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スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019年/アメリカ) バレあり感想 トニー・スタークが原因で悪の道に走った男と、トニー・スタークの期待を一身に背負った高校生が戦う話。

 

 

マーベルシネマティックユニバース全体通しで23作品目、フェイズ3の最後を飾るのはスパイダーマン:ホームカミングの続編です。

単独作品の続編として成立していないのはMCUではもはや日常茶飯事。

 

 

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』

(Spider-Man: Far From Home)

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム/IG3055 Wポケットクリアファイル

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム/IG3055 Wポケットクリアファイル

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ネタバレありの感想記事です。

 

 

 

ストーリー

 

ヒーローに夏休みなど無かった。

 

 

 

感想

 

トニー・スタークの遺したモノとトニーという存在の大きさをピーターの視点を通して描いています。

 

アイアンマンを失った世界で、ピーターはその重みを抱えようとしますが、高校生としての自分の生活とヒーローとしての意識、意志といった部分で葛藤を抱えます。

エンドゲームの後の世界を描くという点でこれはとても良い演出だと思います。

 

しかし今作、そんなピーターの葛藤に対して主にアクションを起こす二者に少し問題がある気がしました。

ピーターに追い打ちをかけるかの如くキツめの叱責を食らわすニック・フューリーは実はスクラル人が変身した偽物で、言わば代理フューリーでしたし、

ヒーローとしての責務と自分の人生の狭間で揺れる大変さを解いてピーターを慰めてくれる自称別アースからの来訪者ミステリオはヒーローどころか世界を欺こうとするヴィランです。

 

つまりピーターに大人として、人生の先輩としてアドバイスを与えていた二者が二者とも自らを偽っているというのはトリッキーすぎませんかね。

渦中のピーターは結局、自己解決に近い形で自らの葛藤に決着を付けてましたし。

 

 

 

戦略級の攻撃力を備えたドローンを大量に積んだ人工衛星のコントロール権を内蔵するヤバいサングラスを、ピーターはトニーの遺品として受け取ります。

しかしピーターはトニー・スタークの後は継げない、自分はふさわしくないと、

この大いなる力の具現化みたいなマシンのコントロール権を、都合よく表れたミステリオに託してしまいます。

ミステリオが実はフューリーや自分を騙していた事がわかり、彼を止めるべく戦いに赴きますが、結果このヤバいサングラスのせいで格段に攻撃力を向上させたミステリオのホログラム戦術に大苦戦します。

 

 

 

辛い事から逃げたせいでより苦しい展開が待ち受けこれを乗り越えるべく奮闘するというピーター頑張れ展開は好きですし盛り上がりどころもたくさんある一方、

結局全ての元凶はトニーなんじゃないかと思うとなんとも言えません。いつものことだけどさ。

今回のヴィランであるミステリオとそのサポートチームの面々も、元々トニーやスタークインダストリーで働いていたトニーに不満を持つ人々の集まりですし。

そう言えば前作ホームカミングのヴァルチャーも、トニーのせいで苦しい思いをしてヴィランになった人なんですよね。

社長は良くも悪くも影響力がありすぎなんよね。死して尚。

 

 

 

そんなピーター、前作ホームカミングと同様に、いかにも高校生って感じのポップさは健在でした。

MJに気持ちを伝えられずライバルまで現れ焦りつつも中々前に進めないピーター。

その上親友のネッドがあっさり彼女作ってしまい、旅行がまるで楽しめずちょっとスレ気味になったりと、ヒーローらしさを微塵も感じさせません。青春に苦悩するただの高校生です。

凄く良いですよねこれ。凄く良いですよ。

MJと気持ちが通じ合っていた事が分かった後のリアクションとか、MJとのファーストキスのリアクションとか、とにかく最高に高校生。

 

そんなどこにでもいる子供っぽさを沢山描くからこそ、スパイダーマンとして戦う時のピーターにはより一層魅力が感じられるんだと思います。

 

 

 

ミステリオは無事に成敗できたしMJとも結ばれてハッピーエンドかと思いきや、ミステリオ散り際の悪足掻きが原因で世界中にスパイダーマンの中身をバラされるというまさかの終わり方をした今作。

果たして続編でピーターはどうなるのか。

或いは開き直って"I am a Spider-Man"とトニーよろしく公表しにいくのか。

そしてオズボーン関連のキャラクターは今度こそ登場するのか。次作も楽しみです。

 

 

 

 

個人評価:★★★☆☆

 

フェイズ1からフェイズ3までで描かれたインフィニティサーガ、その中心人物として常に責任と重荷を背負い戦っていたトニースタークが死に、

彼の期待を一身に背負ってしまったピーターの葛藤と成長が描かれ、ピーターなりの答えを見つけられた今作、フェイズ3の締めの作品としての役割を十分に果たしてくれたと思います。

しかもあまり重苦しくないですしね。

 

ピーターもミステリオも、トニーという人間に出会って良くも悪くも人生に変化が訪れています。

そういった対比の視点を持って観てみるのも面白いのかなと少し思いました。

 

エンドクレジット後のおまけ映像で、本物のフューリーが恐らくスクラル人のものであろう宇宙船で夏休みを満喫しているシーンは、夏休みを殆ど台無しにされかけたピーターを描いたこの映画のオチとして面白すぎる一方で、これからのMCUの舞台が地球外に移行していく事を予感させてくれます。

まだまだ楽しめそうですね。

 

 

ではまた。