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スーパーサイズ・ミー:ホーリーチキン!(2017年/アメリカ) ネタバレあり感想 サラダチキンとゆで卵食いながら観た。

 

 10年以上前より確実に世間的な健康志向は高まり、これに対して食品業界サイドは実際どうアプローチしているのか、という事がよく分かるドキュメンタリー。

 

スーパーサイズ・ミー:ホーリーチキン!』

SUPER SIZE ME 2)

スーパーサイズ・ミー:ホーリーチキン !

スーパーサイズ・ミー:ホーリーチキン !

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 スーパーサイズ・ミー』の感想記事もあります↓↓↓

www.desnomovieblog.info

以下、ネタバレを含む感想記事です。

 

 

概要

徐々に高まってきた健康食品や健康志向と、それにマッチアップするかのように健康的な印象を抱くように変化していったファストフード業界と提供される商品の数々。

モーガンスパーロックは自らチキンサンドのファストフード店を開業する事を決心し、それを通じて業界の実態に迫る。

 

 

感想

健康意識、健康問題といった根本的な部分にフォーカスしてファストフードの問題点を絡めて描いた前作。

対して今作は健康意識の高まる中で飲食業界、とくにファストフード業界がどのようなアプローチで対応しているのかを、業界の闇と共に暴いていくような内容になりました。

健康意識の高まり、というのは実際にあるとは思うんですが、一方で消費者の多くが未だに実際の成分やカロリーなどを気にする事はあまり無いように感じます。

あくまで企業サイドのしかける"健康ハロー効果"に乗っかってしまっているだけ、といった現状も併せて浮き彫りにされた映画でもあると思います。

 

企業側はイメージ戦略として健康らしさを錯覚させるような店内レイアウトや商品の梱包を施し、消費者もそれに釣られる、というかある種の誤魔化しに近い感覚で乗っかっていくような、そういう実態がよく分かると思います。

"ナチュラル"や"クリスピー"といった言葉の言い換えや誤魔化し、自然な雰囲気を演出する為の紙の梱包や木目をアピールした店内、そしてよく考えたら全く意味不明な文言での自然アピールなど、数々の戦略を紹介しています。

 

正直これらの戦略って、心のどこかで多くの人が察している部分ではあると思います。

ただそれを踏まえてなお見て見ぬふりをしている人もまた多いと思います。

そんな人にとっては、これらの戦略が映画の中でガッツリ突きつけられるので後ろめたさが加速する事請け合いです。それは僕の事です。明日にはもうケンタ行きたくなってるはず。

 

ある意味でこの状態はwin-winな関係とも言えるんですが、結局のところ根本的な食生活の改善・向上が見られる訳ではありません。

むしろ下手に健康風なアピールで消費者を釣り、消費者も自分の中にある健康意識とファストフードの魔力の狭間で揺さぶられ、結果的にこれらの一見すると健康っぽいジャンクフードに手を伸ばしてしまうという状況であって、むしろ10年以上前のそれより悪化すらしているように思います。

前作以来久々にマクドナルドに訪れたモーガン「店の外観は変わったが中身は10年前と何も変わらない」と言っていたのがとても印象的です。

この言葉が殆ど全てを表していると思いました。

 

 

 

 

また、併せて飲食業界そのものの問題点も描かれます。

それは、例えば家畜の生産工程や品種改良の問題点といったイメージのしやすい部分も含みつつ、家畜業界を支配する大手企業と彼らに生活を握られている畜産農家の関係の実態を暴いていました。

高まり続ける健康志向と増え続ける需要に、畜産業界を支配している大企業(作中では5大企業として紹介されています)が仕向けたトーナメント方式なる方法で、彼らを表面的には競争させつつ、実態は企業サイドである程度のコントロールを効かせて支配するという、おおよそ人道的では無いやり方で畜産農家たちを苦しめているとの事。

農家のおじさんが感極まってしまうシーンとか流石に胸が苦しくなります。

 

 

 

モーガンはそういったファストフード業界の仕掛ける戦略や闇を浮き彫りにし、自身の立ち上げたファストフード店ホーリーチキンにはそれらの実情を痛烈に皮肉ったような内装を施していました。

そして、店内のあらゆる場所に込められたメッセージをしっかりと受け止めながら、なおもチキンサンドを食べる手を止めない消費者達の姿を描くという、相変わらずの毒気の強さを見せつけてくれる強烈なドキュメンタリー映画でした。

 

 

 

そして相変わらず、やたら人や企業を晒しまくるドキュメンタリーでした。

 

 

個人評価:★★★☆☆

全体的にドキュメンタリー映画としての見せ方も向上し、取り扱うテーマも前作よりもより身近に感じられる内容になったと思います。

なにより健康ハロー効果を用いた企業戦略と言うのは、日本でも本当によく目にする戦略の1つであり、僕ら消費者サイドは常にそれらのマーケティング手法に晒されている事がよく実感できると思います。

個人的には前作よりも今作の方が好きです。

というのも、前作のように問題提起の為に極端すぎる選択を取るような事が少なく、実状を晒す事により力が入っているような印象を受けたからで、つまりはリアリティが凄く増しているように感じたんですよね。

 

現在、以下の配信サービスで視聴できます。

ではまた。

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