クロール -凶暴領域-(2019年/アメリカ) ネタバレあり感想 ワニワニパニック。
水中にも危険地帯にも自分から飛び込めちゃう系女子。
『クロール -凶暴領域-』
(CRAWL)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
大嵐が迫る中、連絡を取れない父の安否を確かめる為に危険な地域へ向かったヘイリー。
大洪水で徐々に道路や家屋が浸水する中、溢れ出てきたたくさんのワニさんが牙を向く。
■感想
大規模ハリケーンの来襲はあくまできっかけやシチュエーション作りの為の要素で、基本的には与えられたシチュエーション内でワニをなんとかして攻略するという内容の映画になっていました。
シチュエーションスリラーとしての作りはかなり丁寧に感じましたし、ワニも舞台装置以上のちゃんとした活躍や恐怖の対象としての存在感を出してくれる映画でした。
モンスターパニックとシチュエーションスリラーを上手く組み合わせていたように思います。
カテゴリー5の超巨大ハリケーンが接近する中、連絡のつかない父の安否を確かめる為にハリケーンの進路上にある実家へ向かった主人公ヘイリー。
かつて家族で過ごした家の地下空間に倒れている父を見つけるも、地下には下水道を伝ってやってきたワニが地上に戻る為の階段前を徘徊。
しかもハリケーンの影響で辺りは増水し始め、ワニと溺死のダブルで死の恐怖が迫ってくる中で、ヘイリーと父がなんとかして生き残ろうとします。
父親の安否を確かめる為、自ら危険地帯に飛びこまなければなければならないという状況に陥ったヘイリーには同情します。
とはいえ中盤から終盤にかけてそれなりに犠牲者が出ているのはなんとも言えない気持ちになりました。
どさくさに紛れてATM強盗していた集団がワニの餌食になるのはまだ自業自得の死なので良いんですが、その後やってきたヘイリーたちの幼馴染的なお兄さんを含む警察官が、ヘイリーたちを救おうとして喰われてしまったのは可哀想すぎます。職務だからで収まる死に方では無いですよあれ。
そのわりにヘイリーと父親は中々死にませんし。
中々死にませんって表現はちょっとおかしく思うかもですが、これむしろもう死んでるだろってレベルの状況で二人共まぁしっかり生き残るので、その辺りの主要キャラとモブの格差が結構露骨に出てしまっている映画でもあると思います。
ヘイリーは脚と腕と二回も噛みつかれているのに五体満足で生還、どころか終盤では脚部に負ったはずの怪我のダメージを全く感じさせない機動力を見せつけ、ワニと水泳で張り合ったりもしていました。ヒーリングファクターか?
父親も登場時点で既に手負いで這って動くのがやっとだったのに、いつの間にか立ち上がっていましたし、なんなら最後の方では片腕をもがれる大怪我を負いますが無事生還。
腕無くなっちゃうのかわいそうなんですが、今まで観ていたワニさんの動き的に、確実に胴をやられそうな状況だったんですが、この一家はなんとか四肢のダメージで済んでいるあたりが、主人公補正込みとは言えちょっとズルいなって。
仲の悪かった父と協力してなんとか生存ルートを探し、その内に家族の絆が蘇るという黄金展開でしっかりハートフルな物語として味付けもしていますが、それを覆い隠してしまうほどのパニック展開の応酬で、良い感じに映画が引き締まっている印象を受けました。
メインキャラの生き残り方上手すぎ感こそありますが、各状況毎の緊張感やなんとかそれを打破しようとするヘイリーと父親の活躍は存分に楽しめますし、ワニさんサイドも話が進むにつれ増えはするものの、一体一体が恐怖の対象として役目を全うしていた印象です。
個人的には地下でジワジワと迫ってくるワニの恐怖と浸水の恐怖という中盤辺りまでの雰囲気がとても好きです。
地下脱出後のラウンド2はちょっと制約が薄まった感があって、やれることもっとたくさんあるのに逆にそんな事するの?みたいな行動が目立ってしまう気もして個人的にはそこまで乗れませんでした。
例えば、外がとんでもなく浸水してる事はとっくに把握していたはずなのに、地下脱出後に辺りを見渡して「これじゃ車で避難できないねぇ!」みたいな感じで二人が絶望したりするんで、ちょっとそれは無理にでも落ち着くべきなんじゃないかと思いました。
■〆
個人評価:★★★☆☆
巨大ハリケーンの直撃に遭いつつ、更に辺りを徘徊するワニから逃げなければならないというシチュエーションの面白さがしっかり楽しめる映画だと思いました。
主人公一派の異能生存体ばりの生還力がちょっと補正効きすぎな気も個人的にはしていますが、とはいえ傷つきながらもなんとか生き残らなければいけないスリリングな展開がたくさんある良い映画だと思います。
現在、以下の配信サービスで視聴できます。
ではまた。