ハッピー・デス・デイ 2U(2019年/アメリカ) ネタバレあり感想 別世界でデスループという複雑さを感じさせない相変わらずのポップさ。
そうくるか。
『ハッピー・デス・デイ 2U』
(HAPPY DEATH DAY 2U)
『ハッピー・デス・デイ』の感想記事もあります↓↓↓
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
別世界でまたもデスループ開始。
■感想
一作目の大ヒットを受けて制作されたのであろう続編。
綺麗にまとまっていた映画を無理やり三部作に引き延ばす為に作られた二作目にありがちな、三作目に向けたクリフハンガーと伏線の応酬で、一作目に比べると少し内容は散らかっている印象です。
ただ、今作ではループする原因が一応判明したり、ループする世界も前作とは人間関係が大きく変わった世界を舞台にしていて、続編ならではの仕掛けがたくさん登場するので楽しんで観る事が出来ました。ツリーちゃんの頼れる先輩感。
前作で、ツリーちゃんがカーターの部屋で目覚めるたびに失言をぶちかます要員としてのみ登場していたライアンが大幅に掘り下げられた今作。
ライアンは大学で量子物理学の研究を行っている青年で、彼とチームが作り上げたマシンがループの原因になっていたことが発覚しました。
前作で殺人鬼との戦いの合図のように発生していた停電の原因も、このマシンを稼働させた事による過負荷が原因だったそうです。
前作のループの原因もこのマシンのせいなのかどうかは分かりませんが(マシンの稼働とツリーちゃんのループの因果関係が合わない気がします)、ライアン達の実験で今作は別世界と自世界が繋がり、マシンの付近に居たツリーちゃんは別世界のツリーちゃんと入れ替わり、しかもその世界でループを再開するという流れ。
前半ではライアンがループする物語になっていて、彼を殺すことになる殺人鬼の正体は擦れたクール系みたいになった別世界のライアンでした。
ただ今作のエンディングに至るまで別世界のライアンがどうなったのかは不明でした。三作目に向けた伏線要員だったんでしょうか。
後半では、ツリーちゃんが別世界でループをこなす物語になります。
その世界では彼女の母親が生きていて、ロリーちゃんは普通のルームメイトで、カーターは元の世界ではツリーちゃんのカースト友達だったダニエルと付き合っていました。
今作のツリーちゃんは元の世界に戻る為にデスループを繰り返すことになりますが、母親が生きている世界に留まるかどうか悩みはじめます。
前作とは人間関係が変わった事で、ツリーちゃんは前作とは全く別の悩みを抱える事に。
ここに至るまでがちょっと色々とゴタゴタする展開ばかりですが、後半のツリーちゃんの物語はかなり楽しめました。
そもそも既視感を前提にしたループモノの続編という難題に、別世界と人間関係の変化でマンネリを回避していて面白いです。
前作の殺人鬼の正体だったロリーちゃんが今作では被害者側としてツリーちゃんと協力しながら逃げ回ったり、続編ならではの裏切りと新鮮さに溢れた内容って印象です。
ちなみにこの世界の殺人鬼の正体は、前作でミスリード要員的に登場した医者のバトラーでした。
お前が黒幕かい!的な前作を踏まえてのツリーちゃんのリアクションが良い感じですが、殺人鬼の意外な正体という結構重要そうなおもしろ要素としては微妙に感じたりもしました。バトラー医師って黒幕って器じゃないんだもの。
総じて前作あっての今作という感じで、キレイにオチを付けた映画の続編としては中々うまく続きを作っている印象があります。
ただ、それは結局おかわりに近い感覚もあるので、新鮮さはあまり無い気がしました。
■〆
個人評価:★★★☆☆
無理やり作った続編のはずですが、かなり上手く前作を再利用して面白さを持続させたような印象を受ける続編って感じでした。
ツリーちゃんの物語として見れば味付けも微妙に変えていて、特に亡くなった母の居る世界に残るべきかどうかという葛藤は、それこそ前作でフックとなっていた一要素のより深い掘り下げになっていたり、他のキャラクターにも光を当てていたり、シリーズ化させる為の土壌も確実に整えている印象です。
ただ、面白いには面白いんですがどうしても意外性は前作よりもパンチ力が落ちていると思います。
この映画は以下の配信サービスで視聴できます。
ではまた。