TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ(2016年/日本) バレあり感想 地獄とバンドを組み合わせた長編コントを映画化したみたいな印象。けっこう面白い。
実写版『デトロイトメタルシティ』的なコレジャナイ系バンドコメディだと思ってたけど実際観たらほどよく好き。
『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
地獄に落ちた高校生が転生して好きな女の子に会うため努力する。
■感想
地獄に落ちたら現地の変なバンドマンに目を付けられた高校生が、好きな女の子に会うために輪廻転生を繰り返していく映画。
宮藤官九郎さんが監督の映画作品という事もあってコメディ要素の安定感は凄かったです。バンドマン狙い撃ち系のネタからしょーもない下品ネタまで手広く小ネタを配置してた印象があります。地獄の楽器屋ではジミヘンの左手が三万で買えるらしい。
主人公の高校生関くん(神木隆之介)が、生前意中の女の子だった手塚ひろ美(森川葵)に会うため何度も転生しては地獄に帰って来てを繰り返します。
そこから次第にバンド"地獄図"ギタボ担当で鬼のキラーK(長瀬智也)の家族に、キラーKが生前作った曲を届けるという新たな目標も加わっていきます、というか後半からそっちがメインに切り替わります。
この二つのストーリーラインはキラーKと関くんの二人の主役のそれぞれのストーリーですが、ごちゃまぜになるのではなく相互にしっかり関わり合いながら展開が進んでいくので、ややこしい事も無く楽しめました。
転生回数は7回までという制限と、あの世とこの世の時差(現世は地獄の数十倍の速さで時が流れる)という制約があります。
転生する度、手塚さんはどんどん歳を重ねて大人になり家庭を持ち、人生を過ごしていきます。またキラーKの恋人だった通称"死神"も同じく人生を過ごしていて、そんな現世の時の流れや出来事を関くんは様々な畜生になりながら観ていくことになります。
転生という要素がコメディの為の仕掛けだけでは無く、そういう人間ドラマ的な要素にも絡められていて、笑いとそれ以外の緩急のバランスがとても良かったです。
特に最後の手塚さんと関くんのシーンは、凄くロマンチックで好きなシーンでした。
そういう映画作品としての作りも見所かもしれませんが、個人的にこの映画に魅力を感じた最大のポイントはその小ネタの多さとコメディ要素の面白さでした。
正直もっと安っぽいセットでもいいので、ずっとこの世界観でのコントを観ていたいと思えるくらいには僕のツボに合うコメディ映画でした。ニタニタしながら観れるタイプのやつ。声出して笑ったシーンも結構ありますし。
現世には存在しないHコードのフォームが異次元過ぎて、それを必死に抑えようとするシーンとかしょーも無い面白さ全開で好きです。
あと、地獄ロックバトルロイヤルの勝者になり、転生して人間になったエリートの紹介で、オジ―・オズボーン、ジーン・シモンズときて次に葉加瀬太郎が出てきて小笑いさせた後最後に篠山紀信(写真家)で落としたり、なんかこう単発の笑いだけで攻めてこない点も個人的に好みに合います。
神木隆之介さんってこれ系のコメディとホント親和性高い役者さんだと改めて思います。
地味に有名なミュージシャンがたくさん(名前だけの登場も含め)カメオ出演していたり、HR/HMの名曲のフレーズがチラッと登場したり、バンドやロック音楽が好きな層に向けたネタの濃さも中々の物で、そういう部分も個人的に好きでした。
ただ、後半で始まる地獄ロックバトルロイヤルはそれ自体は中弛みを感じました。
ベーシスト対決でお互いに高速スラップかまし合った後に突然殴り合いに発展するのは、面白さは別としてあの気持ちは理解できます、やる事なくなっちゃう感じ。僕もベーシスト時代の悩みの種でした。ベースに一人で何かさせようとするな。
それにちょっと「そこに時間かける意味ある?」って感じで小ネタが間延びしすぎているシーンもあったりするんですが、それでも面白さが勝っていて好きです。
■〆
個人評価:★★★☆☆
楽曲提供してる人たちも結構凄いメンツが揃っていてエンドロールで僕は勝手に盛り上がりました。
日本らしいコメディ映画って感じですが、その肝になる笑いの要素が中々にバカで個人的にかなり好きな映画です。
映画を観ようと思って観るより、面白そうな何かを観たいって気持ちの時に観る方が感覚的にマッチしそうな気がしました。
この映画は以下の配信サービスで視聴できます。
ではまた。