趣味と向き合う日々

映画やアニメなどの映像作品、音楽、プラモデルといった趣味に関して気ままに書いています。

EDEN/エデン(2014年・フランス) バレあり感想  エグいけどとても良い

正直思ってたよりも固め濃いめ多めな内容で良い意味でビビりました。

 

EDEN/エデン(原題:EDEN)

 

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■感想

 

・映画全体の感想

 

 この映画は全体を通しての空気感が非常に退屈というか、淡々としてるのが逆にとても印象的で面白いと思いました。

主人公ポールの恋模様であったり、相方が死んでしまったり、起きる事は色々起きてるのにあまりフォーカスが当たっていないというか、さっくり描かれていてそういうところがなんとなく淡々としてます。

メインで取り扱ってる音楽のジャンルがハウスなのにも関わらず。

 

この空気感は狙ってるんでしょうね。

この映画は二部構成になっているんですが、そのどちらを通してもポールは人間として前に進むことが全くないように思いました。

 

第一部はポールがDJとして次第に人気を得ていく過程が描かれます。 

有名になって、自分達のデュオ、チアーズの名前を前面に出してイベントまでできるようになって、

一見すると第一部のポールはどんどんスターダムにのし上がっていくように見えます。

ですが、これも本当の意味で成功に向かって進んでるわけでは無いというのがエグい。

 

僕自身もバンドやってて結構感じていたことがあったんですが、

活発に活動してどんどん進んでるように自分では思えてもその質、内容であったり、

或いはやってる事そのものが変わらないままだと結局その先には何もないままだったり。

 

本人が思っているのと、実際にどうそれが作用しているのかは中々自分自身では判断が出来なかったりします。

この映画ではそういう勘違いした成功体験みたいなのをまじまじと描いてて、そう言う部分が極めてリアリティあります。

 

ポールは作中、ガラージハウスに固執している(単純にこのジャンルを愛してるというのもありますが、それにしてもあまりに拘っている)訳ですが、

一つのモノにずっと執着している描写は、成長が皆無であることに重なって映りました。

それ自体は決して悪い事じゃないんですが。

 

一定以上の成功を収めたチアーズですが、そこから先はもう落ちるだけでした。

二部に入ってからは特にこの落ちぶれ加減を大いに描いてきます。

 

 

一方、ポール達と同郷ながら世界的なアーティストとして成功を収めるダフト・パンクの姿も描かれます。

ちなみにチアーズとかポールは多分架空の人物です。

ダフトパンクを出してきたのは、この映画が同時に当時のヨーロッパにおけるダンスミュージックのムーヴメントも描いている側面があるからって事だと思います。

 

ポール達と同じ時期に活動を始めて、大成功を収めるダフトパンクの姿を、一見するとあっさりと描いているのも面白いと思いました。

 

この映画はポールの人生を描いています。

つまりポールの視点で物語が進んでいます。

 

そこでダフトパンクの成功があっさり描かれるというのは、

ポールにとってダフトパンクはもはや非現実的な存在になっているのかなと思いました。

ポールにとってダフトパンクの二人はもう雲の上の存在みたいなもので、

同時に自分はもうそこにはたどり着けない事もなんとなく察しちゃってるみたいな。

 

ダフトパンクの成功が描かれるシーンは劇中かるく挟まれる程度に描かれますが、

その時に必ずポールは自分自身の状況が危うかったりして、

はっきりと二者の色合いが分かれています。

 

ポールに肩入れして見ていたので、こういうのホント悲しい。

 

・第二部からが本番?

 

そして第二部、ロストインミュージックから本格的にポールの人生の陰りを描いてきます。

 

この辺りはホントもう落ちぶれた人間をばっちし描いちゃおっ!ていう悪意みたいなもんも少なからずあって、楽しいと悲しいの狭間で揺れまくりました。

 

ホームパーティーだかなんだかにお呼ばれして、とりあえず皿回してるシーンとか哀愁がすげえんだ。

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更に、借金であったり周りの人間との関係であったり、

夢を追っていて一先ずの成功を収めていた頃にはあまりリアルに意識していなかったであろう問題ともぶち当たっていって、

どんどんポールが現実と自分の状況を認識していく様が描かれます。

 

映画的には絶対本編こっち。

 

マジで、観るタイミング次第じゃ気が滅入って仕方なくなりそうです。

 

 

 

