは誰一人心臓発作では死にません。思い切ってます。
本編内容の最も大きな変更点として、主人公のライトが地頭は良いが他は普通の高校生となっている点、Lは終始冷静で静かなキャラでは無くかなりアクティブになっている点、
そして後半でライトと彼女のミア、そしてLの三者を交えた対立関係に変化する点の三つです。
デスノートのルールにも、書いたページを燃やせば一度だけ撤回可能というものが新設されていました。デスイレイザーで良くない?でも便利すぎるかデスイレイザー……。
特にライトとLのキャラクターが大幅に変わっていて、本家とはまた違った魅力が詰まっていたと思いました。
冴えない青年がある事をキッカケに可愛い女の子と付き合えて、愛を深めながら大きなものに立ち向かうという、アメリカのヤングアダルトものにありがちなフォーマットを用いて再構成していた印象です。
デスノートを手に入れて、すぐに気になっていた女の子ミアちゃんにデスノートを紹介するライト。
そしてライトとミアは二人で新世界の神を目指すという部分も原作とは大幅に違って若気の至り感がとても良く出ていて面白いです。
それに相対するLは当所は原作に近い雰囲気のキャラクターなのですが、ミアの暴走によりFBIの仲間が殺害され、その後ワタリが殺された(!)事でいよいよ激昂し、ライトを全力疾走で追い詰めるという信じられないくらいアクティブな一面も見せてくれます。
この違いを楽しめるかどうかで、この映画に対する好感度は変わりそうです。
完全に頭脳戦要素が排除されている訳でもありません。
特に終盤の展開ではライトがデスノートの死因に至る具体的な内容を記載する事で、ミアの裏切りで確定していた死の運命を覆したりしてました。
ちょっとご都合感のある展開でしたが、ミアを信じてあえてノートにミアの名を書いた結果、最後もライトは裏切られてミアは死亡してしまうという展開。
ザマァとも言い切れない微妙なラインを攻めてました。
この最終盤の展開でLが一切頭脳戦に絡んでこないのは微妙にも思いますけどね。Lとは代わりに壮大に街を荒らしながら鬼ごっこやっています。
そしてミアと愛を試すクライマックスという形で代替されています。
そして映画のラストで、激昂したLが遂にデスノートへ辿り着きペンを片手に握るシーン。
その後病室で目を覚ますライトのシーンに切り替わり、不敵に笑うリュークの姿が描かれるという終わり方。
果たしてLは手にしたデスノートにライトの名前を書いてしまったのか……、という感じで視聴者をくすぐってやろうみたな狙いが透けまくる凄い締め方です。でもあれはもう、ほぼ確で書いてますよね。
今作のLはそういう事やってくれる男だよ。
■〆
個人評価:★★★☆☆
本家デスノートが頭脳戦を軸とした作品であるのに対して、このリメイク版デスノートは若者が過ぎた力を得た事で追い詰められていく様を主軸に置いて再構成した印象でした。
恐らくデスノート=頭脳戦やってなんぼってイメージが強いと思いますが、その分このリメイク版の大胆な変更点は楽しめるんじゃないかと思います。
というかこの、本家との違いを楽しむって行為そのものが魅力の一つになっているような映画でした。
僕は結構好きです、上手くローカライズやったなって感心しました。
全体的に好印象ですが細かい部分で粗も目立つ気はします。
それは100分の中でオリジナリティあるデスノートを描き直そうとした結果、無理が生じたような粗さです。気になる人は気になるレベル。
リメイク版デスノートはネットフリックスオリジナルとして配信されています。
ではまた。