レザーフェイス -悪魔のいけにえ(2017年/アメリカ) ネタバレあり感想 あまりに突然の変化すぎて困惑する前日譚。
ホントどうしたレザーフェイス。
(Leatherface)
予告:
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以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
少年期青年期のジェドはソーヤー家から引き離され怪しい保護施設で暮らしていた。
ある日、施設で暴動が起き、ジェドを含む子供たちは逃げ出した。
■感想
いやお前がレザーフェイスなんかーい!!という後半のビックリ要素を楽しむ為の90分の映画って印象でした。
先に結末を書いてしまえば、結局はソーヤー家の母ヴァ―ナがレザーフェイス誕生の直接的な要因だった、ぽいです。
そうだと言い切れないくらいには突然それが訪れるように感じました。シリーズを全て追っていた人なら納得できる流れなんでしょうか。
少年ジェドが、ある日ソーヤー家の洗礼的通過儀礼的なイベントであろうフィッシィング殺人を成功させた末、駆けつけた警官に保護され怪しすぎる施設に送られます。
10年後、施設に新人看護師リジーがやってきますが、そのタイミングで偶然にもソーヤー家の母ヴァ―ナが愛する息子ジェドを奪還すべく暴走、施設に預けられていた少年少女が脱走し、子供たちはリジーを人質に取りながら警察と鬼ごっこを始める、というのが前半から中盤までの大まかな流れ。
施設での生活がジェドを変えてしまったのかと思いきや、彼は施設のシーンでは物凄く紳士で裏の無い優しい青年でしたし、その後の脱走→逃走の流れでも、物凄く悪い二人組の子供に看護師と親友のバドと一緒に脅されつつも行動を共にするイケメン枠としてずっと描かれ続けます。
終盤でようやくレザーフェイスらしさ、というかこのシリーズらしい展開が訪れるんですが、どうにもその過程が不自然に思えて納得できませんでした。
施設では別名を与えられるという設定と、ジェドの親友バド君の存在が、誰がレザーフェイスになるのかのミスリード要員って感じになっています。
登場直後から中盤までバドは完全に後のレザーフェイスそのものって感じで、彼を支えていた好青年で親友のジャクソンが、実は最後にレザーフェイスになるという展開。
バド君が銃殺されてしまい、ジャクソンはそれまでと打って変わって半狂乱になり、この辺りでようやくジャクソンがジェドだったことが分かるようになっていました。
このミスリード自体は普通に楽しめるんですが、そもそもジェドって知能レベルが8歳児程度で停滞しているという設定だったはずじゃないんでしょうか。
マスクを被るようになる理由とかも判明するんですが、従来まで存在していた顔を隠している理由とは全く異なる解釈になっていたりして混乱しています。
この映画はオリジナル版『悪魔のいけにえ』の前日譚だと思っていたんですが、もしかしてちょっと違うんですかね。
オリジナル版のレザーフェイスの本名はババ君というらしいですし、ジェドになったのは『悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲 』からみたいです。
そうなると『レザーフェイス‐悪魔のいけにえ』→『悪魔のいけにえ』→『悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』というリブートされた世界観での新設定として再設定された感じなのかもしれないです。
それはともかく、先に書いたように中盤までは本当に普通の好青年だったジャクソンが、警察に撃たれ顔に傷を追い、その後ソーヤー家に保護されてから一気にレザーフェイス化していく様は圧巻の意味不明さです。置いてけぼりも大概にしろ。
これだったら中盤辺りの諸々の展開要らないんじゃないかってくらい、ヴァ―ナやソーヤー家の影響が凄まじい事だけが分かります。血の呪い的なものかと思っていたら家の風習が彼を変えたみたいです。
『悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』のヘザーちゃんの描写とは明確に違うソーヤー化に改めて困惑しました。
たしかに中盤の逃避行での出来事はそこそこ辛い事件が多く起きていますが、それでジェドの心が壊れてしまったようには思えません。バドが死亡した時も半狂乱にこそなれど、まだまだそこには人間性が残っていました。親友が殺されたんだから普通の反応だと思うんですよねあれ。
ソーヤー家に帰りたくないと思っているような描写はあったので、結局ソーヤー家に戻されてしまい全てに絶望して思考を放棄した、みたいな事であれば納得は出来ます。
ただそれにしても突然すぎる感じはします、看護師のリジーの首をチェーンソーで跳ね飛ばさざるを得なくなったところで完全に壊れちゃったんでしょうけど、その直前に起きた出来事ってそこまで彼を追い詰めるような事だったのかとちょっと疑問に感じます。
面白いには面白いんですが、いろいろと疑問が生じる点が多くてあまりハマらない映画でした。
■〆
個人評価:★★☆☆☆
ソーヤー家らしからぬ優しさを持っていた少年ジェドがいかにして狂気に陥ったのかを描く映画かと思ったら、中盤辺りは誰がジェドなのかというミスリードに費やして、終盤で一気にあっさり描いてくるせいで、いまいちしっくりこない内容でした。
ただ、レザーフェイスが本人の意志で殺人に興じているというよりもただただ環境に身を任せるようにソーヤー家に加担しているだけ、という第一作を観た時に覚えた印象は変わらず、その辺りは一貫して描いているように思えました。
この映画は2020/5/8時点で下記の配信サービスで視聴できます。
ではまた。