スペース カウボーイ(2000年/アメリカ) バレあり感想 おじいちゃん達がひたすらカッコいい色々と凄い映画。
凄く好きよこの映画。
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
元空軍パイロットで宇宙飛行士候補だった男たちが40年の時を経て再び宇宙を目指す。
■感想
元宇宙飛行士候補者だったおじさん達が40年ぶりに再び宇宙を目指す映画、となると結構キツめなコメディ臭が立ち込めがちですが、この映画はそうでは無く年齢やブランクを理由に諦めないポジティブでかっこいい男達を描いたエンターテイメント作品に仕上がっていました。クリント・イーストウッドが監督脚本主演を務めています。さすが。
2つのストーリーで構成されてる映画です。
前半では40年ぶりに宇宙に飛ぶチャンスを掴んだかつての候補者チームダイダロスの面々が、若い飛行士やNASA職員達に囲まれながら診療や訓練をパスしていく様をコミカル且つ渋く描いていました。
感覚としては『バトルシップ』のミズーリに乗り込む老兵たちを観るものに近い気がします。高度な経験と苦難を乗り越えた男達に対するリスペクト。
やがてチームダイダロスは全米でも注目を集めるようになり、本来はNASAの宣伝に利用しようとしていたガーソンや上層部の人間達も後に引けなくなり、彼らを宇宙に飛び立たせることが決定します。
そもそもなぜチームダイダロスが再び集められたかというと、チームの一員で主人公のフランク(クリント・イーストウッド)がかつて開発した通信システムが、何故かソ連時代の人工衛星に用いられており、その衛星が故障し通信を受け付けず地球に落ちるのを阻止する為です。
旧型のシステムに対応できる人間が既にNASAにはおらずやむなく彼を呼んだ感じ。
この辺りの理由付けが強引に感じるんですが、それをフランクがもっと強引に押し通して宇宙へ行こうとするので、結果的に問題なく事が運んでいくような状態になっていて面白いです。
後半は宇宙に飛び立ったチームダイダロスと補佐の若者二人が実際にソ連の人工衛星を修理するミッションパート。
この構成は『アルマゲドン』感ありますね。
実はこの衛星には核ミサイルが搭載されていて、だからこそロシア側はこの衛星を残しておきたかったという結構政治的にシリアスな問題が発覚するんですが、それでも尚エンターテイメント映画としての面白さは健在です。
チームの一員でありフランクと犬猿の仲でもあり信頼し合うパートナーでもあったホーク(トミー・リー・ジョーンズ)が、身を挺して核ミサイルを地球軌道から回避させることで危機は去ります。
このシーンも、本来もっとしめっぽく描いても全然良さそうなタイミングと雰囲気の中、ホークは軽口を決め「月に行ける」とポジティブで冒険心溢れた表情で去っていくのがホントもう最高にかっこいいです。
なんなんでしょうねこの映画、凄いですよ。あらゆる部分に魅力が詰まっています。
チームダイダロスの面々もそれぞれ個性的で、それでいてかわいいおじいちゃん的な側面と男気に溢れた老兵という側面を各人が持っていて魅力的です。
頑固だけどやる時はやるおじいちゃん主人公フランク役にクリント・イーストウッド、
軽口叩くかっこいいおじいちゃんホーク役にトミー・リー・ジョーンズ、
タンク役にジェームズ・ガーナ―、
女好きなおじいちゃんジェリ―役にドナルド・サザーランド、
その他嫌なやつポジションの上官おじいちゃんにジェームズ・クロムウェル、
そして、なんだかんだチームのサポートに尽力してくれるおじいちゃんにウィリアム・ディヴェイン。
これらのベテラン俳優たちが演じる登場人物の魅力だけでも、相当に惹きこまれる映画でした。
この映画のメインキャラクター達を演じている俳優さんがどこ見てもベテランしかいないというのも、また面白さの一つだと思います。このメンツを揃えて真っ当にポジティブなエンターテイメント映画を作るのって逆に凄い事だと思います。
ホークとサラ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)のラブロマンスは、年齢を理由に恋愛を諦めた大人達にぜひ見て欲しいシーンでしたね!
■〆
個人評価:★★★★☆
老人たちが宇宙飛行士を目指す、というプロットを聞いて想像するような内容よりも遥かに面白さと魅力が詰まっていた名作だと思います。
全体的にポップな雰囲気のエンターテイメント映画であり、その中に高齢者ならではの知見と深みが感じられるシーンが上手く組み込まれていて、決して老人コメディという安い位置で作られていない点が個人的にこの映画の最大の魅力だと思います。
この映画は下記の配信サービスで視聴できます。
ではまた。
ついでにジャミロクワイの初期の名盤も。