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セル(2016年/アメリカ) バレあり感想 スマホのせいで発狂した群衆と生存者の戦いを描いた映画かと思ってたら何か様子がおかしい。

 

スティーブン・キングの小説が原作。

ゾンビじゃ無いけどゾンビ映画ってパターンの作品、かと思いきや。

 

 

『セル』

(CELL)

セル(字幕版)

セル(字幕版)

 予告:https://youtu.be/JM8659GJIrg

 以下、ネタバレを含む感想記事です。

 

 

 ストーリー

 スマホから毒電波が発せられ、それを聴いた人々は発狂して正常な人間を襲う。

 

 感想

 ジャンル分けに悩ましい映画。

序盤は現代的なテイストのゾンビパニックですが、次第にサバイバルホラーやゾンビアポカリプス方面にシフトしていき、気が付けば精神攻撃要素強めな映画に様変わりして、そのまま終わりました。なんだか凄く凄い。

ネットフリックスのカテゴリーでは"ウィルスパニック"と区分けされていました。スマホの毒電波(作中ではパルス、電磁波と呼ばれていました)サイバー攻撃的なものだったのでしょうか。

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発狂しながら勢いよく走り回る人達。正直、発狂直後からの流れはテンションがバッキバキにあがった人達の、暴走を眺めるような面白さがあります。

画像引用元:『セル』予告 https://www.youtube.com/watch?v=JM8659GJIrg&t=1s

 

主人公クレイジョン・キューザックは空港で"パルス"によるパニックに遭遇、スマホは充電切れで"パルス"から逃れる事ができました。彼はたまたま出会ったトム(サミュエル・ジャクソン)やアリス(イザベル・ファーマン、エスターの子)といった生存者と共に、発狂した人々から逃れつつ、クレイの家族が住むメイン州を目指します。

 物語は主にクレイが家族と再会を目指すというストーリーを中心に描かれます。他のキャラはひとまず生き残る事が目的そのものって感じで、誰一人として「なぜこんな事態になったのか」という理由を探ったり問題解決を目指したりする事はありません。そんな事をする猶予も余裕もないという迫真の状況を演出。

そのため最後まで観ても一体何が起きていたのかは判明しませんし、なんなら最終盤の展開のおかげで更に混乱させられた状態で映画を観終える事になります。

つまり解明のカタルシス的なものよりも、混乱した状況の演出を優先しているんだと思います。

最近そういうのばっかり観てる気がします、面白いです。

 

 

 

 

ゾンビ映画のテイストをふんだんに盛り込みつつも、ゾンビとは厳密に違う存在を描いた作品、僕はこれを便宜上ゾンビスタイルと呼んでます。

本作もゾンビスタイル映画ですが、そのゾンビ枠に該当する狂人達は次第に新たな能力を獲得していったり、各個体では無く全ての狂人がひとつの意識や感覚を共存している事が明らかになります。

 最初はスマホから発せられたノイズ音で発狂が拡散しましたが、後に狂人達は自らの声帯を用いて人から人へと発狂を伝染させる能力を獲得します。ウィルスパニックってこの事か!

クレイに対して狂人がクレイの息子の声で語りかけたりもしてました。

そして夜間は行動出来ないようですが、その間狂人達のスマホからは音楽が流れ続けます、というか狂人達自身の体内からも音楽が聞こえるようです。この間に狂人達は休息をとりつつアプデを行っているのでは?と作中では推測されてました。

狂人が、ゾンビスタイルでよくある身体機能の向上や低下とは少し違うベクトルでの、進化(作中でクレイがそう表現してました)としか言えないレベルで機能を拡張させていく点は個性的で凄く好きな要素です。

 明らかに人体機能を超えた力まで獲得している点はとても気になります。

これは例えばテロ攻撃や人体実験といった、人の手で意図的に巻き起こされた混乱の範疇を超えていると思うんです。

とにかく謎。

 

ついでに言うと、黒幕っぽく登場する赤フードの存在も意味不明です。

クレイはコミック作家で、彼の漫画に登場するヴィランの一人が具現化したみたいな姿なのですが、生存者達の夢に共通して現れたり、現実世界でもその姿を現すシーンが存在します。

キング原作の物語で赤を基調とする超常的存在となると、深紅の王(クリムゾンキング)という『ダークタワー』のラスボスをなんとなく思い起こさせます。

ダークタワー (字幕版)

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 あの赤パーカー狂気おじさんは深紅の王の幻影だったりするのかもとか考えるとちょっと楽しいです。多分違うんでしょうけど……。

 

 

 

 

そしてこの映画、結末のシーンが一番意味不明です。

電波塔らしき構造物の周りをサークルモッシュ寸前の勢いでグルグルと徘徊する大量の狂人が集う場所にクレイは辿り着きました。

そこに息子がいるらしくクレイは必死に息子を探しますが、彼の前に赤パーカーが現れ、クレイは赤パーカーを射殺します。

 そして息子が目の前に現れたと思ったら、息子を含めた狂人達が一斉にノイズを発し始め赤パーカーもいつの間にか復活、息子が既に手遅れである事を知ったクレイはTNTを爆発させ、大量の狂人達と共に運命を共にしました。

 

というシーンの直後、クレイと息子が静かな森の中に敷かれた電車のレールの上を歩きながら、他愛も無い会話をするシーンが描かれます。

と思ったら今度はサークルモッシュに参加している、完全に発狂してしまったクレイの姿が描かれてエンドロールが流れ始めます。いやもう分からないって……。

 

この結末三連発がストレートに繋がっていると考えたくても、一発目で明らかに全てが消し飛ぶレベルの大爆発が起きているので、その後のクレイ発狂シーンと矛盾してしまいます。

個人的にはクレイ発狂が現実世界の出来事で、一発目二発目はクレイの脳内ビジョンか何かだと考えています。

息子と抱擁を交わした直後に息子がノイズを発し始めるんですが、そこで多分クレイは発狂してしまったんじゃないかなと思います。

TNTのボタンを押した!と思い込んでいるだけで実際には間に合ってなかったみたいな、死ぬ直前に幻覚を見る系の演出の亜種が一発目の結末シーンなんじゃないかと。

息子と二人平和に線路を歩くシーンは発狂中のクレイの脳内ビジョン的なものだと解釈しました。

 

 

 

個人評価:★★★☆☆

 

とにかく人々が発狂して見境なく人を襲うので、なんとか逃げつつ家族との再会を目指す男の姿を描いた映画でした。

序盤はパニックモノ、中盤はサバイバルモノ、終盤はホラー全開な精神攻撃モノって感じのイメージです。

ラストシーンの分岐エンディング三連発みたいな演出が顕著ですが、他にも様々なところで謎を残したまま終るので、観終った後は少なからずモヤモヤした気持ちになります。

混乱を楽しみたい時に観るのがオススメ。

 

セルアマゾンプライムビデオ、ネットフリックスほか、下記の配信サービスで視聴できます。

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ではまた。

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セル(吹替版)

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