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ヴェノム(2018年・アメリカ) バレあり感想 ダークヒーロー映画だったわけだが。

 

 

予告とかで抱いていた印象とかなり違った内容でした。

期待していた方向性とは違ったものでしたが、これはこれで面白いです。

 

 

『ヴェノム』(Venom)

ポスター/スチール写真 A4 パターン4 ヴェノム 光沢プリント

youtu.be

 

 

 

ストーリー

 

人間は俺達の車!

お前俺と相性いいな融合しようぜ!

エディ大好き!地球大好き!シンビオート嫌い殺す!ごす

 

 

 

感想

 

最悪とはなんだったのか。

そんなに残虐でも無いし可愛い奴だったね、ヴェノム。

 

 

見事にダークヒーロー物でしたね。

それが発覚するまでは掴みどころのない映画って印象もありましたが、最後まで観終えてみると、割と色々な魅力に溢れている映画だと思います。

 

 

 

 

序盤はホラー映画っぽい演出で、そこから徐々に漫画っぽさ、というかアメコミ映画っぽさが顕になっていく感じです。

 

序盤のエディはかなり悲惨というか、キャッチコピーの言う最悪ってのがこのエディの私生活を指しているまでありました。

これ以降はもうエディとヴェノムの楽しい共生に切り替わるし。

 

 

 

 

中盤、ヴェノムがエディと融合して以降はモンスターパニックのそれに近い映画に切り替わりました。

それと同時に、アメコミらしさも露呈し始めました。

エディとヴェノムのやりとりが非常に魅力的というか、独特な面白さがあります。

 

最初は「お前は俺の使い捨ての車みたいなもんだから」的な態度でガッツリ悪役かましていたはずのヴェノムが、

いつの間にやら見るも無残にデレ狂う姿、それはこの映画の最大の魅力の一つだと僕は確信しています。

 

必死に宿主さんの身体お守りしたりするのはヴェノムとエディが共生関係なので当たり前としても、

エディの元カノの今カレであるダンがエディの治療をしようとしたところ必死に「お前の身体はお医者さんじゃなくて俺が治すんだい」と駄々を捏ねたりするわけですよ、ヴェノム。

そこに残虐さの欠片でも感じる事があるんでしょうか。

 

 

中盤辺りでこの映画の正体が分かってきました。

僕は予告を観ていた時、この映画は一人の無価値な男性が悪のヴェノムに寄生されて最低最悪のヴィランに変貌する映画だと思っていたんですが、

その実態はヴェノムとエディのコンビを堪能する映画だったわけですね。

好きよそういうのも。

 

あと、ヴェノムにメンター的なポジションを担わせているのが地味に面白いですよね。

分かれた元カノのアンに対するエディの態度をアドバイスしていたりとか細かい部分も含め、それとなくエディに道を指し示すシーンが散見されました。

 

 

 

 

 

そして終盤ではシンビオート同士の戦いという、当初は全く予想もしていなかったものの中盤まで観て以降は否応にも期待してしまう展開をやってくれました。

 

めちゃクソ宇宙に興味持ってる会社の社長ドレイクと、シンビオート部隊のリーダー的ポジションのライオットが融合し、エディとヴェノムと対峙します。

 

元々はヴェノムもライオットの部下みたいなもんなので地球侵略を目的としていたんですが、エディと出会い心変わりしてシンビオートに反旗を翻す形に。

 

何故ヴェノムがシンビオートを裏切ったのかの理由付けが殆ど描かれず唐突に地球大好きエイリアンに鞍替えするのでかなり急展開というかストーリーが雑な印象を抱きました。

 

「お前のおかげで落ちこぼれの俺も心変わりしたぞ」的な事はヴェノムが言ってますが、そんなにヴェノムに変化が起きるようなイベントは特に無かったように思います。

エディと同化したせいで何かしら無意識の内に影響を受けていたとかなんですかね。

 

実情は他のシンビオートに対してヴェノム君が落ちこぼれポジションだからっていう事なんでしょうけど。

 

そういえばシンビオート同士の戦いという展開は予告で上手く伏せていたものの、

一番美味しいであろうヴェノムというキャラクターの変化を描いたラストシーンは予告で大胆に使っちゃってましたね。

 

予告の使い方が上手くてラストシーンだとはおもってませんでしたが。

ていうかこの映画も『ベイベベベイベベイマックスみたいな一種の予告詐欺系映画よね。

 

 

 

 

おまけ映像は後日談的なのが二つと、劇場版スパイダーバースの販促PVみたいなやつの計三つでした。

 

一つめは終盤でライオットと相打ちとった風に消滅したように見えたヴェノムですが、実はしっかりエディの中にまだ存在していたというもの。

「Good bye,Edyとかいってかっこよさげにエディをロケットの爆風から護って燃え尽きたように見えたんですけどね。

お茶目か。

 

 

二つめは、エディが取材か何かで刑務所を訪れ、キャサディと会うというもの。

誰がどう見てもわかるご丁寧なクリフハンガーありがとね。

しかもキャサディがご丁寧に自ら「カーネイジ(殺戮)」という単語をドヤ顔で言い放つ始末。

カーネイジって、なんか赤くてエグい強さのヴェノムみたいなヴィランです。

 

次回作があるとして、このカーネイジが相手になるとしたら大変な事ですよ。

真に最悪なのはコイツな訳ですし。

そんなものよりエディとヴェノムの日常を描いた映画でも観てみたな俺は。

 

 

 

最後は件のスパイダーバースの販促PV。ショートムービーと言った方が正しいかも。

或いはイントロ的な枠なのかもしれませんが、兎に角言えるのは圧倒的ヴィジュアルセンスに驚かされるという事くらいです。

アメコミらしい塗りと奥行きとキャラクターがそのままアニメで動くという何とも斬新な映像でした。

あとすっげえポップだよ。すっげえポップ。

ついさっきまでヴェノムの映画観てたのに唐突にメロンソーダみたいなのが始まるから変な気持ちになるわ。

 

しかも、エンドロールぶつ切ってこのショートムービーやって、またすぐヴェノムの重々しいBGMが帰ってくる一連の流れは完全に笑かしに来てましたね。

 

 

 

 

まとめ

 

で、結局最悪だったのはヴェノムと出会う以前のエディの私生活という事でよろしいか。

 

ダークヒーローものの映画、

ですがそういうところで考えると特に強いきっかけが要りそうなヴェノムが何故シンビオートに反旗を翻したのかという部分が雑だったり、

ホラーやパニック映画的な部分もちょっと出てくるものの基本はやっぱりヒーロー映画のそれだったりと、キッチリと組み上げられた映画では無いイメージです。

 

ただ僕は個人的にメインなのはエディとヴェノムのキャラクターそのものなんじゃないかと思いました。

そう言う部分を観てみると非常に面白いです。

かなり個性的な映画に思えました。

作風はまるで違いますが物語シリーズみたいな、ああいう方向性の面白さといいますか。

 

妙にコメディチックな部分が多く、グロ描写も殆どなく、最後は悪の化身みたいな奴と戦う、これもう完全にヒーロー映画なんですよね。

ヒーロー映画かつヴェノム可愛いじゃんっていう変な感情を楽しむ映画。

もちろんただのヒーローじゃないですけど。ヴェノム結構人殺してますし。

 

 

ではまた。