バンテージ・ポイント(2008年/アメリカ) バレあり感想 一つの出来事を複数人の視点から描き真実が明らかになるまでの流れが丁寧で秀逸。
木曜洋画劇場のナレーション風に読みたくなる系の題名。
バンテェェジポイントォ!!
(VANTAGE POINT)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
■感想
カサブランカで開催された国際サミット。その内容はテロ撲滅のため主要各国が協力して取り決めた要綱を大々的に発表するというもの。
そんなテロとの戦いに向かって一致団結する場でテロが起き大混乱するという、言ってる側から系シチュエーションで展開されるサスペンスが魅力です。
複数人の視点から、米大統領が射撃され広場が爆破される一連の流れを描いていく群像劇タイプの映画です。
それぞれのキャラクターが担っている役割と物語運びに無駄が無く、しかも相互に絶妙に展開が絡み合っていてクライマックスまで楽しめました。
大統領を警護する人間とテロ実行犯、そしてシンプルに巻き込まれた聴衆の視点を混ぜ合わせ、同じ場面を何度も繰り返し描いていながらも着実に物語が真相に向かって進んでいく流れは見事です。
前半にSPや一般人の視点、後半に犯行グループの視点、みたいな単縦な構成じゃないのも上手い所だと思います。
それらを上手く混ぜ合わせて配置しているので「いやお前犯人側かい!」みたいな意外な展開が何度も起きて、全く飽きないどころかひたすら先が気になる作りになっていました。
ただ旅行に来ただけの一般カメラおじさんが、冒頭では絶妙に怪しいのにやっぱりシロだったかと思えば、凄腕SPバーンズさんの同僚SPが実は犯行グループの一員だったり、
最初は怪しまれていたものの他キャラの視点で地元警官だった事が分かるイケメンが、やっぱり犯行グループ側の人間だったりと、
それぞれのキャラの視点と全体のストーリーの二軸で予想を裏切る展開が配置されているのがこの映画の凄い所だと思いました。
ストーリーはひたすら加速しているのに、各キャラクター毎の出来事や描写で上手く緩急をつけていた印象です。
そして全てのキャラの視点でテロの瞬間が描かれたかと思いきやそのままシームレスにクライマックスまで一気に到達するのも凄いです。
気がついたらバーンズさんの視点を中心に物語が進んでいて、しかも各キャラクターの身に起こった出来事の時系列と顛末がここで一気に判明していきます。
ずっと面白いんですけど、クライマックス前後が一番面白かったです。
それまで何重にも重ね合わせて作り上げていたサスペンスの空気感を一気に崩してアクション映画にシフトしますが、ここにこれまでの各キャラクターのストーリーの結末も同時に絡んできて、一気にストーリーが収束する感じが堪らないです。
個人的には「アイスクリームの女の子要るか?」ってちょっと思いながら観ても居たんですが、最後の最後で大統領を浚った連中の乗る逃走車を偶然クラッシュさせるという、ある意味で一番重要な役割を担っていて笑いました。
■〆
個人評価:★★★★☆
ひとつの出来事を様々な登場人物の視点で描き、そこで多角的に配置された謎が一気に収束してクライマックスまで盛り上がり続ける、凄く面白い映画でした。
登場人物達の身に起きる出来事そのものが伏線として機能していたり、他のキャラのシーンの中に別のキャラのシーンを組み込んで、そこに意外な裏切り要素を仕込んでいたり、とにかく作りの上手さに驚きました。
この映画はネットフリックス他、以下の配信サービスで視聴できます。
ではまた。