フィフス・エレメント(1997年/フランス) ネタバレあり感想 先見性とオールドスクールの混在。
『ヴァレリアン』を観たついでに、リュックベンソン監督の手掛けた人気SFアクションである本作も観直しました。
昔めっちゃテレビで放送されてた系映画のひとつ。懐かしい。
(THE FIFTH ELEMENT)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
地球に迫りくる、悪い神様的な存在を倒す為に必要なものを手に入れようとしてドタバタする。
■感想
ミラ・ジョヴォヴィッチ演じるリー・ルーが、空飛ぶ車の飛び交う街の真っただ中に飛び降りるシーンが擦られすぎて、その印象ばかりが残っていた映画です。
なんならパッケージにすらその画が使われてました。
古代宇宙飛行士説や四元素といったファクターを絡めつつも、時代は2200年代を舞台にしたSF作品。
監督のリュック・ベンソンはこの作品の構想を10代の頃に生み出しているというのが驚きです。
主演にアクションスターでもあるブルース・ウィリスをキャスティングしている点、ごく自然に異星人が登場する点、そして道中のドタバタ劇を中心に物語が展開される点など、背景設定や世界観の手堅さに対してエンターテイメント色が異様に強い作風だと思いました。
こういうタイプの映画もソフトSFと言って良いんじゃないかと思います。
あるいはライトSFとかですか。
話の流れは一見シンプルに思える、というか着地点を知ってしまえば単純なことだったっていうオチが付くだけで、実際には結構入り組んでいるしゴチャゴチャしてたりします。
例えば、巨悪に立ち向かうために用いる最終兵器を起動させる為のストーンのありかを探すという、本作のメインストーリーにあたる部分とかもそうでした。
最初から異星人の歌姫ちゃんがストーンを4つ全部体内に隠していたのですが、武器商人ゾーグ(ゲイリー・オールドマン)がストーンを手に入れてしまう、ように見せかける展開を二回もやったりします。
それ自体はケースを開けたら空だった!というネタの天丼やってるだけの事ではあるんですけどね。
小ネタに繋ぐために意図的にショートイベントが発生するような感じで、寄り道的な展開が結構多い映画だと思います。
アクションとコメディが主体の映画なので、キャラクター達がいずれももれなく個性的で面白いです。
クリス・タッカー演じるルービーというラジオDJがひたすらうるさくて好きです。
黒人オネエという時代をかなり先取りしたキャラクター性を持つルービーですが、一方でおもしろ黒人枠というオールドスクールな役割を担っていて、いま観ると別の面白さを味わえますね。
宇宙連邦の大統領も黒人の役者が演じていたりしますし、SF的な未来予想の素養も垣間見える点が凄いと思います。
先見性のある映画だなぁと今観ても思う点がたくさんある一方で、明らかに意図的にダウングレードしてデザインされている小物やオブジェクトの泥臭さも好きです。
当然のように異星人と交流があり宇宙軍も宇宙用艦船もあって、街には車が飛び交い建造物が剣山みたいに密集してそびえ立っていて、ほとんどスターウォーズのコルサントみたいな状態になっているような、そんな世界観なのに車のデザインがやたら古臭かったり、モンドシャワン人の纏うスーツが『メトロポリス』のマリアみたいなクラシックすぎるメカニックディティールが混在していたりします。
97年制作の映画ですが、それを考慮してもずらしたデザインだと思いますし、当時のトレンドとは明らかに方向性のデザインだと思います。
それでいて色調が全体的にヴィヴィッドだったりして、このギャップが魅力的でした。
■〆
個人評価:★★★☆☆
コメディ色が強いSFアクション映画です。
背景設定や世界観は手堅くしつつも、物語部分は極力シンプルに面白さを追求したような作風で、いつみても面白いと思える映画って印象があります。
この映画は以下の配信サービスで視聴できます。
ではまた。