ニュー・シネマ・パラダイス 劇場初公開版(1988年・イタリア) バレあり感想
バージョン違いがある映画って全部のバージョン観てみたくなりますよね。
と言っても僕は『バタフライ・エフェクト』くらいしか全バージョン完全制覇やってませんが。
『ニュー・シネマ・パラダイス』(原題:Nuovo Cinema Paradiso)
■あらすじ
ローマで成功を収めた映画監督サルヴァトーレ。
ある日、サルヴァトーレの元に彼の母親から「アルフレードが死んだ」という連絡が入る。
サルヴァトーレは、自身が幼かった頃を回想する。
それは第二次世界大戦の最中、サルヴァトーレはトトと呼ばれ、シチリア島にある小さな田舎町に住んでいた頃の思い出だった。
■感想
もうちょい歳取ったら更に楽しめそう。
・トトとアルフレード
回想がメインの全ての作品に言える事ではあるんですけどね。
本作は基本的にサルヴァトーレ(トト)の幼少期と青年期の回想がメインになっています。
どうやらバージョン違いでは、老年になってからの話も本編に在るらしいんですが、そちらのバージョンは僕はまだ観てないです。
その回想の中で、多くはトトとアルフレードの二人の交流を描いていく事になります。
アルフレードは壮年の男性で、当時のトトはまだ子供です。
面白いのが、この二人の間はあくまで友人である点だと思います。
劇中、トトは父親が居ない、恐らく戦死している事が描かれます。
また、アルフレードも子供がいないという事がやっぱり劇中台詞からわかります。
しかしトトはアルフレードに父親を重ねるような事もありませんし、アルフレードもまた、トトをまるで自分の子どものように扱う事が一切ありません。
超絶歳の差がある友達です。
だからこそ、アルフレードは青年にトトに対して島を出る事を強く勧める事が出来たのかもしれません。
アルフレードはトトの類まれな才能を見抜き、シチリア島の小さな島で映写技師で一生を終えて欲しくないと願い、トトに島を出るように言います。
そして帰ってこないようにとも。
仮にトトに自分の子どもの影を見ていたとしたら、きっとアルフレードはそんな事は言わないと思うんですよね。
というか自分の子どものようにトトを見ていたらそもそもトトの才能に気付いてすらいないかもしれません。
そこにある種の、あくまで他人(と言っても、親友として相手を理解しているというとても深い絆がある訳ですが)であるという視点からトトを見る事ができたからこその発見なのかなって僕は思いました。
・劇中BGM
ホント良い曲ですよね。
この曲いろんなタイミングで流れます。
何度も同じ曲が流れる訳ですが、それは同時にシチリア島のトトの住む村が何年経っても何も変わる事が無いという印象付けにも一役買ってるのかも。
この映画、変化に関するテーマみたいなものもあると思うので、そういう所の演出にかなりマッチしてる気がしました。
何度聴いても良い曲だし。
■まとめ
気持ちほっこりしたい時に観ると調子良い映画です。
物語が急激に動くような展開もあんまりありませんし、基本まったりと物語は進みますし。
トトとアルフレードの関係を中心に、トトの成長を追うような映画ではありますが、
それだけでは無く思春期ならではのちょっとおかしい状態みたいなものも描かれていて、
観ているとちょっと気持ち若返ります。
ここまで読んでもらったら分かると思いますが、
なんかピンとくるような事はあまり書いてません。
なんでかと言うと、僕自身どうしてこの映画に強い魅力を感じているのかが分からないからです。
要は、いざ具体的に好きなところを言えって言われると思いつかないんですよね。
もしかしたら映画全体の雰囲気そのものが好きなのかもしれませんし。
小さなころに『スタンド・バイ・ミー』を初めて観た時の気持ちに結構似てます。
あの映画、高校生くらいになって観返してから僕はその魅力を再確認できました。
なので、この作品ももう少し歳取ったらその辺りが自分自身で分かってくるのかもしれません。
ではまた。