ROCK YOU! ロック・ユー!(2001年/アメリカ) ネタバレあり感想 時代考証なんかよりもライブ感が大切だと教えてくれる映画。
クイーンの楽曲に合わせてノリノリで手拍子する中世の人達。
『ROCK YOU!』
(A Knight's Tale)
予告:
以下、ネタバレを含む感想記事です。
■ストーリー
馬上槍試合に人生を賭け平民から騎士を目指した男の物語。
■感想
中世ヨーロッパを舞台に、貴族や騎士といった上流階級の人だけが参加できた馬上槍試合に、平民でありながら身分を隠して参加した主人公が、ジョスティングでみるみるうちに頭角を現し次々と強敵を倒していく、というスポ根らしさが全開な一作。
階級社会では不可能と思われる平民から騎士になるという自分の夢を追う主人公のロマン要素の為だけに中世を舞台にしているのかと思いきや、メイン競技として描かれる馬上槍試合のスポーツとしての側面もしっかり描き出していました。
むしろ馬上槍試合を格闘技として現代風に描いてみたかったから作ったみたいな印象も受ける映画です。
中世を舞台にした要素のおまけ的に、サブキャラの一人で試合前のマイクパフォーマンスで観客のボルテージをぶち上げる役を受け持つ男が『カンタベリー物語』の著者であるジェフリー・チョーサー(アベンジャーズのヴィジョン役やってたポール・ベタニ―が演じています)だったりと、中世が舞台ですよアピールもかなり分かりやすく加えています。
しかし一方では、観客達がQUEENの”We Will Rock You”に合わせて盛り上がっていたり、ダンスパーティであからさまに現代的なステップを踏んで盛り上がっていたり、そもそも彼らの話す英語がもろに現代英語ぽかったりと、とにかく時代背景に拘らない勢いを重視した作りになっていて面白いです。
平民であり一端の従者でありながらいつか騎士になるという夢を追いつづけ、そのチャンスを掴んだ主人公ウィリアムの魅力はもちろんですが、この映画はサブキャラクターの充実度と個性も見所で、キャラクター達の掛け合いや関係性がとにかく分かりやすい面白さに溢れていました。
同じ従者仲間で、馬上槍試合ではセコンド役と発破をかける役割を持つローランドとワット、ウィリアムの鎧のメンテナンスを担当する鍛冶屋のケイトちゃん、そして前述のマイクパフォーマンスで試合会場をぶち上げまくるジョフリーなど、それぞれが二時間ちょっとの上映時間の中で最大限に個性を発揮している印象です。
この個性の詰め方と細分化、見せ方は、日本人的には映画よりもむしろアニメや漫画でよく味わう感覚に近いと思います。ほんと日本の漫画、しかもジャンプ系の友情努力勝利路線をめちゃめちゃ感じました。馴染んでる感が凄い。
ウィリアムの恋人になる上流階級の世間知らずの娘ジョスリンも、当所は意味不明なわがままを押し付けウィリアムを困惑させたりするものの最終的に主人公一派としてクライマックスを盛り上げています。いるいるこういうヒロイン。
そしてライバルのアダマー伯爵が大物なのにしっかり小物感を醸し出しているただの悪人なのもポイント高めです。
悪役が悪役として悪意を振り撒く作品は基本面白い気がします。
爽やかで熱いハートを持つ主人公ウィリアムを演じているのがヒース・レジャーというのが、今観ると色々な気持ちが芽生えます。
ほんとに素晴らしい才能を持った俳優だったんだな。
■〆
個人評価:★★★☆☆
少年ジャンプでコミカライズしても大丈夫そうなレベルで、ゴリゴリにスポ根漫画のノリを中世の馬上槍試合で描くという、エンタメ狂いが凄い映画です。
しかも時代考証はある程度無視して現代的なフィーリングを重視したようなシーンが結構多くて、そういうちょっとした違和感や遊びがまた面白く感じました。
この映画は下記の配信サービスで視聴できます。
ではまた。