ただ、ポールが最後、きっぱりとDJを辞めるという展開が個人的にとても良かったです。

単純に、最後の最後に希望を持たせられたように感じました。

 

一発屋

世間的な観方ではきっとチアーズは一発屋みたいなもんなのかなと思いました。

この映画は、実際に数多く存在する一発屋達の波のある人生を描いた作品でもあるのかと。

 

一度人気を失うと、再度浮上するのがどれほど難しいかも描いています。

 

なんかもう一発屋芸人特集みたいな番組とか素直に観れんぜ俺は。

 

 

・楽曲やジャンル

 

さて、この映画は音楽、DJ、その辺りが前面に押し出されている部分もあります。

そういう事もあって作中かなり多くの曲が使われています。

 

ガラージハウスはあんまり詳しくて、というかハウス自体2ステップとかグライム辺りしか聴いてないんですが、使われてる曲はどれも個人的に琴線に触れるものばかりで大収穫でした。

 

ちょっと曲目当てに観てみようと思った節もありましたし。

ちゃんとエンドクレジットで使用曲が明記されてるので色々知る事が出来て良かったです。

 

 

ダフトパンクももちろん使われてますよ!

 

あとスタカンも使われててビビった。

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まったのぉ~ 

 

 

 

エンドクレジットのスクショ適当に貼って済まそうかと思いましたが、

折角なんで作中使用され、個人的に気に入った曲を何個か貼ります。

 

というか公式サイトにセトリが載ってましたわ!!!!

親切な公式って大好き。

 

 

Sueño Latino (Illusion first mix) – Sueño Latino

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第一部冒頭辺りで、ポールがパーティー明けに気に入った曲をDJに質問して流してもらっていた曲。

 

 

 

The Whistle Song (Original version) – Frankie Knuckles

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なんかポール達が自室でチルってた時に片手間に流されてた曲。

 

 

 

 

Sweet Harmony – Liquid

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ドラムンベースじゃねえか。

 

 

Gypsy Woman (La Da Dee)
  (Basement Boy Strip to the Bone mix) – Cristal Waters

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ララリィーラゥラーみたいなのがこの映画観おわった後も頭の中で暫く流れた。

 

 

 

 Happy Song (4007 Original mix) – Charles Dockins

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エンディング曲。

ちょっと切なくなる。 

 

 

 

 

また、ヨーロッパのダンスミュージックシーンの黎明期から、盛り上がり、衰退の流れなんかも描かれていて、

ちょっとした音楽ヒストリー映画みたいな側面もあります。

 

なので(僕もそうですが)ハウスの知識があまりなくてもしっかりとその当時の空気感が味わえるようになっているのが凄い丁寧で面白い点だと思いました。

 

ちゃんと映画を観てるとわかるんですよ、ポール達が次第に時代遅れなことをやってるんだって。

 

 

・DJ描写

 

ここ等辺がしっかり描かれてるの個人的に最高だと思った。

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 使われてるタンテがテクニクスなのは当たり前で、

繋ぎの描写なんかまでしっかり見せててすっごい良い。

 

ミキサーのクロスフェーダーを弄ってEQ絞ってみたいな細かい動作までしっかりみせてくれてもう堪らんよ。

 

 

 

 

・その他

 

エンドロールの楽しそうに踊る若かりし頃のポールの姿クッソ切ないわ。

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ちなみにこのエンドロール中にかかってる曲もクッソいいぞ!!

マジで!!

 

なんか僕が昔アシッドジャズ好きだからかもしれないですが、

あの当時求めてた音楽はこれだったんだなっていう。

知らんか。

 

 

■まとめ

 全体を通して淡々と話は進みます。

その空気感は結構独特なんですが、第二部に入ると特にこれがハマってきます。

 

映画のおよそ半分以上が暗い空気を纏っていますが最後は一応ハッピーエンドのはずです。

 

夢を諦めたポールの姿がハッピーエンドになるのかって思いますが、

ポール中心の視点で話が進みますし、不思議とそう思えます。

 

薬物中毒からも抜けだせてるみたいだし。

 

公式サイトとか見ると、ダンスミュージックのファンなんかに向けて作られた映画のように見えますが(監督も元DJみたいですね)、

そんな事は全くありませんでした。

 

結構描いてる内容は成功と挫折とか、そんな普遍的なテーマみたいなもんなので、

 

 

そして全てのジャンルの老害にこの映画を送りたい。

 

 

とりあえず観てみて。

 

ではまた。