ペーパー・ハウス シーズン1(2017年/スペイン) ネタバレあり感想 完璧な犯罪計画立てたけど人間の自由な行動力が計画を崩壊させそうになる系のドラマ。
なんなら第一話でいきなり計画が崩壊しかけてた。
『ペーパー・ハウス シーズン1』
(La casa de papel)
Money Heist | Netflix Official Site
予告:
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
造幣局を占拠してたくさんお金を刷りたい強盗グループと、どうしてもそれを止めさせたい警察がじっくり睨み合う。
■感想
サルバドール・ダリのマスクを付けた重武装の強盗グループがスペインの造幣局を占拠、観光に来ていた学生や従業員、警備員などを含む館内の人間67人を人質に立てこもります。
警察はこれに対して交渉人を差し向けつつ、なんとかして造幣局への突入の機会を伺う、というのがドラマ全体の骨組みです。
基本的な話の流れとしては、ある事件や出来事が起きる→実は強盗グループのトップである通称”教授(プロフェッサー)”の計画通りでした→と思ったら別のイレギュラーが発生する→……を繰り返していました。
造幣局を占拠している現在の時間軸と、計画を練っている最中の過去の時間軸が交わりながら、徐々に強盗グループの目的や計画の内容が見えてくるという作りです。
これを1話単位で次々と繰り出してくるのでトリックが発覚する面白さがずっと味わえる感じ。
ただ、イレギュラーの対処に関してはかなり適当な印象があります。
展開や山場を盛り込みたいだけで、後から考えたら何も話に影響が無い事件が結構起きるドラマです。
例えば第一話で「誰も傷つけずに占拠する」という計画を散々印象付けた後に、主人公である通称トーキョーちゃんが発砲した銃弾で警官が負傷、いきなり計画が狂ってしまった!と思わせておいて次の話で命に別状は無かったから一旦セーフ!みたいな強引な締め方をしてきたりします。
グループ内でいざこざが起きてお互いに銃を向け合うみたいな緊迫したシーンなんかも何度か起きるんですが、いずれもなんとなくそれらしい雰囲気で和解したり一件落着したりします。
イレギュラーに対してその場その場でなんとか思考を巡らせて乗り越える、というよりも単純に発生したイレギュラーが勝手に収束していくようなイメージです。
後半の人質脱走事件も、人質が脱走した事で強盗グループが新たな危機に直面するような雰囲気になるのに、その出来事がフックになる具体的な新展開とかは特に無かったりするので、その場その場の盛り上がりは凄いですが後に何か続く事は殆ど無い感じでした。
とはいえ、全体的には伏線とその回収の流れはスマートに展開していきますし、当所は教授の掌の上で踊らされていた警察サイドが後半で裏の裏を掻いて反撃にでたり、人質グループが強盗グループの優しさに付けこんで反撃に出たり、盛り上がりどころはしっかりと作っているドラマなので粗さよりも楽しさが勝る印象です。
個性的な人間達が完璧だったはずの計画を破壊するというフォーマットの為、各キャラクターの個性が物凄く際立っているドラマでもあります。
主役のトーキョーちゃんは攻撃的な小悪魔で主に恋愛脳で計画を狂わせますし、ベルリンは強盗グループの内部崩壊のきっかけになりそうなガチサイコパスかと思ったらシンプルに死期が近くてちょっと自由に行動しすぎていただけだったり、デンバーはとりあえず人質のおばさんとエロい事してたりと強盗グループ内のメンバーがそもそも個性的すぎて計画が狂う要素満載です。
そこに加えて警察の交渉人であるラケルが有能オブ有能すぎて教授の計画に真っ正面からぶつかって潰しに行く事もあります。
細かい出来事や展開には粗さが目立つものの、全体的にはこの完璧な計画が崩れていく様を眺める面白さがしっかりと意識して描かれているので、完全犯罪系の作品とか好きな人は多分すごく好きになると思いました。
■〆
個人評価:★★★☆☆
完璧な計画を崩壊させる為に色んな角度から攻撃を仕掛けていくタイプのドラマって印象でした。
ただシーズン1の時点では、計画崩壊の先にある展開という面白さがそこまで感じられませんでした。
いかんせん計画が崩壊しきることは無いですしね。
シーズン1の最終話までの時点で事件自体もあまり進展しませんが、大きな展開はシーズン2以降に在りそうな雰囲気を物凄く漂わせている終わり方だったので、割と次のシーズンを観るのが楽しみです。
このドラマはネットフリックス独占配信タイトルです。
ではまた。