新感染 ファイナル・エクスプレス(2017年/韓国) バレあり感想 列車内というシチュエーションを上手く活かしながら、ストレートな"らしさ"も楽しめるゾンビもの。
たまには邦題も良い仕事する。
(부산행:Train to Busan)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
ソウルからプサンへ走る高速鉄道内で、危険な何かに感染した乗客が他の乗客を次々に襲撃し感染、そして大パニックに。
■感想
シチュエーションを高速鉄道内や駅にほぼ固定し、ギリギリの生存サバイバルを描いたゾンビもの。
ゾンビ映画がホラーから独立して"ゾンビ"という一大ジャンルとなって久しいです。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』や現在続編が大ヒット中の『ゾンビランド』のような"ゾンビもの"そのものが前提となる作品や、
『アイアムアヒーロー』『ワールド・ウォーZ』等のように、ゾンビという単語は出てこなくとも、それとわかるような作風のものが多数登場しています。
ゾンビの出現理由も、多くの作品でバリエーションが生まれています。
特に最近は、オーソドックスに墓場からこんにちはするリビングデッドスタイルでは無く、バイオ兵器や実験目的で製造されたウィルスが何らかの理由で外部漏洩し、パニックが引き起こされるというものが非常に多いです。
本作はこのスタイルを用いた作品でした。
状況を殆ど列車と駅に限定しているのは、ゾンビものとしては中々珍しい気がします。
多くの作品、特にモロにゾンビアポカリプスをやっているものはパニックに陥った街を舞台にすることが多いと思います。列車を舞台にした事で車両ごとに異なるドラマを描いてメリハリをつけていて上手いです。
それに、列車の外がどうなっているのかという情報が断片的にしか分からない事で、とりあえずは目先のサバイバルに登場人物も視聴者も集中できます。今を必死に生き抜けというギリギリ感が強調されて面白いです。
生存者同士が合流を果たす為、感染者だらけの車両をひとつひとつ攻略していくという流れが中々に緊張感があり好きです。
その攻略方法も車両ごとに上手く機転と運を使いながらジリジリと感染者を躱していくような作りになっていました。
シチュエーション的な面白さがしっかり楽しめる一方で、ゾンビものとして、というよりサバイバルものとして、とてもストレートな作風だと思います。
主人公のソ・ソグがパニックを通じて男として成長する物語でもあり、自分本位な人間は最後に悲惨な結末を迎える寓話でもある感じ。
しかし一方でサバイバルものらしく、全くフラグをチラつかせなかったキャラクターが突然退場してしまう事もあり、上手くサバイバル作品の要素を交えていたように思います。
■〆
個人評価:★★★★☆
高速鉄道内に状況をほぼ限定したゾンビ映画、という点だけでも割と目新しく面白いと感じそうですが、そこに更にストレートにサバイバル映画の旨味も加えていたと思います。
総じて出来が良い映画という印象で、非常に楽しめました。
新感染 ファイナル・エクスプレスは以下の配信サービスでも視聴する事ができます。
ではまた。