寄生獣 完結編(2015年/日本)ネタバレあり感想 映像表現的な部分で凄く魅力が詰まっているけど、山場多すぎて忙しい。
漫画原作の邦画鍛えるモチベーション既に枯れ始めててわろちゃ
『寄生獣 完結編』
前作の『寄生獣』の感想記事もあります↓↓↓
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
寄生生物と本気出した人間が戦う。
■感想
映像クオリティ的な部分でめちゃめちゃ進化を感じた完結編。
魅せるシーンが多くて凄く楽しめました。
特に終盤のゴミ処理場での後藤と新一のタイマンシーンは凄いですね。めっちゃかっこいい。なんか予算めちゃめちゃ増えてません?
ただその内容は妙に原作回帰した事で、総集編っぽい山場だらけの展開とテーマを意識させすぎな作りに変貌し、前作で見出していたエンタメ路線と融合しきれず衝突して変な空気になっているようにも思いました。
前作で寄生生物ハンターとなった新一、それを田宮亮子は観察として許容していたものの、他の寄生生物たちはこれを危険視し、新一とミギーを抹殺しようとするも失敗。
ついでに自分達の事を嗅ぎまわっていたジャーナリストも襲撃したパラサイトですが、ジャーナリスト本人の殺害に失敗しその娘だけ手にかけるという大失態を犯し、田宮の怒りを買います。
田宮主導で組織化されていた、市庁を拠点とするパラサイト達はクーデターを起こし田宮亮子は孤立、一方で警察はパラサイトの存在に着実に迫り、特殊部隊が市庁への攻撃準備を始める、といった感じで、とにかく怒濤の展開の応酬ではあります。
その弊害が後半にまるめて押し寄せているイメージで、何回クライマックスやるんだよっていうくらい、山場が連発して押し寄せてくるので逆に気持ち的に落ち着いてしまう感じがありました。
原作の複数のエピソードをモデルにそれらをまとめて同軸で進めているんで、それぞれの原作エピッソードのクライマックスが複合していて、それらを映画的な筋の通し方に収めようとして無理でした感が凄いです。
とはいえ確かに見せたいものは伝わってくる形にはなっていて、例えば市庁で寄生生物を特殊部隊が駆除するシーンでは、人間に混ざって順応していたパラサイトもわざわざあぶり出して殺していく等、人間本位のおかしさを滲ませた描写はしっかり組み込んでありました。
ただやっぱり後半の忙しさはちょっとやり過ぎ感があります。
市庁での特殊部隊と寄生生物との戦いで市長の広川(北村一輝)がパラサイトに与していた人間である事が発覚すると同時に寄生獣というタイトルが人間を指す言葉である事を開示され、
一方遊園地ではジャーナリスト倉森(大森南朋)が、間宮の子を殺そうとする場面に新一と間宮が駆けつけ、赤子をなんとか助けるも倉森は自殺してしまうという感動と悲劇が描かれ、
今度は市庁での戦いで本気出して特殊部隊全員倒した後藤(浅野忠信)と新一の戦いに突入、
五体分の寄生生物で構成される後藤に圧倒される中でミギーは自らを切り離して新一を何とか逃がし、
その間に新一は里美とセックスし大人になり、
そしてゴミ処理場で後藤との戦いに決着を付け、
人間本位のずるさやおかしさを嘆き、
ミギーは新一に細胞を貸した事が原因で深い眠りにつかなくてはならなくなり、
二人の別れが描かれ、
全てが収束し日常が帰ってきたと思いきや、寄生生物を見分けられるサイコパス変質者浦上(新井浩文)が里美を誘拐しようとしたので新一が浦上と対決し、
浦上をぶっ飛ばし里美を救った際に新一はミギーの存在を身体に感じ取り、
エンドロール。
どうなってんだ……。
そんな感じで後半やたら忙しくてビビるんですが、一方で映像表現的な部分、細かい一瞬のカットなんかも含めてやたらと見栄えがいい映像と演出が多くて、個人的にはここがかなり好きなポイントでした。
タワマンのロビーにベビーカーを押しながらただ歩いているだけの田宮のシーンのアシンメトリー感と建物と人のサイズ感を変に意識させるような見栄えの良いカットだったり、寄生生物の戦闘シーンが前作より動きが付けられていて、気持ち悪くてスマートという謎の領域を開拓していたり、上の方で書いたゴミ処理場での戦闘シーンがもう凄まじく絵としてかっこよさ極まっていたり、観ていて楽しいシーンが本当に多いと思います。
前作同様演技も良い意味で邦画っぽくない生々しさとキャラクター性が上手く混ざっていますし、表現方面での映画のクオリティはかなり向上している印象を受けました。
■〆
個人評価:★★★☆☆
作品テーマやメッセージ性を改めて重視し、原作漫画の要素を改めて組み込み直したような印象です。
寄生獣という作品名自体がそもそも人間を指している言葉ですし、実写版でも地球環境と人間の暴走、バランスの欠如といった要素は、前作からしっかり描かれていた部分でもあります。
そこに前作で強調されていた家族や愛情といった要素も合流しています。
ただ、それらすべてを混ぜ合わせたり無理に圧縮して形にしているような感じで、特に終盤で一気にそういう作品性を突きつけられるので、中々に忙しい映画だと思います。
現在、以下の配信サービスで視聴できます。
ではまた。