search/サーチ(2018年/アメリカ) ネタバレあり感想 100点中3000点くらいのすっごい面白い映画。
ネットフリックスに配信来てる!!!!!!!!!!!!
ずっと待ってた!!!!!!!!!!!!
『search/サーチ』
(Searching)
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
消息を絶った娘マーゴットを捜索する為、父親デビッドは警察の協力を得つつインターネットの海で彼女の痕跡を追う。
■感想
現代のインターネット社会の利便性と危険性を物語に完璧に落とし込んだ映画でした。
主人公である父親デビッドは娘の消息を追うためにPCを駆使して、なんとかその足取りを掴もうとします。
その過程で様々な謎やデビッドの知らなかった娘の一面に触れ、映画ではそれがやがて事件の全貌が解き明かすフックになるわけですが、このデビッドの行動そのものは現代人の多くが似た経験を持っていると思います。
例えば何かトラブルが在った時、検索エンジンをフル活用してその原因を調べたりだとか、SNSを通じてだれが何をしているのかを眺めたりとか、そういう普遍的な体験とデビッドのそれは共通しています。
だから、リアルの世界は描かれず全てがPC画面上で展開され、多くの場面でデビッドの姿すら見えなかろうと、彼の心情や行動がダイレクトに理解できるんだと思います。
一方で、ネットバンクの履歴やメッセージ履歴、配信ログなど、ネット上に残る多くの痕跡はあくまで単純な記録でしかない点を利用して、そこに謎を仕込んだり不信感を抱かせたりする演出が上手すぎます。
例えば自分の口座に突然謎の振り込みとかあったら、勝手に想像を膨らませて不安になったりするじゃないですか。
この映画では、そんな単純な記録を追う内にデビッドが、マーゴットがなにかしらの犯罪に関与してるんじゃないかとめちゃめちゃ不安に駆られていき、ミステリーをどんどん盛り上げていきます。
デビッドと事件担当の刑事ヴィックの情報収集によって、やがて次々とマーゴットの不審な点が明るみになりはじめます。
偽造されたIDが発見されたり、2500ドルという大金の口座引き落とし履歴があったり、明らかに怪しさ満載の記録が出てきてヴィックはマーゴットが何かしら犯罪を犯して逃走したと断定されてしまいます。
しかしデビッドは娘の無実を信じて情報収集を続け最後は真実に辿り着くという、家族の絆パワーを存分に組み込んだ王道展開もしっかり内包してあるあたりが流石です。
ネットとリアルという、SNSの登場以降は垣根が無くなったようでやっぱりまだ分断されている二つの世界を、家族の物語として繋いでいる感じでした。
匿名性が高く無数の誰かが集っているような世界というインターネットのイメージは、遥か過去のものであると痛感できる映画でもあります。
SNSの登場でネットとリアルの垣根は無くなり、多くの人が実名でネット上にセルフ情報公開する一方、その状況を逆手にとって成りすましや架空の自分を作り上げる事も容易になりました。
事件の真犯人は正にこの成りすましを駆使した青年ロバートであり、幼い頃から想いを抱いていたマーゴットを偶然配信サイトで発見し、ただ近づきたかったが為に架空の女性となってマーゴットに接近します。結果的にはネットストーカーです。
そしてロバートの母親であり刑事のローズマリー・ヴィック刑事が、息子を守る為にネットに残った痕跡を消そうとしたり、自ら志願して事件の担当になることでデビッドの鬼検索を上手く躱そうとしていたというのが真相でした。
ヴィック刑事が事件を隠蔽しようとしていた事実が発覚するきっかけは、彼女がネット上に痕跡として残していた一枚の写真でした。
ヴィック刑事がやたらと「マーゴットは何かしらの犯罪を犯して逃走した」と断定したがっていた理由が最後の最後で発覚し、大どんでん返しすぎる形で逮捕されるんですが、流石に予想外すぎてビビりました。
デビッドの実弟やマーゴットの同級生などに徹底的に視線を向けさせていて、本当にヴィック刑事が犯人だとは思えないんですよ、多分ミステリーに精通してるようなガチ勢じゃないと疑えない気がします。
ミスリードがとても上手くて見事に乗せられました。
その演出の仕方や見せ方も物凄くこだわっていて、例えば冒頭のシーンでマーゴットの成長とデビッドの妻パメラが亡くなるまでといった過去の出来事は、ウィンドウズXPや初期のYouTube、そしてブラクラなど、なつかしさ全開のインターフェースで演出することで、時間の経過を表しています。
それだけならよくある演出なんですが、更にこの映画は現代シーンでもネット文化や主流なサービスの発展経過をさり気なく盛り込んでいて面白いです。
娘のアカウントを覗こうとしても非公開垢になってて全く内容が分からなかったり、逆に娘のアカウントに侵入する際に明らかに安全性の低そうな名前+生年月日のコンボですんなり侵入できてしまったり、各所に散りばめられたあるある要素も楽しめます。
デビッドの鬼の聞き取り調査でマーゴットは友人が少なく皆顔見知り程度の関係である事を示した後に、マーゴットの失踪が大々的に報道されると途端にSNS上で彼女の親友を名乗りはじめる奴や深い絆で結ばれていたかのように振る舞う奴が居たり、茶化すような事をするバカが出てきたりと、ネット上で注目を集めようとする人間を皮肉りまくるシーンがあって笑いました。SNSは自己顕示欲促進ツール。
■〆
個人評価:★★★★★
本当に何が起きているのか最後まで予想がつきません。
全てがPC画面で展開されるという一見すると普通の映画よりも更にリアリティが損なわれそうな要素と、行方不明の娘を追うというゴリゴリなサスペンス要素が中心の映画なのに、むしろ生々しさと没入感に溢れているオンリーワンすぎる映画だと思います。
現在、以下の配信サービスで視聴できます。
ではまた。