コンテイジョン(2011年/アメリカ) ネタバレあり感想 生々しすぎるウィルスパニック映画。
マジでこの映画はいまのうちに絶対観ておいたほうが良いと思う。
『コンテイジョン』
(CONTAGION)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
高い感染力と致死率を併せ持つとんでもないウィルスが発生しパニックへ。
■感想
95年の映画『アウトブレイク』が映画的な脚色とド派手な展開でフィクション性を高めたウィルスパニック映画だとしたら、本作『コンテイジョン』はリアリティを追求したシミュレーション映画と言って良いと思います。
新型ウィルスの存在が発覚し、世界中で流行の兆しが見え始める中、WHOやアメリカのCDC、その他にも多くの国の政府機関や疾学者がこれを食い止めようとします。
事態が悪化し続ける中、ようやくワクチンの開発に成功し、事態を収束させるまでの一連の出来事を、様々な弊害や問題、そしてパニックに陥る街の描写などを交えつつ、ウィルスと対峙する人々を生々しく描いた映画です。
このリアリティは20年2月現在を生きる人々にとっては尋常じゃないものだと肌感覚で理解できると思います。
公開当時、あまりにも黙々と状況が進行するこの映画の評価は著しくなかったらしいのですが、今となっては多くの人が観ておくべきマストムービー的な立ち位置になりそうな、そんな予感がします。
インフルエンサーでフリーライターの男が民間療法的な治療法を拡散したり、治安維持が全く機能しなくなった街を暴徒が荒らしまわったり、ワクチンが完成してハッピーエンドでは無くワクチンの奪い合いが始まったりと、ウィルスパニックだけでは無くそこから派生して起こりうる様々な危険も克明に描いていました。
事態が収束し日常を取り戻した人々が要る一方で、ウィルスやそれによって引き起こされたパニックで大切な誰かを失った人々もいるという点を主人公の一人であるミッチ(マット・デイモン)を通じてまじまじと描いています。
多くのディザスタームービーがこの点をわりとあっさりと流している事が多いと思います。
手に負えない事態で大切な人を失ってしまった人の悲しみをしっかり描いた点もまた、この映画の生々しさに一役買っているように思いました。
ミッチの妻ベスは初期の感染者で、どうする事も出来ずに命を落としてしまいます。
息子もまた妻からか感染して程無くして命を落としてしまいます。
この映画の最終盤で静かに涙を流すミッチのシーンで心を砕かれかけました。悲しすぎる。
ウィルスパニック自体は手遅れになる前に止める事ができましたが、それを止めるまでにミッチの家族に限らず多くの犠牲が出てしまったという事実をしっかり意識させる作りになっています。かなり重い映画です。
この映画で基本再生産数(Basic Reproduction Number)R 0 というウィルスの感染力を示す指標を知りました。
1人から何人に感染するかを表すものみたいです。
そういう知識まで得られますし、これアウトブレイクより有用な映画だと思いました。
劇中のウィルスは最大R 04、1人から平均4人に感染するという事で、かなり深刻な数値だと言われていました。
フィクションで、映画映えするように強化されたウィルスの設定でこれです。
そして現実の世界で今まさに猛威を振るっている新型コロナのR 0は2~3らしいです。
感染力お化けすぎないか新型コロナ……。
『コンテイジョン』も『アウトブレイク』も、未知の凶悪なウィルスの出現に立ち向かい、ギリギリのところで感染拡大をどうにか食い止めパンデミックを阻止しようとする人々を描いた映画です。
当たり前ですが率先して動いて対策を講じていくのは各国の政府機関です。
手遅れになる前になんとかするべきで、だからこそ街を封鎖してでも食い止めようとするわけですよね。
詳細に理由を語る事は避けますが、そんな劇中の各国政府の姿には、逆にフィクションを感じました。詳細に理由を語る事は避けますが!!!
■〆
個人評価:★★★★☆
リアリティを高めて、未知の危険な新型ウィルスが流行した時人々はどういう行動を取るのかをシミュレーションしたような映画でした。
実際に近しい状況をリアルタイムで今まさに体感しているからこそ見えてくる差異や別の問題点などもあると思うので、とりあえず今観てみるというのは大いにアリだと思いました。
この映画は以下の配信サービスで視聴できます。
ではまた。