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ナイブズ・アウト/名探偵と刀の館の秘密(2019年/アメリカ) ネタバレあり感想 ユーモア全開の謎解きエンタメ映画。

 

出来の良さはもちろん、監督であるライアン・ジョンソンスターウォーズEP8で落とした評判を、この映画と共に一瞬で回復させた事でも有名。

 

『ナイブズ・アウト/名探偵と刀の館の秘密』

(KNIVES OUT)

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密(字幕版)

 ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密(字幕版)

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 以下、ネタバレを含む感想記事です。

 

 

ストーリー

 大人気小説家ハーランが謎の死を遂げ、警察はこれを自殺と推定するも、紳士探偵ブノワ・ブランはこれは殺人であるとして、真相を探る。

 

 

感想

 ライアン・ジョンソン監督はこの映画をアガサ・クリスティに捧げると言っていたようで、たしかにそれっぽさ全開と言うか満載で、見事に謎解きエンタメをやり切っていると思います。

その作り込みとミスリードの導線の上手さ、推理の面白さやキャラクターの立たせ方はもちろん、どんでん返しの意外性に細かなユーモアまで、どれをとっても魅力に溢れた映画でした。

殺人ゲームへの招待って映画を数年前に見て結構好みだったんですが、雰囲気がこれと凄く似ててやっぱり本作も好きになりました。

殺人ゲームへの招待 (字幕版)

殺人ゲームへの招待 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 

エルキュール・ポワロとかシャーロック・ホームズとか、あるいは金田一耕助もそうですが、探偵のキャラクター性もミステリーでは大切な要素なんでしょうね。

この映画の探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)もまた、紳士探偵というジャンル探偵でありながらユーモア溢れるおじさんで、とても魅力的なキャラクターでした。

パイプを常備して、スマホで懐メロを堪能する系の探偵。

なんなら現代が舞台とは思えないほど時代錯誤すぎる出で立ちと、狙いに行きすぎな名前も面白いですし。

 

 

 

 

人気小説家ハーラン・スロンビーが喉をナイフで掻っ切って死亡しているのが発見され、依頼人不明のままやってきたブランは警察と共に捜査を開始。

スロンビー一族全員が容疑者にあがる中、ブランはハーランの専属看護師として屋敷に勤めていたマルタ・カブレラ(アナ・デ・アルマス)の、嘘を突くと嘔吐する体質と彼女の人間性を知り、マルタに捜査への協力を依頼します。

 

そのマルタこそ、故意でないにしろハーランに誤って投薬を行ってしまい死のきっかけを作った人物であり、ハーランもまたマルタの家庭事情を汲み取りなんとかマルタを守る為に推理小説家としてのノウハウをフルに駆使して彼女を守る為のアドバイスを授けたあとに自ら喉をナイフで割いていた事が、わりと早い時間に描かれて驚きます。

犯人先に明かしていくタイプのミステリーってあんまり経験なかったので、そこの驚きに意識を持っていかれてまんまと騙されたので、この映画のオチには本当に驚かされました。

 

そしてこの後描かれるのは、戦々恐々としながらもなんとかブランや警察の捜査の目を掻い潜ろうとするマルタと、スロンビー一家の熾烈な内輪揉め遺産争いです。

犯人が分かっているという体で進む中盤の展開と、注目を集めたくないマルタの意に反してハーランの遺言により全ての遺産を継ぐことになってしまうという状況は、ミステリーというよりエンタメ色の強いクライムサスペンスっぽさもあって、その独特な面白さに惹きこまれました。

 

 

 

 

マルタが殺害した、とマルタ自身も思っているのですが、マルタがハーランに投薬をする前に、ランサム(クリス・エヴァンス)という一族の問題児が薬の中身を入れ替えていた事が判明し、そもそもランサムがハーランを殺そうとしたことが発覚。

しかしマルタが薬を取り違えて投薬した事で結局ハーランは正しい薬を正しい量投与されていて、結果的には嘘偽りなくハーランはただ自殺していたというすれ違いすぎて予想不可能すぎる大どんでん返しが待っていました。いやハーランちょっとかわいそう。

 

これももしかしたらミステリーマニアみたいな人は予想できるのかもしれないですけど、僕はゴリゴリにライト層の人間なのでもうそれはバカほど驚いてしまうんですよ。

 

それだけなら誰も殺人で捕まることなく一件落着ではありますが、途中ランサムが自分が犯人である事を知られた使用人の女性を実際に殺害してしまっていて、その事実もブランとマルタの策略で自白する形になってしまったので、ランサムは結局殺人の罪で逮捕され、マルタは無事に遺産を相続する、という結末。

 

ランサムみたいな問題児キャラって、逆に怪しくないというか、一族が遺産問題で内輪揉めしている様を楽しんでニタニタしてるタイプの、場を掻き乱す要員にしか捉えて無かったので、そこも込みでこの意外な結末にはやられました。

 

 

 

個人評価:★★★★☆

良いキャラしてる探偵と、練られ狂ったミステリーと、細かなユーモアと、エンターテイメント映画としての質がすごく良い映画だと思います。

 

現在、以下の配信サービスで視聴できます。

ではまた。

 
Netflix

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  • 発売日: 2020/07/03
  • メディア: アプリ