デス・ウィッシュ(2018年/アメリカ) ネタバレあり感想 おじさんが自警に目覚めてダークヒーローになる話。
何かを始めるのに年齢や経歴は関係ないんだなぁ。
『デス・ウィッシュ』
(DEATH WISH)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
強盗に入られ妻を殺され娘も意識不明の重体を負わされ、男は復讐の鬼と化す。
■感想
表向きはお医者さんだけど実は裏の世界では凄い殺し屋、みたいないわゆる『イコライザー』系の映画なのかと思っていたんですが、実際は一人の普通の男が家族を傷つけた強盗グループを探し出して復讐する為に、危険な街を徘徊し、実戦を繰り返し、殺しのスキルを身に付けつつ、実行犯たちを追い詰める鬼と化す映画でした。
原題と同名の小説・映画作品のリメイク版だそうです。
ただの医者のおっさんが銃の扱い方をネットで学んで、世間様に正体がばれないように自警活動を開始してどんどん人々の支持を集める、という感じの内容です。
そういう話だと、主人公キャラはとくに序盤だと本当に普通の男だったり普通以下の悲惨な人生を送っていたり、とにかくヒーロー像からかけ離れたようなキャラクター造形がなされている事が殆どだと思います。
無論それを演じる人間も弱弱しいオーラというか、人畜無害な感じを醸し出すような人が大抵演じているように思います。
この映画は主人公役にブルース・ウィルスを起用した事で、物語開始時点で既に誰かを正義の名の元に殺してそうな雰囲気を隠せていないのが面白いです。
ブルース・ウィリスの起用、他にも個人的に引っかかる部分がありました。
スーパーパワーが在る事を自覚した元一般男性が自警活動を開始する様を描いた、シャマラン監督の『アンブレイカブル』の主演もまたブルース・ウィリスであり、演技的な方向性もキャラクター性もそっくりだと思います。
主演ブルース・ウィリスが意図せずして逆の意味で意外性を醸し出しているように思う一方、ポール・カージ―の二度目の殺しのシーンはなんか多分吹っ切れたんだろうなって思う描写が登場して笑いました。
ポールはいきなり超危なそうな下町に繰り出して白昼堂々そのエリアの元締めみたいなギャングをハンドガン速射して殺害してしまうんですが、そのシーンが堂々とし過ぎていて、元から殺し屋か何かだったようにしか見えません。
段階を踏むことを無視した急成長っぷりですが、結果的にその立ち振る舞いやオーラはブルース・ウィリスにフィットするようになるんですけどね。
あと、ポールの弟がものすごく怪しいというか、要所要所で姿が描かれないしやたらとポールに金をせびるし犯罪歴ありと何故か何度も印象付けてくるので、絶対に黒幕だろってくらい怪しさが集中しているのに、本当にただの家族想いな良いおじさんでびっくりしました。
本当にただの良いやつ。人は無償の善意を疑いがち。
アクションシーンは、丁度良い感じに銃撃戦や格闘戦が展開され、適度に人間らしさが残る泥臭さが楽しめました。
しかし後半終盤のポールはもはや命を賭けて戦う状況に慣れ過ぎた感もあって、それがちょっと個性に欠くような印象も受けます。
後半に出てきた実行犯の一人は一方的に拷問を仕掛けて殺害しますし、ラスボスっぽいお兄さんも追い込まれたと思わせておいて一瞬でケリをつけに行きますし、元・普通の男っぽさを微塵も感じさせないくらい変貌してしまいます。
個人的には、それが逆にアクション映画によくいる主人公そのままって感じになっていた気がします。
その辺りはもっとリベンジャーっぽい荒々しさがあっても良いんじゃないかなって思いました。
■〆
個人評価:★★★☆☆
とはいえ面白い映画ではあるので一見の価値は全然あると思います。
というかブルース・ウィリスのアクション映画ってだけで価値ありますし。
現在、以下の配信サービスで視聴できます。
ではまた。