ハッピー・デス・デイ(2017年/アメリカ) バレあり感想 面白い要素を混ぜあわせたら更に面白くなったパターンのやつ。
ループモノ→面白い
スラッシャーモノ→面白い
つまりこの映画は超面白い。
『ハッピー・デス・デイ』
(HAPPY DEATH DAY)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
誕生日に殺されてはその日の朝に戻ることを繰り返すクソ女が死ぬ度に精神レベルをあげていく。
■感想
一応ホラー(殺人鬼映画)にカテゴライズされているらしいですが誰がどう見てもはちゃめちゃエンタメ系ループ映画だと思います。ホラーとは。
主役キャラのツリーちゃんは、最初は誰がどう見ても誰に殺されてもおかしくないレベルのクソ人間。それが誕生日に謎の覆面に殺されてはその日の朝に戻るループが始まってからどんどん自分自身を顧みて反省し、人間的に成長していくという感じ。
成長の物語を組み込んでいて観ていてどんどん好きになります。
ただこの映画の醍醐味はそこじゃないなと思いました。
繰り返す事で少しずつ真相に迫っていくという形式の面白さは特異なものを感じます。それは僕の好みが圧倒的にそっち方面に偏っているからかも知れないんですけどね。
この映画では、ツリーちゃんを毎度執拗に殺すのは誰なのかをミステリー的に組み込んでいて、この部分をしっかり意識させたまま中盤から後半にかけてミスリードも挟みつつどんどん盛り上がっていきました。
作風自体は割と軽めなイメージで、良くも悪くもノリがB級感満載でそこも面白くて好きなんですが、描かれる人間模様と物語構成はかなり練られていると思いました。
ツリーの目覚める部屋の住人であり後々に恋仲になっていくカーター君をはじめとした周りを固めるキャラクター達も個性的で好きです。
覆面の正体が逃亡した殺人鬼であると思わせておいてからの、実は黒幕はルームメイトでしたという流れは、予想できつつもどこかそうであってほしくなかったみたいな切なさもあったりして良いクライマックスだと思います。
というのも、この真相が発覚する一個前のループで、ツリーはこれまでの自分を反省し父親や件のルームメイト等身の回りの人間に対してこれまでの非礼を詫びて真摯に向き合う、いわば清算に近い事をします。
そのループの中で殺人鬼を倒しさえすれば終わっていた物の、殺人鬼がこの時はカーターを殺害してしまっていた為に、ツリーはそれでループを終わらせない為、自ら命を落としてやり直します。
この他にも真相を探る為に意図的に殺されて少しづつ前に進むというのを中盤辺りまではツリーちゃんは実践します。 このデスルーラ―的解決方法を推奨したのがカーターだったりするので、最終的にはカーターは自分の助言に救われたみたいにも捉えられてちょっと面白いです。
そんな流れで、一度清算しきった世界をリセットした上での真犯人がルームメイトでしたオチが来るので、これが中々ゾクゾクします。
ループモノ特有のその時々のルート分岐というシステムをうまく使って、感情に訴えかけてくるタイプのやり口です。それ自体は目新しくはありませんがこの映画では特に効果的に作用してた気がしました。
そう言えば、ツリーちゃん一度だけ殺害では無く交通事故で死んでるんですが、それでもループしてましたね。
その後もしれっと「殺人鬼を倒す事でループは終わる」が前提に在り続けてた感じなんですが、そこだけ少し気になりました。
ただ、この映画の作風を踏まえたらそういうところを突くのは違う気もしますね。
とにかく面白い映画でした。噂以上に楽しめました。
■〆
個人評価:★★★★☆
複雑になりがちなループモノをとても分かりやすく殺人鬼映画に組み込んで、最終的にはポップさすら感じるエンタメ作品に仕上げていてとても面白かったです。
そして続編が今年公開されていた事を今更知りました。観たかった……。
ハッピーデスデイは以下の配信サービスで視聴できます!
では良いお年を!