イコライザー2(2018年/アメリカ) ネタバレあり感想 殺す相手を探すための物語にシフトしたシリーズ第二作。
今作のマッコールはちょっと個人的な部分が強すぎる気がする。
『イコライザー2』
(THE EQUALIZER 2)
前作の感想記事もあります↓↓↓
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
数少ない友人の一人だったスーザンが殺され、マッコール氏の復讐が始まる。
■感想
ご近所の一見なんでも無さそうな気の良いおっさんが実は凄腕の元諜報員でした、という面白さに全力で焦点を当てていたように思う前作『イコライザー』。
今作でもそのフォーマットを踏襲してはいますが、終盤手前あたりまでサスペンスやミステリーの色がかなり強い作風へシフトしていたように思います。
前作ではロシアンマフィアを追い詰める過程でマフィアたちを殺して回っていましたが、今作ではマッコールのCIA時代からの友人であるスーザンが何者かに殺された事で、その犯人を探し出すという部分が中心にあります。
誰かしら殺す事で進む物語だった一作目に対して、今作では友人を殺された復讐という形で、殺す為の誰かを探す物語になっていて、マッコールの戦闘シーンはかなり少なくなりました。
小話的に何人か殺されたり、今作でも若者の未来を守るような添え物展開もありますが、全体的には狂いが抑えられた幾分普通のエージェント映画に近づいた気がします。
それと気になったのが、今作では私的な感情がかなり前に出ているように感じる点です。
前作も同様に、悪く言えば自己満足の為の自警活動ではあったものの、市民の幸せな生活と未来を影から守る男という姿がしっかり印象付くだけの善性は感じられました。
しかし今作では、友人スーザンを殺した連中を仕留める、という明確に個人感情に基づいた部分で物語が回る上に、犯人グループが実はマッコールの旧友達で皆かつて同じ一つの特殊部隊のメンバーだった、という真相が発覚しマッコールがその瞬間瞬間の感情や出来事で人を判断して即殺しようとする男みたいに見えなくもない気がします。
劇中でも言及されていましたが、マッコールの善悪の判断は個人の主観に基づきすぎているので、悪人に容赦ない男と言う姿というのは対外的にはイコールにならない事がかなり明確に描かれていたと思います。
それはある意味では多くの諜報員を取り扱った映画に対するアンチテーゼに思えなくもないですが、とはいえマッコールのそれに限って言えば完全に事実であり論破されたも同然でちょっと面白い追及でした。
それと、全てを終わらせた後のクライマックス後のシーンで、今作でマッコールと関わりを持った市民達が幸せな結末を迎えている中、マッコールが自ら手を下した真の黒幕でありかつては同じ部隊で共に戦った真犯人の男に、家族が居る事を描写したのにその後のフォローが一切ないのが違和感凄まじいです。
終盤でその男の家族の描写が出てくるんですが、何かしら結末に絡んでくるものかと思っていたので色々と驚きました。
ハッピーエンドっぽく〆られてますけど、何の罪も無く何も知らず、ただ夫が消されただけの遺族かわいそうすぎませんかね……。
あと、かつてマッコールと同じ部隊にいたわりに真犯人たちが踏ん張れてなさすぎるのも残念です。
マッコール一人に対して真犯人たちはかなり高度に連携がとれたプロ組織であり、それがそこらのギャングやらマフィアやらとの違いを明確にしていてバトルが始まる前の期待値を爆上げさせてくれるんですが、いざマッコールと戦い始めたら一方的に殺戮されてしまうのが、良くも悪くも衝撃的すぎました。
これもうマッコールが異次元すぎるのか敵サイドがただの見せかけで実際にはやってる感だけの連携で木っ端微塵にされただけなのか分からないです、たぶん両方の要素が合わさった結果だとは思いますが。
味方がひとりまたひとりとどんどん仕留められていくのに、一向に高台という強ポジから離れようとせず芋砂キメ続けるボス枠の男が悪い気もします。
■〆
個人評価:★★★☆☆
そんな感じで個人的には全体的に前作よりもパワーダウンしているような印象を受けてしまいましたが、面白くないわけでも無かったんですよね。
相変わらず戦闘シーンはかっこいいですし、マッコールと仲良くなる若者のキャラも良いですし、なにより中盤辺りまでストーリーの中心になる犯人探し要素が結構しっかりした構成になっていて楽しめます。
ただのおっさんが実はとんでもないおっさんだったという面白さは前作で散々描いたわけですし、これはこれでありなのかなとも思いました。
現在、下記の配信サービスで視聴できます。
今回僕はネットフリックスで視聴しました。
ではまた。