イントゥ・ザ・ストーム(2014年/アメリカ) ネタバレあり感想 超映画級の災害体験をしたい時に観たらいい。
2014年当時のYoutuberのカタログイメージはたしかにあんな感じだったかも。
『イントゥ・ザ・ストーム』
(INTO THE STORM)
予告:
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
ばかでかい竜巻が発生して大パニック。
■感想
人類史上最大規模の超巨大台風の発生と、それに直面した人々の姿を描いたディザスタームービー。
群像劇風味に始まり、次第に彼らのストーリーが合流して皆が一丸となって大災害の被害者になる流れと各登場人物のキャラ付けは分かりやすく、そして誰もが最後はヒーローになる王道展開は、正に求めていた映画そのものって感じです。
ただこの映画、カメラワークであったりシーンの見せ方にちょっと個人的には違和感を覚える点がありました。
ドキュメンタリー的な要素とPOV映画要素を凄く意識したような作りになっている印象を受けます。
大半の場合はスマホのカメラや、台風撮影専門家たちのカメラ、監視カメラ、ホームビデオ用のカメラ、Youtuber達のカメラ、あとはニュースの映像なんかもありますが、とにかくそういった劇中の人物達が撮影している映像越しに状況が描かれている事が多いです。
一方で平場の視点というか、映画らしいカット割りや視点も普通にあって、あくまでもモキュメンタリーだとかPOV映画では無く、普通に映画らしくシーンを演出している部分もあるんです。
しかしその平場のカメラワークすら人間らしい揺れ方や撮影者の存在を感じるレベルのぶれ方をしたりするのが、何とも言えない違和感を醸し出しているように思いました。
臨場感や没入感を狙っての手法なのかもしれません。
個人的にはこれはあんまりハマらないどころか、多くのシーンで撮影者の存在ありきでの展開や見せ方をしているのに、普通に人物同士の会話やシチュエーションを描く瞬間でも同じような見せ方をされるので、状況に忍び込んだ劇中人物達には認識できない第四の撮影者の存在を感じてしまうような、そういう違和感を覚えました。
邪推でしか無いですが、元々ファウンドフッテージものみたいな感じで、災害現場から発見された映像を組み合わせてひとつの映画にしました、みたいな事がやりたかったのかもしれません。邪推でしか無いんですが。
そういった場面や視点の演出の違和感は覚えますが、未曽有の大災害の恐ろしさと、その超巨大竜巻に超近距離で被災してしまった人達の姿と頑張りを眺めて、スリリングな気分を味わうのには十分なだけの迫力はたしかに感じました。
竜巻に悩まされている州が多いアメリカならではのリアリティが存分に描かれていると思います。
ただ描いている物が描いている物だけに、いわゆる防災意識を高めるだとか、避難や防災訓練の大切さを思い出させてくれる、というものでは無さそうです。
だってもうとにかく早く逃げるしかない、どうする事も出来ないレベルの超巨大な竜巻なんですもん。
刻一刻と変化していく命に関わる状況の中で如何に判断できるか、みたいな現場レベルの視点を求められている感。
竜巻では無くても、地震や台風などの被害に悩む僕達日本人なら、その緊張感は十分に感じ取れると思います。
とてもスリリングな映画です。
主要キャラの一人で竜巻観測クルーの撮影担当だった青年が物凄く可哀想な死に方をする一方で、死んだ方が良いレベルのバカな動画配信者コンビが生き残ってヘラヘラしているシーンがあり、無情さの演出にも事欠いていませんでした。
■〆
個人評価:★★★☆☆
未曽有の大災害にダイレクトで被災している状況下でも、様々な理由や魂胆で撮影を諦めない登場人物達の精神強度の高さが好き。
災害映画らしい災害映画でありながら『デイ・アフター・トゥモロー』のように非現実的なレベルの事態も巻き起こっていて、しかも劇中の大半のシーンは劇中人物たちの撮影したカメラ越しに観る映像だったりするので、ド派手なフィクション性とリアリティが同時に感じられる映画だと思いました。
この映画は下記の配信サービスで視聴できます。
ではまた。